ストラテラによる副作用
ストラテラとは
ストラテラ(Strattera)とは、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)のお薬です。
集中力や注意力を高め、落ち着かせる作用があります。
元来、脳内のノルアドレナリンは、増加することにより、集中力や注意力が高まる等、様々な症状の改善に関与していると言われています。
本剤の主成分である、アトモキセチン塩酸塩(Atomoxetine Hydrochloride)は、前頭前野にあるノルアドレナリントランスポーターを選択的にブロックすることにより、ノルアドレナリンやドーパミンの再取込を阻害し、これらの脳内物質の濃度を上昇させる作用があります。
尚、依存等に関連する側座核では、ドーパミン濃度は上昇しないため、依存や乱用の危険性は低いと言われています。
この様なお薬を、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(Selective NorAdrenalin Reuptake Inhibitors)と言います。
この作用により、発達障害の1つである、AD/HDに効果があると考えられています。
適応症は以下の通りです。
・注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
本剤は、ノルアドレナリントランスポーターにのみ選択的にブロックしますので、その他の受容体に対しては殆ど作用しません。
そのため、副作用も比較的少なく、総合的に依存や乱用のリスクも少ないと考えられています。
ストラテラは、日本イーライリリー株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
ストラテラの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
(小児)
・頭痛がする
・食欲減退がみられる
・傾眠がみられる
・腹痛がある
・悪心がある
(成人)
・悪心がある
・食欲減退がみられる
・傾眠がみられる
・口が渇く
・頭痛がする
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
肝機能障害 | 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸が困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸になる等 |
黄疸 | 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒がある等、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹がでる等 |
肝不全 | 黄疸がでる、出血傾向になる、腹水がでる、脱力感がある、肝性脳症になる、全身の健康状態が悪化する、吐き気や食欲不振がある等 |
アナフィラキシー | 蕁麻疹(じんましん)がでる、紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、痙攣(けいれん)する、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
消化器 | 悪心がある、食欲が減退する、腹痛がある、嘔吐する、便秘になる、口が渇く、下痢する、消化不良になる、口内乾燥がみられる、鼓腸がでる |
精神神経系 | 頭痛がする、傾眠がみられる、浮動性眩暈(めまい)がある、体位性めまいがある、睡眠障害になる、易刺激性がみられる、不快気分がある、不眠症になる、早朝覚醒型不眠症になる、気分が変化する、振戦がみられる、抑うつ気分になる、錯感覚がある、不安がある、感覚鈍麻がみられる、幻覚を含む感覚障害がある、うつ病になる、攻撃性がみられる、リビドー減退がみられる、チックがみられる、激越がみられる、落ち着きのなさ、びくびく感がある |
過敏症 | そう痒症になる、発疹ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる |
循環器 | 動悸がする、頻脈になる、血圧が上昇する、心拍数が増加する、心電図QT延長がみられる、失神する、レイノー現象がみられる、潮紅がみられる |
皮膚 | 多汗症になる、皮膚炎になる |
泌尿・生殖器 | 排尿困難になる、勃起不全になる、生殖器痛がある、尿閉になる、月経困難症になる、射精障害がみられる、不規則月経がある、前立腺炎になる、頻尿になる、持続勃起がみられる、勃起時疼痛がある、射精不能になる、精巣痛がある、オルガズム異常がみられる、尿意切迫がみられる |
その他 | 体重が減少する、胸痛がある、無力症になる、疲労がある、ほてりがある、悪寒がする、味覚異常がある、結膜炎になる、胸部不快感がある、末梢冷感がある、冷感がある、筋痙縮になる、散瞳がみられる |
過量投与 | 痙攣(けいれん)する、QT延長がみられる、傾眠がみられる、興奮する、運動亢進がみられる、異常行動がみられる、消化器症状がある、散瞳がみられる、頻脈になる、口が渇く、浮動性めまいがある、振戦及び血圧上昇がみられる等、本剤及び他剤を同時に過量投与した際に死亡例の報告あり |
ストラテラについて
持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。
眩暈(めまい)や眠気を催す場合がありますので、本剤を利用中は車の運転や危険を伴う作業等は控えてください。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・MAO阻害剤を投与中の方
・MAO阻害剤の投与中止後2週間以内の方
・重篤な心血管障害のある方
・褐色細胞腫やその既往歴のある方
・閉塞隅角緑内障の方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・肝機能障害のある方
・腎機能障害のある方
・痙攣(けいれん)発作やその既往歴のある方
・心疾患(QT延長を含む)やその既往歴のある方
・先天性QT延長症候群の方、又はQT延長の家族歴のある方
・高血圧の方、又はその既往歴のある方
・脳血管障害、又はその既往歴のある方
・起立性低血圧の既往歴のある方
・下記の精神系疾患のある方
・精神病性障害
・双極性障害
・排尿困難のある方
以下の薬剤との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、医師とご相談ください。
・MAO阻害剤
・セレギリン塩酸塩(エフピー)
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。
・サルブタモール硫酸塩(静脈内投与等の全身性投与。吸入投与を除く)
・β-受容体刺激剤(サルブタモール硫酸塩を除く)
・CYP2D6阻害剤
・パロキセチン塩酸塩水和物等
・昇圧作用を有する薬剤
・ドパミン塩酸塩等
・ノルアドレナリンに影響する薬剤
・三環系抗うつ剤(イミプラミン塩酸塩等)
・選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
・メチルフェニデート塩酸塩等