ジゴキシンによる副作用
ジゴキシンとは
ジゴキシン(Digoxin)とは、心臓の収縮を強くさせるためのお薬です。
具体的な商品名としては、ジゴシン(DIGOSIN)等があります。
本剤の主成分である、ジゴキシンは、カルシウムを細胞内に取り入れる作用により心筋の収縮する力を強力にする効果が期待されます。
結果として全身に血液が循環し、脈をゆっくりさせ、心不全の症状を改善したり呼吸を楽にさせると言われています。
適応症は以下の通りです。
・以下の疾患による、うっ血性心不全(肺水腫、心臓喘息等を含む)
・先天性心疾患
・弁膜疾患
・高血圧症
・虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)
・肺性心(肺血栓・塞栓症、肺気腫、肺線維症等によるもの)
・その他の心疾患(心膜炎、心筋疾患等)
・腎疾患
・甲状腺機能亢進症ならびに低下症等
・心房細動や粗動による頻脈
・発作性上室性頻拍
・以下の場合の心不全及び各種頻脈の予防と治療
・手術、急性熱性疾患、出産、ショック、急性中毒
本剤は、中外製薬株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
ジゴキシンの主な副作用は、以下の通りです。
・発疹ができる
・蕁麻疹(じんましん)がでる
・浮腫む
・紫斑(しはん)ができる
・女性様乳房がみられる
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
ジギタリス中毒 | 初期症状として消化器、眼、精神神経系症状が現れる、高度の徐脈がみられる、二段脈がみられる、多源性心室性期外収縮がみられる、発作性心房性頻拍等の不整脈がみられる等、その後、重篤な房室ブロック、心室性頻拍症や心室細動に移行する場合がある |
心室細動 | 頻脈になる、胸の痛みがある、息切れする、動悸がする、発熱する、吐き気がする、嘔吐する、痙攣(けいれん)する、不整脈がみられる、脈拍喪失がみられる、意識消失がみられる、全身痙攣(ぜんしんけいれん)がおこる、無呼吸になる、あえぎ呼吸がみられる(死戦期呼吸、下顎呼吸)、心停止する等 |
非閉塞性腸間膜虚血症(non-occlusivemesen-mesenteric ischemia:NOMI) | 激しい突然の腹痛、血便、CTで門脈ガスや小腸の拡張や腸管虚血がみられる、腹満主訴がみられる、嘔吐、意識混濁等、腸管壊死に至る場合もある |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
消化器 | 食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、下痢する等 |
眼 | 視覚異常がみられる(光がないのにちらちら見える、黄視、緑視、複視等) |
精神神経系 | 眩暈(めまい)がする、頭痛がする、失見当識がみられる、錯乱がみられる、譫妄がみられる等 |
肝臓 | AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、Al-P値が上昇する |
血液 | 血小板数が減少する |
過敏症 | 発疹ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる、紫斑(しはん)がでる、浮腫ができる等 |
その他 | 女性型乳房がみられる、筋力低下がみられる |
過量投与 | ジギタリス中毒が起こる場合がある |
ジゴキシンについて
本剤の成分は、古くから浮腫み(みくみ)を解消するお薬として利用されており、1930年代頃からは、心不全の治療薬として利用されています。
本剤は、1961年に発売され、現在も心不全の治療や予防で利用されているお薬です。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・房室ブロックのある方
・洞房ブロックのある方
・ジギタリス中毒の方
・閉塞性心筋疾患(特発性肥大性大動脈弁下狭窄等)のある方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・ジギタリス剤に対して過敏症の既往歴のある方
以下の方は、原則禁忌です。
・本剤利用中の方にカルシウム注射剤を投与すること
・本剤利用中の方にスキサメトニウム塩化物水和物を投与すること
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・急性心筋梗塞のある方
・心室性期外収縮のある方
・心膜炎のある方
・肺性心のある方
・WPW症候群のある方
・電解質異常(低カリウム血症、高カルシウム血症、低マグネシウム血症等)のある方
・腎疾患のある方
・血液透析を受けている方
・甲状腺機能低下症のある方
・甲状腺機能亢進症のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等
以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・カルシウム注射剤
・グルコン酸カルシウム水和物
・カルチコール注射液等
・塩化カルシウム水和物
・スキサメトニウム塩化物水和物
・スキサメトニウム
・レラキシン
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・解熱、鎮痛、消炎剤
・インドメタシン
・ジクロフェナク等
・トラゾドン
・抗コリン剤
・アトロピン系薬剤
・プロパンテリン等
・強心剤
・アムリノン
・不整脈用剤
・アミオダロン
・キニジン
・ピルメノール
・フレカイニド
・ピルジカイニド
・プロパフェノン
・ベプリジル等
・β遮断剤
・プロプラノロール
・アテノロール
・カルベジロール等
・利尿剤
・カリウム排泄型利尿剤
・チアジド系利尿剤
・クロルタリドン
・フロセミド等
・アセタゾラミド
・利尿剤
・スピロノラクトン
・利尿剤
・トルバプタン
・血圧降下剤
・レセルピン系薬剤
・アンジオテンシンII受容体拮抗剤
・テルミサルタン
・カルシウム拮抗剤
・ベラパミル
・ジルチアゼム
・ニフェジピン等
・HMG-CoA還元酵素阻害剤
・フルバスタチン
・HMG-CoA還元酵素阻害剤
・アトルバスタチン
・ポリスチレンスルホン酸塩
・薬剤名等交感神経刺激剤
・アドレナリン
・オルシプレナリン
・イソプレナリン等
・プロトンポンプ阻害剤
・オメプラゾール
・ラベプラゾール等
・副腎皮質ホルモン剤
・ビタミンD製剤
・カルシトリオール等
・カルシウム経口剤
・カルシウム含有製剤
・高カロリー輸液等
・習慣性中毒用剤
・ジスルフィラム
・シクロスポリン
・抗生物質製剤
・エリスロマイシン
・クラリスロマイシン
・ガチフロキサシン水和物
・テトラサイクリン
・抗生物質製剤
・アジスロマイシン
・抗生物質製剤
・アムホテリシンB
・エンビオマイシン
・HIVプロテアーゼ阻害剤
・リトナビル
・サキナビル
・テラプレビル
・化学療法剤
・イトラコナゾール
・スルファメトキサゾール・トリメトプリム
・抗甲状腺剤
・チアマゾール
・プロピルチオウラシル
・カルバマゼピン
・コレスチラミン
・コレスチミド
・消化性潰瘍剤
・スクラルファート水和物
・制酸剤
・水酸化アルミニウム
・水酸化マグネシウム等
・抗生物質製剤
・フラジオマイシン
・抗生物質製剤
・リファンピシン
・サルファ剤
・サラゾスルファピリジン
・甲状腺製剤
・乾燥甲状腺
・レボチロキシン
・リオチロニン
・アカルボース
・ミグリトール
・セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
・ブピバカイン塩酸塩水和物
・ヘパリン
・制吐作用を有する薬剤
・スルピリド
・メトクロプラミド
・ドンペリドン等