アクテムラによる副作用
アクテムラとは
アクテムラ(ACTEMRA)とは、関節リウマチやキャッスルマン病等の炎症を抑えるためのお薬です。
本剤の主成分は、トシリズマブ(遺伝子組換え)(Tocilizumab(Genetical Recombination))で、炎症作用を発現させるIL-6(インターロイキン6)と言う物質を抑制する作用があります。
この作用により、キャッスルマン病や関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎等の炎症等を抑える効果を発現すると言われています。
適応症は以下の通りです。
・既存治療で効果不十分な下記疾患
・関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
・多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
・全身型若年性特発性関節炎
・キャッスルマン病に伴う下記諸症状及び検査所見の改善
・C反応性タンパク高値
・フィブリノーゲン高値
・赤血球沈降速度亢進
・ヘモグロビン低値
・アルブミン低値
・全身けん怠感
本剤は、中外製薬株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
アクテムラの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・コレステロールが増加する
・鼻咽頭炎になる
・肝機能異常がみられる
・白血球が減少する
・上気道感染がみられる
・高脂血症になる
・LDL値が増加する
・トリグリセリド値が増加する
・ALT(GPT)値が上昇する
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
アナフィラキシーショック | 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等 |
アナフィラキシー様症状 | 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等 |
感染症 | 肺炎、帯状疱疹、感染性胃腸炎、蜂巣炎、感染性関節炎、敗血症、非結核性抗酸菌症、結核、ニューモシスチス肺炎等の日和見感染を含む重篤な感染症が発現し致命的な経過をたどる等 |
間質性肺炎 | 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等 |
腸管穿孔 | 重度の広汎な腹痛がみられる、圧痛がある、腹膜炎の徴候を伴う急性腹症になる、疼痛がある、肩の疼痛に放散がみられる、悪心がある、嘔吐する、食欲不振になる、腸雑音の減弱や消失がみられる等 |
無顆粒球症 | 発熱する、咽頭痛になる、倦怠感がある、口内炎ができる等 |
白血球減少 | 風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい |
好中球減少 | 感染症が発現するまでは無症状。発熱する、口や肛門の周りが痛みを伴うびらん(潰瘍)になる、細菌性肺炎等の重症感染症にかかる等 |
血小板減少(血小板減少症) | 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等 |
心不全 | 息苦しい、むくみがでる、頻尿になる、起座呼吸(起き上がって深く急な呼吸をする)がみられる、疲労感がある、体力が低下する、眠気がある、錯乱する、見当識障害がみられる、足、足首、脚、肝臓、腹部に体液がたまり腫れる・むくみが出る、吐き気がする、食欲不振になる、息切れする、あえぐ、喘鳴(ぜんめい)がきこえる等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
抵抗機構 | ヘルペスウイルス感染、インフルエンザ、口腔カンジダ症、耳下腺炎、創傷感染 |
呼吸器 | 上気道感染する(鼻咽頭炎、上気道炎等)、気管支炎になる、咽喉頭疼痛がある、咳嗽(がいそう)がみられる、副鼻腔炎になる、鼻炎になる、鼻漏がみられる、胸膜炎になる、喀血する、喘息になる、咽頭不快感がある、咽頭紅斑ができる、鼻閉がみられる、鼻出血がみられる、気管支拡張症になる |
代謝 | コレステロール値が増加する、トリグリセリド値が増加する、高脂血症になる、高コレステロール血症になる、LDL値が増加する、LDH値が上昇する、HDL値が増加する、高トリグリセリド血症になる、血中尿酸値が増加する、CK(CPK)値が上昇する、総蛋白値が減少する、糖尿病が増悪する、血中カリウム値が減少する、血糖値が増加する、血中リン値が増加・減少する、血清フェリチン値が減少する、血中カルシウム値が減少する |
肝臓 | 肝機能異常がみられる、ALT(GPT)値が上昇する、AST(GOT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、ビリルビン値が増加する、Al-P値が上昇する、脂肪肝になる、胆石症がみられる |
循環器 | 高血圧になる、血圧が上昇する、血圧が低下する、動悸がする、T波逆転や振幅減少がみられる、心室性期外収縮がみられる、上室性期外収縮がみられる、ST部分上昇や下降がみられる、T波振幅増加がみられる |
血液・凝固 | リンパ球数が減少する、貧血になる、白血球数が増加する、フィブリノゲンが減少する、好酸球数が増加する、フィブリン分解産物(FDP、Dダイマー)が増加する、ヘマトクリットが減少する、ヘモグロビンが減少する、リンパ節炎になる、リンパ節腫脹がみられる、好中球数が増加する、赤血球数が減少する、TAT値が増加する |
消化器 | 口内炎ができる、下痢する、胃腸炎になる、腹痛がする、悪心がある、便秘する、嘔吐する、腹部不快感がある、口唇炎になる、腹部膨満がみられる、食欲不振になる、胃や腸にポリープができる、歯周病になる、齲歯がみられる、歯肉炎になる、歯痛がする、逆流性食道炎になる、痔核がみられる、消化不良になる、口が渇く、舌炎になる、胃潰瘍になる、急性膵炎になる、歯根膜感染がみられる |
精神神経 | 頭痛がする、浮動性めまいがする、感覚減退がみられる、不眠症になる、末梢性ニューロパシーがみられる |
耳 | 中耳炎になる、眩暈(めまい)がする、突発難聴になる、外耳炎になる、耳鳴がする、耳に不快感がある、 |
眼 | 結膜炎になる、麦粒腫がみられる、眼乾燥がみられる、結膜出血がみられる、霰粒腫がみられる、白内障になる、硝子体浮遊物がみられる、眼瞼炎になる、網膜出血がみられる |
皮膚 | 発疹ができる(湿疹、痒疹、丘疹等)、そう痒症になる、白癬ができる、皮膚感染がみられる、膿瘍がみられる、爪感染がみられる、蕁麻疹(じんましん)がでる、紅斑ができる、皮膚潰瘍ができる、皮下出血がみられる、嵌入爪がみられる、ざ瘡がみられる、皮膚乾燥がみられる、水疱ができる、角化症になる、脱毛症になる、皮膚嚢腫がみられる |
筋・骨格 | 関節痛になる、背部痛がある、筋痛がする(筋痛、肩こり)、四肢痛がある、骨粗鬆症になる、骨密度が減少する、頚部痛がある、若年性関節炎が増悪する |
泌尿器 | 膀胱炎になる、尿路感染がみられる、BUN値が増加する、尿中赤血球陽性がみられる、腎盂腎炎になる、尿糖がみられる、尿蛋白がでる、腎結石ができる、NAG値が増加する、頻尿になる、尿中白血球陽性がみられる |
生殖器 | 腟感染がみられる、性器出血がみられる、子宮頚管ポリープができる |
その他 | 発熱する、浮腫ができる、けん怠感がある、免疫グロブリンG減少がみられる、胸痛がする、胸部不快感がある、季節性アレルギーになる、CRP値が増加する、悪寒がする、潮紅がみられる、アレルギー性鼻炎になる、気分不良になる、ほてりがある、注射部位反応がみられる(紅斑、腫脹、血腫、疼痛、静脈炎、発疹等)、血栓性静脈炎になる、DNA抗体陽性がみられる、リウマチ因子陽性がみられる、体重が増加する、抗核抗体陽性がみられる、発汗障害がみられる |
アクテムラについて
本剤は、2005年6月に販売された国産第1号の抗体医薬品であり、分子標的治療薬です。
本剤の投与に伴い敗血症や肺炎等の重篤な感染症が発現し、致命的な経過をたどる場合があるため、感染症には十分な注意が必要である。
持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・重篤な感染症を合併している方
・活動性結核の方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・感染症を合併している方、又は感染症が疑われる方
・結核の既感染者
・特に結核の既往歴のある方
・胸部X線上結核治癒所見のある方
・易感染性の状態にある方
・間質性肺炎の既往歴のある方
・腸管憩室のある方
・白血球減少、好中球減少、血小板減少のある方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・高齢の方
・小児等