バリウムによる副作用
バリウムとは
バリウム(Barium)とは、胃や腸等のレントゲン撮影をする際に利用する、消化管X線造影剤です。
本剤の主成分は、硫酸バリウム(Barium Sulfate)で、X線を吸収する作用があり、この性質を利用して消化管の撮影に利用されています。
水と合わせて適量を経口投与または注腸し、X線撮影を行い病変を確認します。
バリウムが消化管に沿って流れる際、各消化管の表面の撮影が可能になります。
主に以下の消化管撮影に利用されています。
・食道
・胃
・十二指腸
・小腸
・大腸
バリウムは、各社から様々な商品名称で製造販売されております。
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主な副作用
バリウムの主な副作用は、以下の通りです。
・不快感がある
・気持ちが悪い
・吐き気がする
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
ショック | 血圧低下に伴い失神する、意識消失がみられる、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)がでる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等 |
アナフィラキシー様症状 | 紅斑ができる、悪寒がする、口腔咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面紅潮がみられる、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身発赤がみられる、顔面浮腫や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がする、発汗がある等 |
消化管穿孔(しょうかかんせんこう) | 急激な腹痛がおこる、ショック症状がおこる、遊離ガスが横隔膜直下に溜まる、腹膜炎になる、大量出血がみられる、敗血症になる等 |
腸閉塞(イレウス) | 便秘になる、腹痛がある、増強する腹部膨満感がある、吐き気がする、悪心がある、嘔吐する、排便や排ガスの途絶がある、間欠的または持続的な痛みがある等 |
腹膜炎 | 腹部全体の激痛がある、喉の渇きがある、吐き気がする、嘔吐する、発熱がある、腸閉塞症状がみられる、ショック状態になる、炎症部位の痛みがある、悪寒がする、ガタガタ震える、寝汗をかく、お腹の張りがある等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
消化器 | 排便困難になる、便秘になる、一過性の下痢や腹痛がみられる、肛門部痛や出血がある、悪心がある、嘔吐する |
過敏症 | 発疹がでる、そう痒感がある、蕁麻疹(じんましん)がでる |
バリウムについて
バリウムは、基本的に体内には存在しない物質です。
胃腸のX線撮影のためだけに一時的に飲み、消化管を上から下へ通します。
そのため、撮影後は、速やかに身体から排出する必要があるため、下剤と水を飲み排出しやすくします。
ジュースやお茶ではなく、たくさんのお水が最も適切です。
尚、アルコール(お酒)は、バリウムを固める原因になりますので検査後2、3日は、控えてください。
タバコについても当日は控えてください。
固まったバリウムは、胃腸を傷つけたり、盲腸に付いてしまう場合もありますので、もし、バリウムが排出されていない場合には、速やかに医師とご相談ください。
持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。
バリウム検査を受けられない方や副作用が酷い方の場合、代替手段として内視鏡での検査があります。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・消化管の穿孔又はその疑いのある方
・消化管に急性出血のある方
・消化管の閉塞又はその疑いのある方
・全身衰弱の強い方
・硫酸バリウム製剤に対して、過敏症の既往歴のある方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・消化管に瘻孔又はその疑いのある方
・穿孔を生ずるおそれのある方
(胃・十二指腸潰瘍、虫垂炎、憩室炎、潰瘍性大腸炎、腸重積症、腫瘍、寄生虫感染、生体組織検査後間もない方等)
・消化管の狭窄又はその疑いのある方
・腸管憩室のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・小児等
本剤が消化管損傷部等を介して組織内(腹腔、腸管、肺等)に留まった場合、肉芽腫を形成するとの報告がありますので、水や下剤により、確実に排出する様にしてください。