メルカゾールによる副作用
メルカゾールとは
メルカゾール(MERCAZOLE)は、甲状腺ホルモンを抑制するためのお薬です。
通常、バセドウ病の様な甲状腺機能亢進症の治療に利用されます。
バセドウ病の症状としては、心臓がドキドキする、暑がりになる、汗をかく、イライラする、微熱が出る、食べても痩せる等の代謝の亢進があります。
この症状は、甲状腺ホルモンの分泌が多いために発現している症状です。
メルカゾールの主成分である、チアマゾール(Thiamazole)は、甲状腺ホルモンの合成を抑制する抗甲状腺薬です。
甲状腺ホルモンを合成する際に必要な、甲状腺のペルオキシダーゼという酵素を阻害することにより、これらの症状を緩和・改善させます。
適応症は、以下の通りです。
・甲状腺機能亢進症
メルカゾールは、中外製薬株式会社により、製造・販売されています。
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主な副作用
メルカゾールの代表的な副作用は、以下の通りです。
・発疹ができる
・蕁麻疹(じんましん)がでる
・皮膚が痒い
重大な副作用は稀ですが、白血球等の血液成分が急激に減少し、そのために身体の抵抗力が低下する場合があります。
この症状は、服用開始後、数週間から数か月の間に発現することが多いため、高熱がでたり喉が痛い等の症状があった場合には、速やかに医師と相談してください。
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
汎血球減少 | 全身がだるくなる、階段等を上る際に息切れする、動悸がする、頭重がある、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、鼻血がでる、耳鳴りがする、皮下出血がある、歯茎から出血する等 |
再生不良性貧血 | 発熱する、悪寒がする、手足に赤い点(点状出血)ができる、赤紫のあざができる、のどが痛む、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状等がみられる |
無顆粒球症 | 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等 |
白血球減少 | 風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい |
低プロトロンビン血症 | 出血が止まりにくい、血中プロトロンビンが低い、血液凝固時間が長くなる等 |
第VII因子欠乏症 | 無症状もある。出血傾向になる、皮膚粘膜出血がみられる(皮下出血、鼻出血、性器出血)、抜歯後出血がみられる、外傷後出血症状がみられる、関節出血がみられる、消化管出血がみられる、血尿になる、月経過多になる、分娩後異常出血がみられる等 |
血小板減少(血小板減少症) | 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎から出血する等 |
血小板減少性紫斑病 | 皮膚や粘膜等の出血症状や紫斑(しはん)や青アザができる、歯ぐきから出血する、鼻血がでる、黒い便がでる、血尿がでる、月経過多になる等 |
肝機能障害 | 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等 |
黄疸 | 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒がある等、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹がでる等 |
多発性関節炎 | あちこちの関節が痛む、手指がこわばる、赤く腫れる、膝関節・手・足・股・肘関節等の痛みや腫れがみられる等 |
SLE様症状(全身性エリテマトーデス様症状、全身性紅斑性狼瘡様症状、ループス様症候群) | 筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱する、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる等 |
インスリン自己免疫症候群 | 冷や汗がでる、むかつく、悪寒がある、強い空腹感がある、脱力感がある等 |
間質性肺炎 | 発熱する、咳嗽(がいそう)がある、呼吸困難になる、胸部X線異常がある、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等 |
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎症候群 | 脱力する、疲労する、発熱する、食欲不振になる、関節痛がある、貧血になる、喀血する、呼吸困難になる、血尿がでる、蛋白尿がでる、関節腫脹がみられる、皮膚潰瘍になる、紫斑がみられる、各部位での血管炎がみられる(腎臓、肺、神経、皮膚、消化管、眼、心臓)、肺出血がある、消化管出血がある、脳出血がある等 |
横紋筋融解症 | 手足肩を中心とした筋肉痛・こわばりがある、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
肝臓 | AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する等 |
皮膚 | 脱毛になる、色素沈着がみられる、そう痒感がある、紅斑ができる等 |
消化器 | 悪心がある、嘔吐する、下痢する、食欲不振になる等 |
精神神経系 | 頭痛がする、眩暈(めまい)がする、末梢神経異常になる等 |
過敏症 | 発疹がでる、蕁麻疹がでる、発熱する等 |
筋・骨格 | こむらがえりをおこす、筋肉痛になる、関節痛がある |
血液 | 好酸球が増多する |
その他 | CK(CPK)値が上昇する、けん怠感がある、リンパ節腫脹がみられる、唾液腺肥大がある、浮腫ができる、味覚異常になる(味覚減退を含む) |
過量投与 | 甲状腺腫になる、甲状腺機能が低下する |
メルカゾールについて
他に持病等のある方は、医師と相談してください。
妊婦や妊娠している可能性のある方、授乳中の方、及び、高齢の方も医師にご相談ください。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・肝障害のある方
・中等度以上の白血球の減少、又は、他の血液障害のある方
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり注意が必要なので、医師とご相談ください。
・クマリン系抗凝血剤(ワルファリンカリウム)
・ジギタリス製剤(ジゴキシン等)