インドメタシンによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/08

インドメタシンとは

インドメタシン(Indometacin)とは、炎症や痛みを抑え、熱を下げるためのお薬です。

インドメタシンは成分の一般名で、形状としては、錠剤、カプセル剤、クリーム剤、坐剤、パップ剤、テープ剤、ゲル剤等、様々な製品が各社から販売されています。

ここでは、先発薬のカプセル剤であるインテバン(Inteban)について記載します。

本剤の主成分であるインドメタシンは、炎症や発熱を発生させる物質である「プロスタグランジン(PG)」の合成を抑制する作用があります。

この作用により、炎症や腫れ、発熱等の症状を緩和する効果が期待されます。

適応症は以下の通りです。

・下記疾患の消炎・鎮痛・解熱
  ・関節リウマチ
  ・変形性脊椎症
  ・変形性関節症
  ・腰痛症
  ・痛風発作
  ・肩胛関節周囲炎
  ・急性中耳炎
  ・症候性神経痛
  ・膀胱炎
  ・前立腺炎
  ・歯痛
  ・顎関節症
  ・歯槽骨膜炎
  ・多形滲出性紅斑
  ・結節性紅斑
  ・掌蹠膿疱症

・手術後及び外傷後の炎症及び腫脹の緩解

・下記疾患の解熱・鎮痛
  ・急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

本剤の効果は強力であるため、副作用もまた強く現れる場合があります。

但し、本剤は対症療法薬です。症状の原因を根本的に治療するお薬ではありません。

インテバンは、帝國製薬株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

インドメタシンの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・腹痛になる
・悪心がある
・嘔吐する
・食欲不振になる
・頭痛がする
・眩暈(めまい)がする
・発疹ができる

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等
アナフィラキシー様症状 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等
消化管穿孔(しょうかかんせんこう) 急激な腹痛がある、ショック症状になる、遊離ガスが横隔膜直下に溜まる、腹膜炎になる、大量出血する、敗血症になる等
消化管出血 血を吐く(吐血)、黒いタール便(メレナ)がでる、貧血になる、疲れやすい、顔が青白い、脈が速くなる、低血圧になる、尿量が減少する、手足が汗ばむ、手足が冷たい、意識混濁がみられる、見当識障害がみられる、眠気がある等
消化管潰瘍 食後の腹痛が長い、腹部が張る、吐き気がする、嘔吐する、下痢する等
腸管の狭窄・閉塞 便秘する、腹痛がある、増強する腹部膨満感がある、吐き気がする、悪心がある、嘔吐する、排便や排ガスの途絶がみられる、間欠的または持続的な痛みがみられる等
潰瘍性大腸炎 持続性または反復性の粘血便や血便がみられる、下痢する、腹痛がみられる、発熱する、体重が減少する、嘔気がある、嘔吐する、貧血になる等
再生不良性貧血 発熱する、悪寒がする、手足に赤い点(点状出血)ができる、赤紫のあざができる、のどが痛む、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状になる等
溶血性貧血 赤い尿がでる、皮膚や白目が黄色くなる、発熱する、貧血になる等
骨髄抑制 汎血球が減少する、好中球が減少する、貧血になる、白血球が減少する、血小板が減少する、出血がみられる、発熱する、悪寒がする、口中の白い斑点がみられる、点状出血(手足の赤い点)がみられる、紫斑ができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる、水便になる、脱力感がある等
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節の痛み、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、発熱、食欲不振口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱、陰部の痛み、関節の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、発熱、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、食欲不振、からだがだるい等
剥脱性皮膚炎(紅皮症) 39度から40度の高熱がでる、顔に発疹ができる、全身の皮膚が赤くなる、皮膚のカスがよく落ちる等
喘息発作(アスピリン喘息) 息切れする、せきがでる、胸が締めつけられるような感じがする、息をする際に喉(のど)に異変が生じる、ヒューヒューと鳴る、息苦しい、乾性ラ音が鳴る、喘鳴がきこえる、呼吸困難感がある等
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がある、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足が浮腫む、息苦しい、意識が低下する等
間質性腎炎 発熱する、関節が痛む、吐き気がする、下痢する、尿が濁る等
ネフローゼ症候群 高度の浮腫が発生する、大量のたんぱく尿が出る、尿が泡立っている、まぶたや下肢がむくむ、胸水がある、腹水がある、心嚢水がある、息切れがする、呼吸が困難になる、吐き気がする、嘔吐する、体重が増加する、免疫力が低下する
痙攣(けいれん) 全身の筋肉がピクピクする、痺れる(しびれる)、チクチクと痛む、瞬間うとうとと眠くなる、失神する、錯乱する、脱力する、膀胱の調節機能が消失する、興奮状態が継続する、怒りっぽくなる、ぼんやりする、よろめく、吐き気がする、眩暈(めまい)がする、下肢のコントロールが不能になる、筋肉の付随現象がみられる等
昏睡 まったく覚醒することができない、呼吸のパターンが異常になる、筋肉が異常な位置で収縮したままになる、瞳孔が広がったり光に反応しない、眼球が動かなかったり異常な動きをする等
錯乱 外部状況に対し適した対応が出来ない状態、話や動作にまとまりがない
性器出血 膣や子宮から出血がみられる、少量の出血が継続する等
うっ血性心不全 心臓の収縮力の低下、血液送出量が低下する、心臓・肺等の静脈のうっ血がみられる、動悸がする、息切れする、就寝中に咳がでる、呼吸困難になる等
肺水腫 急激な呼吸困難になる、胸部痛がある、嘔吐する、不整脈がある、下痢する、発汗がある、ピンク又は白い泡状の痰がでる等
血管浮腫 呼吸が苦しい、会話が不自由になる、顔面・口唇・咽頭・舌の腫脹がみられる等
肝機能障害 倦怠感の増大がみられる、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がみられる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する、劇症肝炎になる等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振である、倦怠感がある、そう痒がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度~39度の発熱、ブツブツ状の発疹がでる等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
消化器 腹痛がする、口が渇く、食欲不振になる、消化不良になる、悪心がある、嘔吐する、胃炎になる、下痢する、軟便になる、口内炎ができる、便秘になる、限局性回腸炎になる、腹部膨満感がある、膵炎になる
血液 貧血になる、顆粒球が減少する、血小板が減少する、紫斑病になる、血小板機能が低下する(出血時間の延長がみられる)
皮膚 脱毛がみられる、結節性紅斑ができる
過敏症 発疹ができる、そう痒がみられる、脈管炎になる、蕁麻疹(じんましん)がでる
感覚器 耳鳴がする、角膜混濁がみられる、網膜障害がみられる、結膜炎になる、眼窩及びその周囲の疼痛がある、難聴になる
肝臓 肝機能異常がみられる(AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する等)
精神神経系 頭痛がする、眠気がする、眩暈(めまい)がする、不眠になる、知覚異常がみられる、ふらつき感がある、脱力感がある、抑うつになる、不安になる、離人症になる、振戦がみられる、失神する、末梢神経炎になる、疲労する、神経過敏になる
循環器 動悸がする、血圧が上昇する
その他 浮腫ができる、ほてる、不快になる、胸痛がある、発汗亢進がみられる、頻尿になる、尿糖がみられる、高血糖になる、鼻出血がみられる
過量投与 痙攣(けいれん)する、錯乱がみられる、失見当識がみられる等

 

参考のため、パップ剤によるその他の副作用の症状を以下に記載しておきます。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
皮膚 発赤がみられる、そう痒がみられる、発疹ができる、かぶれる、ヒリヒリ感がある、腫脹がみられる

 

インドメタシンについて

本剤の主成分は、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と呼ばれるカテゴリのお薬です。

様々な痛みや解熱等に利用され、風邪の際にも利用される場合があります。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

アルコール(飲酒)は、なるべく控えてください。

正確な作用機序としては、炎症物質のプロスタグランジン(PG)を合成する際に必要な酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」をブロックする作用により、結果としてPGの合成量を抑制する効果が期待されます。

風邪やインフルエンザの際にも利用する場合がありますが、発熱は身体の防御機能でもあるため、むやみに熱を下げれば良いものではありません。

そのため、医師と相談の上、本当に必要な場合にのみ利用する様にしてください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・消化性潰瘍のある方
・重篤な血液の異常のある方
・重篤な肝障害のある方
・重篤な腎障害のある方
・重篤な心機能不全のある方
・重篤な高血圧症の方
・重篤な膵炎の方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・サリチル酸系化合物(アスピリン等)に対し過敏症の既往歴のある方
・アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・トリアムテレンを投与中の方

以下の方は、原則禁忌です。

・小児等

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・消化性潰瘍の既往歴のある方
・非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある方で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている方
・血液の異常、又は、その既往歴のある方
・出血傾向のある方
・肝障害、又は、その既往歴のある方
・腎障害、又は、その既往歴のある方
・心機能異常のある方
・高血圧症の方
・膵炎の方
・過敏症の既往歴のある方
・てんかんの方
・パーキンソン症候群等の中枢神経系疾患のある方
・気管支喘息のある方
・SLE(全身性エリテマトーデス)の方
・潰瘍性大腸炎の方
・クローン病の方
・高齢の方
・授乳婦の方

以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・トリアムテレン
  ・トリテレン等

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・プロベネシド
・アスピリン
・抗凝血剤及び抗血小板薬
  ・ワルファリン
  ・レビパリン
  ・クロピドグレル等
・メトトレキサート
・リチウム
・β-遮断剤
・ACE阻害剤
・A-II受容体拮抗剤
・ACE阻害剤
・A-II受容体拮抗剤
・ループ利尿剤
  ・フロセミド等
・チアジド系及びその類似降圧利尿剤
  ・ヒドロクロロチアジド等
・カリウム保持性利尿剤
  ・スピロノラクトン等
・エプレレノン
・ジゴキシン
・シクロスポリン

 

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