ガスモチンによる副作用
ガスモチンとは
ガスモチン(GASMOTIN)とは、胃腸を活発にする消化管運動機能改善剤です。
主成分の、モサプリドクエン酸塩水和物(Mosapride Citrate Hydrate)は、胃、十二指腸にあるセロトニン5-HT4受容体を刺激することにより、アセチルコリンを産生し、これにより、胃腸の運動が活発になります。
胃腸の運動が活発になると、胃に入った食物が速やかに腸へ運ばれるため、嘔吐、吐き気、胸やけ、食欲不振等の症状が改善されます。
適応症は、以下の通りです。
・慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心、嘔吐)
・経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助
胃腸薬として、よく利用されるお薬です。
本剤は、大日本住友製薬株式会社により製造販売されています。
スポンサーリンク
主な副作用
ガスモチンの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
【慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ,悪心・嘔吐)に利用する場合】
・下痢する
・軟便になる
・口が渇く
・倦怠感がある
・好酸球が増多する
・中性脂肪値が上昇する
・AST(GOT)値が上昇する
・ALT(GPT)値が上昇する
・ALP値が上昇する
・γ-GTP値が上昇する等
【経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助に利用する場合】
・腹部膨満感がある
・嘔気がする
・尿潜血がみられる
・腹痛になる
・頭痛がする
・尿蛋白がでる等
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
劇症肝炎 | 白眼や皮膚が黄色くなる、発熱する、吐き気がする、全身がだるい、AST(GOT)値が著しく上昇する、ALT(GPT)値が著しく上昇する、γ-GTP値が著しく上昇する、Al-P値が著しく上昇する等 |
肝機能障害 | 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等 |
黄疸 | 嘔気がする、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒等がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がみられる、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹ができる等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
【慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)に利用する場合】
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
過敏症 | 浮腫ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる、発疹ができる |
血液 | 好酸球が増多する、白血球が減少する |
消化器 | 下痢する、軟便になる、口が渇く、腹痛になる、嘔気がある、嘔吐する、味覚異常になる、腹部膨満感がある、口内しびれ感(舌、口唇等を含む)がある |
肝臓 | ALT(GPT)値が上昇する、AST(GOT)値が上昇する、ALP値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、ビリルビン値が上昇する等 |
循環器 | 心悸亢進がみられる |
精神神経系 | 眩暈(めまい)がする、ふらつく、 頭痛がする等 |
その他 | 倦怠感がある、中性脂肪値が上昇する、振戦がみられる |
【経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助に利用する場合】
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
消化器 | 腹部膨満感がある、嘔気がある、腹痛になる、胃部不快感がある、おくびがでる |
肝臓 | ビリルビン値が上昇する |
精神神経系 | 頭痛がする、眠気がする |
その他 | 胸部不快感がある、寒気がする、倦怠感がある、顔面腫脹がみられる、尿潜血がある、尿蛋白がでる、LDH値が上昇する等 |
ガスモチンについて
持病やアレルギーのある方は、事前に医師とご相談ください。
本剤は、胃腸にだけ作用するため、同系の旧薬にみられるホルモン異常、不整脈等の副作用は、ほぼありません。
そのため、かつて利用され販売中止となった、シサプリド(アセナリン)に代わり、よく利用されています。
慢性胃炎の方は、胃腸にダメージを与えない様な食生活をする必要があります。アルコール(飲酒)や煙草(タバコ)は、控えてください。
特に禁忌は、ありません。
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。
・抗コリン作用を有する薬剤
・アトロピン
・ブチルスコポラミン等