エリキュースによる副作用

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エリキュースとは

エリキュース(Eliquis tablets)とは、血液凝固阻止剤です。

血液が固まりにくくするために利用するお薬です。

主成分のアピキサバン(Apixaban)は、血液凝固に必要なトロンビンという酵素の生成を阻害し、血液を固まりにくくします。

主に活性型血液凝固第X因子(FXa)を阻害する作用があるため、活性型血液凝固第X因子阻害薬(FXa阻害薬)と言われております。

通常、心房細動に伴う脳卒中や静脈血栓塞栓症等の治療で利用されます。

適応症は以下の通りです。

・非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
・静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

尚、古くから利用されているワルファリンとは作用機序が異なるため、併用可能です。

服用に際しては血液が固まりにくくなるため、出血には注意が必要です。

本剤は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社、ファイザー株式会社により製造販売されております。

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主な副作用

エリキュースの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・鼻出血がみられる
・血尿がでる
・挫傷がみられる
・血腫がみられる
・貧血になる
・皮下出血がみられる

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
出血 頭蓋内出血がみられる、消化管出血がみられる、眼内出血が見られる等
頭蓋内出血 脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛がする、悪心がある、嘔吐する、意識障害がみられる、片麻痺がみられる等)、硬膜下血腫がみられる等
消化管出血 黒いタール便がでる(メレナ)、血を吐く(吐血)、貧血になる、疲れやすくなる、、手足が汗ばむ、手足が冷たい、顔が青白い、脈が速くなる、低血圧になる、尿量の減少に伴う意識混濁がある、見当識障害がある、眠気がある等
眼内出血 充血する、白目が赤い点が見られる、白目が真っ赤に染まる等
間質性肺疾患 呼吸困難になる、咳嗽(がいそう)がみられる、血痰がでる、息切れする、発熱する、肺音の異常がみられる等
肝機能障害 倦怠感の増大がみられる、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
免疫系障害 過敏症がみられる(皮疹等の薬物過敏症、アレルギー性浮腫等のアナフィラキシー反応等)
神経系障害 味覚異常になる、くも膜下出血がみられる、三叉神経痛になる、脳出血がみられる、頭蓋内出血や脊髄内出血がみられる(硬膜下血腫及び脊髄血腫等)
眼障害 眼出血がみられる、眼充血がみられる
血管障害 血腫ができる、腹腔内出血がみられる
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 鼻出血がみられる、喀血する、咳嗽がみられる、気道出血がみられる(肺胞出血する、喉頭出血する、咽頭出血する等)
胃腸障害 歯肉出血する、胃腸出血がみられる、消化不良になる、便潜血陽性になる、口腔内出血する、便秘になる、腹部不快感がある、上腹部痛がみられる、血便排泄する、下痢する、逆流性食道炎になる、悪心がみられる、直腸出血がみられる、痔出血する、後腹膜出血がみられる、吐血する、マロリー・ワイス症候群になる、出血性消化性潰瘍がみられる
肝胆道系障害 血中ビリルビン値が増加する、γ−GTP値が増加する、肝機能異常がみられる
腎及び尿路障害 血尿がでる、尿中血陽性になる、尿中蛋白陽性になる
生殖系及び乳房障害 前立腺炎になる、膣出血がみられる、不規則月経になる、不正出血がみられる、尿生殖器出血がみられる、月経過多になる
傷害、中毒及び処置合併症 挫傷がみられる、処置後出血がみられる、外傷性出血がみられる、切開部位出血がみられる、血管偽動脈瘤がみられる
皮膚及び皮下組織障害 円形脱毛症になる、そう痒症になる、紫斑がみられる、膿疱性乾癬になる、顔面腫脹がみられる、水疱がみられる、点状出血する、皮膚びらんがみられる、斑状出血する、出血性皮膚潰瘍になる
その他 初期不眠症がみられる、疲労する、血小板減少症になる、血中ブドウ糖変動がみられる、高尿酸血症になる、血中ブドウ糖値が増加する、血中CK(CPK)値が増加する、末梢性浮腫がみられる、動悸がする、適用部位出血がみられる、注射部位血腫がみられる、血管穿刺部位血腫がみられる
過量投与 出血リスクが増大する、つまり、出血した場合に止血し辛くなる等

 

エリキュースについて

従来、抗凝固薬は、ワーファリンのみでしたが、このエリキュースは最近発売された新しいタイプの抗凝固薬です。

新しいタイプの抗凝固薬は、各社から複数発売されており、「新規経口抗凝固薬(NovelOralAntiCoagulants:NOAC)」と呼ばれています。

ワーファリンとは作用機序が異なるため、併用も可能になっております。

特徴としては、ワーファリンと比較して、以下のメリットがあります。

・納豆やクロレラ等を食べても薬効に影響しない。
・定期的に血液検査で薬効を確認する必要がない。
・心房細動での血栓生成リスクを抑制する。

つまり、作用させる血液の凝固因子を限定しているため出血の副作用リスクが少なくなっているのが特徴です。

但し、血液検査で薬効を測定出来ないデメリットはあります。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

(全効能に対して)
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・臨床的に問題になる出血症状のある方
 (出血を助長する可能性がある)
・血液凝固異常、及び、臨床的に重大な出血リスクを有する肝疾患の方
 (出血の危険性が増大する可能性がある)

(非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制に対して)
・腎不全の方

(静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制に対して)
・重度の腎障害の方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・出血のリスクが高い方
・重度の肝障害のある方
・腎障害のある方
・高齢者の方
・低体重の方

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・アゾール系抗真菌剤(フルコナゾールを除く)
 ・イトラコナゾール
 ・ボリコナゾール等
・HIVプロテアーゼ阻害剤
 ・リトナビル等
・マクロライド系抗菌薬
 ・クラリスロマイシン
 ・エリスロマイシン等
・フルコナゾール
・ナプロキセン
・ジルチアゼム
・リファンピシン
・フェニトイン
・カルバマゼピン
・フェノバルビタール
・セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
・血小板凝集抑制作用を有する薬剤
 ・アスピリン
 ・クロピドグレル硫酸塩
 ・ジピリダモール
 ・チクロピジン塩酸塩
 ・シロスタゾール
 ・オザグレルナトリウム等
・抗凝固剤
 ・ワルファリンカリウム
 ・未分画ヘパリン
 ・へパリン誘導体
 ・低分子ヘパリン
 ・エノキサパリンナトリウム
 ・フォンダパリヌクスナトリウム
 ・ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
 ・アルガトロバン水和物等
・血栓溶解剤
 ・ウロキナーゼ
 ・t-PA等
・非ステロイド性消炎鎮痛剤
 ・ジクロフェナクナトリウム
 ・ナプロキセン等

 

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