アリムタによる副作用
アリムタとは
アリムタ(Alimta)とは、抗がん剤です。
本剤の主成分は、ペメトレキセドナトリウム水和物(Pemetrexed Sodium Hydrate)で、葉酸に似せた物質です。
葉酸は、癌細胞内に吸収された場合、DNA合成で酵素の働きに利用されますが、本剤は葉酸の偽物であるため、酵素が機能せず、これにより細胞分裂を抑制します。
代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤と呼ばれるカテゴリのお薬で、その中でも、葉酸拮抗薬に分類されています。
適応症は以下の通りです。
・悪性胸膜中皮腫
・切除不能な進行、再発の非小細胞肺癌
本剤は、日本イーライリリー株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
アリムタの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・悪心がある
・疲労する
・嘔吐する
・好中球が減少する
・ヘモグロビンが減少する
・食欲不振になる
・白血球が減少する
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
骨髄抑制 | 汎血球が減少する、好中球が減少する、貧血になる、白血球が減少する、血小板が減少する、ヘモグロビンが減少する、赤血球が減少する、リンパ球が減少する、出血がみられる、発熱する、悪寒がする、口中の白い斑点がみられる、点状出血(手足の赤い点)がみられる、紫斑ができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる、水便になる、脱力感がある等 |
白血球減少 | 風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい |
好中球減少 | 感染症が発現するまでは無症状。発熱する、口や肛門の周りが痛みを伴うびらん(潰瘍)になる、細菌性肺炎等の重症感染症にかかる等 |
血小板減少(血小板減少症) | 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等 |
感染症 | 肺炎、敗血症等 |
間質性肺炎 | 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等 |
ショック | 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等 |
アナフィラキシー様症状 | 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等 |
重度の下痢 | 水様便がでる、頻回の下痢がある、血便がでる、激しい腹痛がある、尿量が減少する、頻脈になる、口渇になる、血圧が低下する、脱水症状がある、意識が混濁している、無気力である等 |
脱水 | のどが渇く、小便が出ない、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、倦怠感がある、意識を失う等 |
腎不全 | むくみがある、尿が出にくい、尿毒症になる、クレアチニン値が上昇する等 |
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) | からだがだるい、関節の痛み、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、発熱、食欲不振口内が荒れる等 |
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) | 高熱、陰部の痛み、関節の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、発熱、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、食欲不振、からだがだるい等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
内分泌系 | 血糖値が上昇する、尿糖が陽性になる |
精神神経系 | 頭痛がする、眩暈(めまい)がする、感覚神経障害になる、味覚異常がみられる、感覚が鈍麻する、不眠症になる、傾眠がみられる、運動神経障害になる |
眼 | 眼脂がみられる、流涙が増加する、眼球が乾燥する、結膜炎になる |
循環器 | 血圧が上昇する、心嚢液貯留がみられる、動悸がする、不整脈がみられる |
血管障害 | ほてりがある、潮紅がみられる |
呼吸器 | しゃっくりがでる、咳嗽(がいそう)がでる、咽喉頭疼痛がある、鼻漏がみられる、呼吸困難になる、胸水がみられる、低酸素症になる |
消化器 | 食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、大腸炎になる、便秘になる、下痢する、口内炎ができる、咽頭粘膜炎になる、消化不良になる、口唇炎ができる、胃部不快感がある、腹痛になる、胃炎になる、食道炎になる |
肝臓 | AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、血中LDH値が上昇する、血中Al-P値が上昇する、ビリルビン値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、尿中ウロビリンが陽性になる |
皮膚 | 発疹ができる、そう痒症になる、色素沈着がみられる、脱毛症になる、多形紅斑がみられる、蕁麻疹(じんましん)がでる |
腎臓 | アルブミン値が低下する、電解質異常がみられる、尿潜血陽性になる、蛋白尿がでる、総蛋白が減少する、BUN値が上昇する、総蛋白が増加する |
その他 | 倦怠感がある、発熱する、CRP値が上昇する、放射線照射リコール反応がでる、溶血性貧血になる、疲労する、体重が減少する、熱感がある、白血球が増多する、好中球が増多する、血小板が増多する、浮腫ができる、関節痛になる、感冒様症状がみられる、顔面浮腫ができる、眼瞼浮腫ができる、悪寒がする、鼻出血がみられる、肺炎になる、単球が増多する、胸痛がある、アレルギー反応/過敏症がおこる |
過量投与 | 骨髄抑制がみられる(好中球が減少する、血小板が減少する、貧血になる)、粘膜炎になる、発疹ができる、感染する、下痢する等 |
アリムタについて
本剤は、葉酸拮抗薬です。がん細胞だけではなく、一般の正常な細胞に対しても、その効果が及びます。
そのため、通常、本剤による治療に伴い、葉酸やビタミンB12の補給を行います。
悪性中皮腫の治療には、シスプラチンとの併用療法が有効です。
但し、この場合には、シスプラチンの副作用も考慮する必要があります。
催奇形性があるため、妊婦の方は禁忌で利用できません。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分んに対して重篤な過敏症の既往歴のある方
・高度な骨髄抑制のある方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・骨髄抑制のある方
・間質性肺炎、肺線維症の方、又はこれらの既往歴のある方
・胸水がみられる方
・腹水がみられる方
・腎障害のある方
・肝障害のある方
・高齢の方
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・非ステロイド性抗炎症剤
・イブプロフェン等
・腎毒性を有する薬剤又は腎排泄型薬剤
・プロベネシド
・ペニシリン等
・抗悪性腫瘍剤