エストラーナによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/10

エストラーナとは

エストラーナ(ESTRANA)とは、女性ホルモン(卵胞ホルモン)を補充するためのお薬です。

主に更年期障害や骨粗鬆症、不妊等の治療に利用されています。

本剤の主成分は、エストラジオール(Estradiol)で、天然型の卵胞ホルモンです。

通常、貼り薬(テープ)により皮膚から有効成分を少量づつ吸収することにより、長期間効果を持続させることが可能です。

適応症は以下の通りです。

・更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状
  ・血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)
  ・泌尿生殖器の萎縮症状
・閉経後骨粗鬆症
・性腺機能低下症
・性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症

本剤は、久光製薬株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

エストラーナの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

(更年期障害及び卵巣欠落症状)
・紅斑ができる
・そう痒がある
・乳房緊満感がある
・帯下がみられる
・子宮出血がみられる
・トリグリセライド値が上昇する
・総コレステロール値が上昇する
・LDH値が上昇する

(閉経後骨粗鬆症)
・紅斑ができる
・そう痒がある
・不正子宮出血がみられる
・子宮出血がみられる
・乳房緊満感がある
・乳房痛がある
・トリグリセライド値が上昇する
・ALT(GPT)値が上昇する
・フィブリノーゲンが増加する
・AST(GOT)値が上昇する
・乳房不快感がある
・接触性皮膚炎になる

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
アナフィラキシー様症状 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等
静脈血栓塞栓症 手足のマヒや痺れ(しびれ)がみられる、しゃべりにくい、胸が痛む、呼吸困難になる、片方の足の急激な痛みや腫れがみられる、肺塞栓症になる、脳梗塞になる、心筋梗塞になる、動悸がする、冷汗がでる、チアノーゼがみられる、静脈怒脹がみられる、血圧が低下する、意識消失がみられる、心肺停止がみられる、痺れる、皮膚が変色する、血栓より遠位の浮腫ができる、皮膚の炎症がみられる、血栓性静脈炎になる、慢性的な息切れがある、足首や脚がむくむ、脱力感がある、意識消失等がみられる(俗名エコノミークラス症候群、ロングフライト血栓症)等
血栓性静脈炎 索状の発赤がある、浮腫ができる、痛みを伴う硬結がある、発熱する、悪寒(おかん)がする、急激に現れる浮腫がある、浮腫性の腫れがある、チアノーゼ(皮膚や粘膜が紫色になる)がみられる、強い痛みがある等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
皮膚 一次刺激性の接触皮膚炎がみられる(紅斑ができる、そう痒がある等)、かぶれる、水疱ができる、色素沈着がみられる
生殖器 不正出血がある、消退出血がある、帯下がみられる、外陰部腫脹感がある、外陰部そう痒感がある、子宮内膜増殖がみられる
乳房 乳房緊満感がある、乳房痛がある、乳頭痛がある、乳腺症になる
精神神経系 片頭痛がする、頭痛がする、眠気がある、眩暈(めまい)がする、不眠になる
循環器 静脈瘤が悪化する、動悸がする、胸部不快感がある、血圧が上昇する
消化器 嘔吐する、嘔気がある、下痢する、腹部膨満感がある、便秘する、心窩部痛がある
電解質代謝 浮腫ができる
過敏症 アレルギー性接触皮膚炎になる、全身のそう痒がある、発疹ができる、顔面そう痒がある、顔面紅斑ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる
肝臓 胆石症になる、胆嚢疾患がみられる、胆汁うっ滞性黄疸がみられる、肝機能障害がみられる(AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、Al-P値が上昇する、LDH値が上昇する等)
その他 下肢痛がある、ポルフィリン症が悪化する、喘息が悪化する、耳硬化症になる、腹痛がある、下腹部痛がある、関節痛がある、腰痛がある、耳鳴がする、体重が増加する、背部痛がある、倦怠感がある、トリグリセライド値が上昇する、フィブリノーゲンが増加する、体重が減少する、発熱する
同類の薬による副作用 電解質代謝:大量継続利用に伴いナトリウムや体液の貯留がみられる、長期連用に伴い血栓症が発現する

 

エストラーナについて

本剤は通常、テープを貼付する形であるため、肝臓への負担も少なく、長期間利用することにより、骨粗鬆症等の予防にも利用されています。

反面、添付した皮膚部位の発赤や痒み等、皮膚症状が発現する場合があります。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある方
・乳癌の既往歴のある方
・未治療の子宮内膜増殖症のある方
・血栓性静脈炎のある方、又はその既往歴のある方
・肺塞栓症のある方、又はその既往歴のある方
・動脈性の血栓塞栓疾患(例えば、冠動脈性心疾患、脳卒中)又はその既往歴のある方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・重篤な肝障害のある方
・診断の確定していない異常性器出血のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・子宮筋腫のある方
・子宮内膜症のある方
・乳癌家族素因が強い方
・乳房結節のある方
・乳腺症の方
・乳房レントゲン像に異常がみられた方
・高血圧の方、又はその既往歴のある方
・心疾患のある方、又はその既往歴のある方
・腎疾患のある方、又はその既往歴のある方
・糖尿病の方
・片頭痛のある方
・てんかんのある方
・肝障害のある方
・術前の方
・長期臥床状態の方
・全身性エリテマトーデスの方

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・リファンピシン
・抗てんかん剤
  ・フェノバルビタール
  ・フェニトイン
  ・カルバマゼピン
・HIV逆転写酵素阻害剤
  ・エファビレンツ
・セイヨウオトギリソウ(St.John’sWort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
・ステロイドホルモン

 

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