ラシックスによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/11

ラシックスとは

ラシックス(Lasix)とは、強力な利尿剤です。

浮腫み(むくみ)を取り、血圧を下げるためのお薬です。

通常、高血圧症の治療や、各種浮腫の改善、心不全の治療等で利用されます。

主成分の、フロセミド(Furosemide)は、腎臓中の尿細管で行われる塩分と水分の再吸収を抑制することにより、尿量を増加させる作用があります。

この作用により、血液中の余計な水分が減少し、血管壁のナトリウムが減少します。結果として血圧が下がる作用が発現します。

適応症は、以下の通りです。

・高血圧症(本態性、腎性等)
・悪性高血圧
・心性浮腫(うっ血性心不全)
・腎性浮腫
・肝性浮腫
・月経前緊張症
・末梢血管障害による浮腫
・尿路結石排出促進

女性の場合、生理前の浮腫み(むくみ)にも利用されています。

本剤は、サノフィ株式会社、日医工株式会社、日医工サノフィ株式会社により、製造販売されています。

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主な副作用

ラシックスの主な副作用は、以下の通りです。

・多尿になる
・口の渇きがある
・倦怠感がある
・脱力感がある
・眩暈(めまいI)がする
・知覚異常がみられる
・吐き気がする
・嘔吐する
・頭痛がする
・代謝異常がみられる
・食欲不振になる
・下痢する
・味覚異常がある

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
ショック 血圧低下に伴う失神が発現する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)がでる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等
アナフィラキシー様症状 紅斑ができる、悪寒がする、口腔咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面紅潮がみられる、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身発赤する、顔面や喉頭に浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がする、発汗する等
再生不良性貧血 発熱する、悪寒がする、手足に赤い点(点状出血)ができる、赤紫のあざができる、のどの痛みがある、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状が発現する等
汎血球減少症 全身がだるい、階段等を上る際の息切れする、動悸がする、頭重がみられる、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、鼻血がでる、耳鳴りがする、皮下出血がみられる、歯茎の出血がみられる等
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等
赤芽球癆(せきがきゅうろう) 全身がだるい、頭重がみられる、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、耳鳴りがする、階段や坂を上る際に動悸や息切れがする、貧血になる等
水疱性類天疱瘡 水疱ができる、紅斑ができる、痒みがある等
難聴 耳鳴りがする、耳が詰まった感じになる、眩暈(めまい)がする、顔のほてりがある、口周辺のしびれがある等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節の痛みがある、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)ができる、発熱する、食欲不振になる、口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱がでる、陰部の痛みがある、関節の痛みがある、ひどい口内炎ができる、唇や口内のただれがある、発熱する、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点ができる、赤い発疹ができる、まぶたや眼の充血がある、結膜のただれがみられる、食欲不振になる、からだがだるい等
多形紅斑(たけいこうはん) 手の甲・足の甲・肘・膝などの四肢伸側に左右対称に多発する円形の紅斑ができる、発熱する、痛みがある等
心室性不整脈(心室性期外収縮) ほとんど自覚症状がない、動悸がする、脈がとぶ、喉(のど)が詰まる感じになる、胸部の不快感(圧迫感)がある、胸部の痛みがある、倦怠感がある、眩暈(めまい)がする、ふらつく等
間質性腎炎 発熱する、間接の痛みがある、吐き気がする、下痢する、尿が濁る等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
血液 貧血になる、白血球が減少する、血小板が減少する、好酸球が増加する、溶血性貧血になる
代謝異常 低ナトリウム血症になる、低カリウム血症になる、低カルシウム血症になる、代謝性アルカローシスがみられる、高尿酸血症になる、高血糖症になる、高トリグリセリド血症になる、高コレステロール血症になる
皮膚 発疹ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる、発赤がみられる、光線過敏症になる、そう痒症になる、水疱性皮膚炎になる、紫斑ができる
消化器 食欲不振になる、下痢する、悪心がある、嘔吐する、口が渇く、膵炎になる
肝臓 黄疸がでる、肝機能異常がみられる、胆汁うっ滞がみられる
腎臓 BUN値が上昇する、クレアチニン値が上昇する
精神神経系 眩暈(めまい)がする、頭痛がする、知覚異常がみられる、聴覚障害がみられる
その他 脱力感がある、けん怠感がある、起立性低血圧になる、筋痙攣になる、味覚異常がみられる、血管炎になる、発熱する
過量投与 血圧が低下する、心電図異常がみられる、血栓症になる、急性腎不全になる、譫妄状態がみられる等

 

ラシックスについて

尿をもよおしますので、通勤や車の運転等、トイレにすぐ行き辛い時間の前に飲むのは避けてください。

又、夜、寝る前等も、夜間にトイレへ行くことになるため服用は控え、なるべく昼間に服用する様にしてください。

血圧の低下により、眩暈(めまい)がしたり、ふらついたりする場合があるため、車の運転や危険を伴う作業等は、控えてください。

アルコール(お酒)は、控えてください。

カリウム等のミネラル類が不足する場合があるため、野菜や果物を多めに摂取する様にしてください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・無尿の方
・肝性昏睡の方
・体液中のナトリウム、カリウムが明らかに減少している方
・スルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・進行した肝硬変症のある方
・重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症のある方
・重篤な腎障害のある方
・肝疾患・肝機能障害のある方
・本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある方
・下痢、嘔吐のある方
・手術前の方
・ジギタリス剤を使っている方
・糖質副腎皮質ホルモン剤を使っている方
・ACTHを使っている方
・グリチルリチン製剤を使っている方
・減塩療法を行っている方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。

・昇圧アミン
  ・アドレナリン
  ・ノルアドレナリン

・ツボクラリン及びその類似作用物質
  ・ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物

・他の降圧剤
  ・β‐遮断剤等

・ACE阻害剤
  ・A‐II受容体拮抗剤

・アミノグリコシド系抗生物質
  ・ゲンタマイシン硫酸塩
  ・アミカシン硫酸塩

・シスプラチン

・アミノグリコシド系抗生物質
  ・ゲンタマイシン硫酸塩
  ・アミカシン硫酸塩
・セファロスポリン系抗生物質
  ・セファロチンナトリウム

・ジギタリス剤
  ・ジギトキシン
  ・ジゴキシン

・糖質副腎皮質ホルモン剤
  ・ヒドロコルチゾン
・ACTH
・グリチルリチン製剤
  ・強力ネオミノファーゲンC
・甘草含有製剤

・糖尿病用剤
  ・スルホニルウレア剤
  ・インスリン

・SGLT2阻害剤

・リチウム
  ・炭酸リチウム

・サリチル酸誘導体
  ・サリチル酸ナトリウム
  ・アスピリン

・非ステロイド性消炎鎮痛剤
  ・インドメタシン

・尿酸排泄促進剤
  ・プロベネシド

・カルバマゼピン

・その他の強心剤
  ・コルホルシンダロパート塩酸塩

・シクロスポリン

・V2‐受容体拮抗剤
  ・モザバプタン塩酸塩

 

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