アリミデックスによる副作用
アリミデックスとは
アリミデックス(Arimidex)とは、乳癌の治療薬です。主に閉経後の乳癌で利用されています。
本剤の主成分は、アナストロゾール(Anastrozole)で、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が、副腎のアンドロゲン(男性ホルモン)から転化生成される作用を抑制する作用があります。
乳癌は、女性ホルモンであるエストロゲンの影響により増殖しますので、閉経後に主なエストロゲン生成過程である上述のルートをブロックすることにより、乳癌の増殖を抑制する効果が期待されます。
適応症は以下の通りです。
・閉経後乳癌
本剤は、アストラゼネカ株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
アリミデックスの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・関節痛になる
・肝機能異常がみられる
・ほてりがみれれる
・発疹ができる
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) | 高熱、陰部の痛み、関節の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、発熱、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、食欲不振、からだがだるい等 |
アナフィラキシー | 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、痙攣(けいれん)する、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等 |
血管浮腫 | 呼吸が苦しい、会話が不自由になる、顔面・口唇・咽頭・舌の腫脹がみられる等 |
蕁麻疹(じんましん)がでる | 皮膚の浅い層に大小様々なむくみやブツブツができる、赤みがかったみみず腫れができる、強いかゆみがある、突発的な湿疹ができる、チクチクする、焼けるような熱さがある、痛みがある等 |
肝機能障害 | 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等 |
黄疸 | 嘔気がある、嘔吐する、食欲が不振になる、倦怠感がある、そう痒がある等、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹ができる等 |
間質性肺炎 | 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等 |
血栓塞栓症 | 手足がマヒする・痺れる(しびれる)、しゃべりにくい、胸の痛みがある、呼吸困難になる、片方の足の急激な痛みや腫れがみられる、肺塞栓症になる、脳梗塞になる、深部静脈血栓症になる、心筋梗塞になる、動悸がする、冷汗がでる、チアノーゼがみられる、静脈怒脹になる、血圧が低下する、意識が消失する、心肺停止になる、痺れる、皮膚が変色する、血栓より遠位の浮腫ができる、皮膚の炎症がおこる、血栓性静脈炎になる、慢性的な息切れがある、足首や脚のむくみがある、脱力感がある、意識が消失する等(俗名エコノミークラス症候群、ロングフライト血栓症)等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
全身 | ほてりがみられる、頭痛がする、倦怠感がある、無力症になる、疲労する |
肝臓 | 肝機能検査値の異常がみられる(AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、Al-P値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、ビリルビン値が上昇する) |
消化器 | 嘔気がある、食欲不振になる、嘔吐する、下痢する |
精神神経系 | 感覚異常がみられる(錯感覚がある、味覚異常を含む)、傾眠がみられる、手根管症候群になる |
皮膚 | 脱毛がみられる、発疹ができる、皮膚血管炎になる、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病になる |
筋・骨格系 | 関節痛になる、硬直がみられる、骨折する、関節炎になる、骨粗鬆症になる、骨痛がする、弾発指がみられる、筋肉痛になる |
生殖器 | 性器出血がみられる、腟乾燥がみられる |
血液 | 白血球が減少する、好中球が減少する |
その他 | 高コレステロール血症になる、高カルシウム血症になる |
過量投与 | 特になし |
アリミデックスについて
本剤は、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)により増殖する乳癌の性質を利用し、これを抑制することにより治療を行う、ホルモン療法(内分泌療法)です。
そのため、特にホルモン反応性が高い女性ホルモン受容体陽性の乳癌に対して最も効果があると言われています。
閉経前には、卵巣でエストロゲンが大量に生成されるため、主に閉経後に利用されるお薬に位置づけられています。
具体的な作用機序としては、副腎のアンドロゲン(男性ホルモン)からエストロゲンを生成するために必要な酵素(アロマターゼ)のヘム鉄に結合することで、エストロゲン転化を抑制すると言われています。
新しい、非ステロイド性アロマターゼ阻害薬で、閉経後で、かつ、女性ホルモン受容体(HR:ER・PgR)が陽性の場合、優先使用される標準薬に位置づけられています。
持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。
特に腎臓や肝臓の良くない方は医師との相談が必要です。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方。
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・重度の肝障害のある方
・重度の腎障害のある方
・高齢の方