アナフラニールによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/10

アナフラニールとは

アナフラニール(ANAFRANIL)とは、不安を緩和し憂鬱な気分を抑制し前向きな気持ちにするためのお薬です。

意欲を高める効果で主に抗うつ薬として利用されますが、子供の夜尿症等の治療にも利用されています。

本剤の主成分は、クロミプラミン塩酸塩(Clomipramine Hydrochloride)で、ノルアドレナリンとセロトニンを増加させる作用が期待されます。

ノルアドレナリンには意欲を改善させる作用があり、セロトニンには不安や落ち込みを改善させる作用があると言われています。

また、抗コリン作用により、尿が出にくくなりますので、夜尿症にも利用されています。

適応症は以下の通りです。

・精神科領域におけるうつ病、うつ状態
・遺尿症
・ナルコレプシーに伴う情動脱力発作

本剤は、アルフレッサ ファーマ株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

アナフラニールの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

(うつ病・うつ状態)
・口が渇く
・眠気がする
・立ちくらみがする
・眩暈(めまい)がする
・ふらつく
・食欲減退がみられる

(遺尿症)
・食欲不振になる
・早朝覚醒がみられる
・口が渇く

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
悪性症候群(Syndrome malin) 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)がみられる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がみられる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧の変動がみられる、発汗等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例の報告がある
セロトニン症候群 悪寒がする、発熱する、手が震える、不安になる、焦燥がある、興奮する、激越する、錯乱する、幻覚がみえる、反射亢進がある、ミオクロヌスがみられる、発汗する、戦慄する、頻脈になる、振戦がおこる、下痢する、高血圧になる、固縮、協調異常がみられる、自律神経不安定等。特にセロトニン作用薬と併用した際に発現する可能性が高い
てんかん発作 筋肉が突っ張る、痙攣、唾液が泡の様に出る、筋肉がぴくぴくする、上半身がくっと折れる(1日何回も繰り返す)、頭痛、吐き気、腹痛等
横紋筋融解症 手足肩を中心とした筋肉痛・こわばりがある、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う場合がある
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等
汎血球減少 全身がだるい、階段等を上る際に息切れする、動悸がする、頭重がみられる、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、鼻血がでる、耳鳴りがする、皮下出血がみられる、歯茎の出血がみられる等
麻痺性イレウス 腸管麻痺がおこる(食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、著しい便秘がある、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状がおこる)、強い腹痛がみられる、吐き気がする、吐く、ひどい便秘になる、おなかが膨れる等
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がある、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等
好酸球性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がきこえる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、胸の痛みがある、から咳がでる、息切れする等
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) 食欲不振になる、嘔気がある、嘔吐する、全身けん怠感がある、むくみのない短期間の体重増加がみられる、頭痛がする、吐き気がする、低浸透圧血症になる、尿中ナトリウム排泄量の増加がみられる、高張尿がみられる、意識障害がある、主に高齢の方に低ナトリウム血症がみられる、痙攣(けいれん)する等
QT延長 意識を失った、脈が乱れる、立ち眩みがする等
心室頻拍(Torsades de pointesを含む) 心室期外収縮が引き金で突然、発作的な頻拍になる、不整脈がみられる等
心室細動 頻脈になる、胸の痛みがある、息切れする、動悸がする、発熱する、吐き気がする、嘔吐する、痙攣(けいれん)する、不整脈がみられる、脈拍喪失がみられる、意識消失がみられる、全身痙攣(ぜんしんけいれん)がおこる、無呼吸になる、あえぎ呼吸がみられる(死戦期呼吸、下顎呼吸)、心停止する等
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒がある等、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹ができる等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
循環器 起立性低血圧がみられる、心電図異常(QT延長等)がみられる、頻脈になる、不整脈がある、心ブロックがみられる、血圧上昇がみられる、血圧降下がみられる、動悸がする
精神神経系 眠気がする、知覚異常がみられる、幻覚がみられる、せん妄がみられる、精神錯乱がみられる、攻撃的反応がある、激越がみられる、悪夢を見る、抑うつ悪化がみられる、記憶障害がみられる、離人症になる、ミオクロヌスがみられる、意識障害がみられる、パーキンソン症状や振戦やアカシジア等の錐体外路障害がみられる、躁状態がみられる、不眠になる、あくびがでる、性機能障害がみられる、言語障害がみられる、不安になる、集中力が欠如する、運動失調になる
抗コリン作用 口が渇く、眼内圧が亢進する、緑内障になる、尿閉がみられる、排尿困難になる、視調節障害(散瞳等)がみられる、便秘になる
皮膚 光線過敏症になる、脱毛がみられる
過敏症 発疹ができる、そう痒感がある
血液 白血球が減少する、血小板が減少する、紫斑ができる、点状出血がみられる、好酸球が増多する
肝臓 AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する
消化器 味覚異常がみられる、悪心がある、嘔吐する、食欲不振になる、下痢する
内分泌 プロラクチンの分泌が促進される、乳房肥大がみられる、乳汁漏出がみられる、体重が増加する
長期投与 口周部等の不随意運動がみられる
その他 ふらつく、眩暈(めまい)がする、食欲が亢進する、浮腫ができる、けん怠感がある、脱力感がある、頭痛がする、発汗する、異常高熱がでる、熱感がある
過量投与 高度の抗コリン作用がみられる、眠気がする、昏迷がみられる、意識障害がみられる、運動失調になる、情動不安になる、激越する、反射亢進がみられる、筋強剛がみられる、アテトーシス及び舞踏病アテトーシス様の運動がみられる、痙攣(けいれん)する、セロトニン症候群になる、低血圧がみられる、頻脈になる、不整脈がみられる、伝導障害がみられる、ショックがみられる、心不全になる、非常にまれにQT延長がみられる、トルサード・ド・ポアンがみられる、心停止する、その他:呼吸抑制がみられる、チアノーゼがみられる、嘔吐する、散瞳がみられる、発汗する、乏尿になる、無尿になる等

 

アナフラニールについて

1973年に販売された、第一世代の三環系と呼ばれる比較的古い部類の抗うつ剤です。

三環形のお薬の中でも本剤は、セロトニンを増加させる作用が強く、パニック障害や強迫性障害等にも効果が高いと言われています。

効果が強い分、副作用も強く出る傾向のあるお薬です。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

眠気や眩暈(めまい)が発現する場合がありますので、車の運転や危険を伴う作業等は控えてください。

また、自分の勝手な判断で利用を中止したり、利用量を急に変更した場合、反動で症状の悪化を招く場合がありますので、必ず医師とご相談ください。

うつ病等では、症状が改善してからも少量を長期間継続することが多く、これにより再発を防いでいます。

また24歳以下の若い方の場合、自殺念慮等、逆に悪い衝動を引き起こす可能性がありますので、周囲の方は本剤服用時には注意が必要です。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・緑内障のある方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・三環系抗うつ剤に対して過敏症の既往歴のある方
・心筋梗塞の回復初期の方
・尿閉(前立腺疾患等)のある方
・MAO阻害剤(セレギリン)を投与中の方
・MAO阻害剤(セレギリン)を投与中止後2週間以内の方
・QT延長症候群のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・排尿困難又は眼内圧亢進等のある方
・心不全の方
・心筋梗塞の方
・狭心症の方
・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある方
・甲状腺機能亢進症の方
・てんかん等の痙攣性疾患のある方、又は既往歴のある方
・躁うつ病の方
・脳の器質障害のある方
・統合失調症の素因のある方
・衝動性の高い併存障害のある方
・自殺念慮又は自殺企図の既往のある方
・自殺念慮のある方
・副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫、神経芽細胞腫等)のある方
・重篤な肝障害のある方
・重篤な腎障害のある方
・低血圧のある方
・低カリウム血症のある方
・高度な慢性の便秘のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・MAO阻害剤
  ・セレギリン
  ・(エフピー)

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・副交感神経刺激剤
  ・ピロカルピン
  ・セビメリン
・抗コリン作用を有する薬剤
  ・トリヘキシフェニジル
  ・アトロピン等
・アドレナリン作動薬
  ・アドレナリン
  ・ノルアドレナリン
  ・フェニレフリン等
・アトモキセチン
・中枢神経抑制剤
  ・バルビツール酸誘導体等
・全身麻酔剤
  ・ハロタン等
・抗不安剤
  ・アルプラゾラム等
・アルコール
・サリドマイド
・フェノチアジン系精神神経用剤
  ・レボメプロマジン等
・選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI)
  ・フルボキサミン
  ・パロキセチン等
・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 (SNRI)
  ・ミルナシプラン
・リチウム製剤
・三環系抗うつ剤
  ・アミトリプチリン
  ・イミプラミン等
・トラマドール塩酸塩
・リネゾリド
・肝酵素誘導作用をもつ薬剤
  ・バルビツール酸誘導体
  ・フェニトイン
  ・カルバマゼピン
  ・リファンピシン等
・フェニトイン
・抗不整脈剤
  ・キニジン
  ・プロパフェノン
・メチルフェニデート
・シメチジン
・黄体・卵胞ホルモン製剤
・シナカルセト
・サキナビル
・テルビナフィン
・ホスアンプレナビル
・降圧剤
  ・グアネチジン
・インスリン製剤
  ・インスリン
・スルフォニル尿素系糖尿病用剤
  ・グリベンクラミド
  ・グリクラジド
・クマリン系抗凝血剤
  ・ワルファリン
・スルファメトキサゾール・トリメトプリム
・電気ショック療法
・QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
  ・スニチニブ
  ・ダサチニブ
  ・マプロチリン等
・デスモプレシン
・ゾニサミド

 

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