レスリンによる副作用
レスリンとは
レスリン(RESLIN)とは、弱目の抗うつ剤です。睡眠に誘う作用もあります
本剤の主成分は、トラゾドン塩酸塩(Trazodone Hydrochloride)で、脳内にあるセロトニンを増加させる作用があり、これにより不安感等を緩和する効果が期待されます。
また、セロトニン2A受容体をブロックする作用もありますので、これにより眠りに誘う効果も期待されます。
適応症は以下の通りです。
・うつ病
・うつ状態
応用として、以下の症状にも利用されています。
・不眠
・寝つきが悪い
本剤は、MSD株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
レスリンの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・眠気がする
・眩暈(めまい)がする
・ふらつく
・口が渇く
・便秘になる
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
QT延長 | 意識を失った、脈が乱れる、立ち眩みがする等 |
心室頻拍(Torsades de pointesを含む) | 心室期外収縮が引き金で突然、発作的な頻拍になる、不整脈がみられる等 |
心室細動 | 頻脈になる、胸の痛みがある、息切れする、動悸がする、発熱する、吐き気がする、嘔吐する、痙攣(けいれん)する、不整脈がみられる、脈拍喪失がみられる、意識消失がみられる、全身痙攣(ぜんしんけいれん)がおこる、無呼吸になる、あえぎ呼吸がみられる(死戦期呼吸、下顎呼吸)、心停止する等 |
心室性期外収縮(心室性不整脈) | ほとんど自覚症状がない、動悸がする、脈がとぶ、喉(のど)が詰まる感じ、胸部の不快感(圧迫感)がある、胸部の痛みがある、倦怠感がある、眩暈(めまい)がする、ふらつく等 |
悪性症候群(Syndrome malin) | 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)がみられる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がみられる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧の変動がみられる、発汗等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例の報告がある |
セロトニン症候群 | 悪寒がする、発熱する、手が震える、不安になる、焦燥がある、興奮する、激越する、錯乱する、幻覚がみえる、反射亢進がある、ミオクロヌスがみられる、発汗する、戦慄する、頻脈になる、振戦がおこる、下痢する、高血圧になる、固縮、協調異常がみられる、自律神経不安定等。特にセロトニン作用薬と併用した際に発現する可能性が高い |
錯乱 | 外部状況に対し適した対応が出来ない状態、話や動作にまとまりがない |
譫妄(せんもう) | イライラする、疲れが取れない、不眠になる、強い倦怠感がある、下痢する、動悸がする等 |
麻痺性イレウス | 腸管麻痺がおこる(食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、著しい便秘がある、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状がおこる)、強い腹痛がみられる、吐き気がする、吐く、ひどい便秘になる、おなかが膨れる等 |
持続性勃起 | 早朝勃起や性的興奮後の勃起がおさまらない等 |
無顆粒球症 | 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
循環器 | 高血圧になる、起立性低血圧がおこる、低血圧になる、動悸がする、頻脈になる、失神する、徐脈がみられる、不整脈がみられる |
精神神経系 | 興奮する、妄想する、性欲亢進がみられる、性欲減退がみられる、悪夢をみる、怒り・敵意がみられる(攻撃的反応)、異常感覚がある、インポテンスになる、協調運動障害がみられる、激越する、眠気がする、眩暈(めまい)がする、ふらつく、頭痛がする、頭重がみられる、構音障害がみられる、振戦等のパーキンソン症状がみられる、頭がボーッとする、視調節障害がみられる(霧視、複視等)、不眠になる、運動失調がみられる、躁転がみられる、痙攣(けいれん)する、焦燥感がある、流涎がみられる、健忘がみられる、知覚障害がみられる、幻覚がみられる、運動過多になる、不安がある、見当識障害がみられる、口周囲不随意運動がみられる、集中力が低下する |
過敏症 | 眼瞼そう痒感がある、浮腫ができる、発疹ができる、そう痒感がある |
血液 | 溶血性貧血になる、血小板が減少する、白血球が減少する、貧血になる、白血球が増多する |
消化器 | 食欲亢進がみられる、胸やけがする、口が渇く、便秘になる、悪心がある、嘔吐する、食欲不振になる、腹痛がする、下痢する、胃重感がある、嚥下障害になる、腹部膨満感がある、味覚異常がみられる |
肝臓 | 肝機能障害がみられる(AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、Al-P値が上昇する、γ-GTP値が上昇する等) |
その他 | 息切れする、血尿がでる、乳汁分泌がみられる、眼球充血がみられる、低ナトリウム血症になる、発熱する、倦怠感がある、ほてりがある、脱力感がある、排尿障害になる、鼻閉がみられる、関節痛になる、筋肉痛になる、発汗する、眼精疲労がある、耳鳴(みみなり)がする、尿失禁がみられる、頻尿になる、射精障害がみられる、月経異常がある、乳房痛がする、胸痛がする、体重が減少する、体重が増加する、疲労する、悪寒がする、血清脂質が増加する |
過量投与 | 眠気がする、嘔吐する、torsades de pointesがみられる、QT延長がみられる、心電図変化がみられる、持続性勃起がみられる、呼吸が停止する、痙攣発作になる、立ちくらみがする、ふらつく |
レスリンについて
本剤は、1991年に販売開始されたお薬です。
SSRIに近いお薬で、抗うつ薬としての効果は、やや弱めです。
反面、副作用も少なく、睡眠を深くする効果も期待されるため、睡眠改善薬として利用されることが多いお薬です。
持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。
眩暈(めまい)や眠気を引き起こす場合がありますので、車の運転や危険を伴う作業等は、控えて下さい。
自分の勝手な判断で服用を中断したり、用量を急に減らしたりすると、症状が悪化する場合があります。
服用を中止したり減薬したい場合には、必ず医師とご相談ください。
本剤は副作用が少なく依存性もなく、作用も優しい安全性の高いお薬です。
しかし、一般的に抗うつ薬を24歳以下の方が服用した場合、自殺念慮や自殺企図のリスクが高まるとの報告がありますので、念のため注意が必要です。
アルコール(飲酒)は、控えてください。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・サキナビルメシル酸塩を投与中の方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・心筋梗塞回復初期の方
・心疾患の方、又は、その既往歴のある方
・緑内障の方
・排尿困難の方
・眼内圧亢進のある方
・てんかん等の痙攣性疾患のある方、又は、これらの既往歴のある方
・躁うつ病の方
・脳の器質障害又は統合失調症の素因のある方
・衝動性の高い併存障害を有する方
・自殺念慮又は自殺企図の既往のある方
・自殺念慮のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等
以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・サキナビルメシル酸塩
・インビラーゼ
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・降圧剤
・アルコール
・中枢神経抑制剤
・バルビツール酸誘導体等
・モノアミン酸化酵素阻害剤
・強心配糖体
・ジゴキシン等
・フェニトイン
・フェノチアジン誘導体
・クロルプロマジン塩酸塩等
・ワルファリンカリウム
・カルバマゼピン
・CYP3A4阻害剤
・リトナビル
・インジナビル
・タンドスピロン
・パロキセチン
・アミトリプチリン