ジェイゾロフトによる副作用
ジェイゾロフトとは
ジェイゾロフト(JZOLOFT)とは、抗うつ剤です。
海外では、ゾロフト(ZOLOFT)と言う名称で以前から提供されており、ジェイゾロフトは、日本での名称になります。
ジェイゾロフトは、塩酸セルトラリン(sertraline hydrochloride)が主成分のセロトニン再取込み阻害剤(SSRI)です。
従来の抗うつ剤と比べて、副作用が少なく、ワールドワイドに利用されているお薬です。
効能としては、うつ病、うつ状態、パニック障害などとなっています。
アメリカでは強迫性障害や摂食障害、外傷後ストレス障害(PTSD)にも利用されています。
作用時間が長く、一日に一回服用するだけで済みます。
本剤は、ファイザー株式会社より、提供されているお薬です。
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主な副作用
ジェイゾロフトの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・悪心がある
・傾眠になる
・口内が乾燥する
・頭痛がする
・下痢する
・浮動性の眩暈(めまい)がある
副作用として良く報告があるのは、飲み始めの吐き気です。通常、この副作用は2週間程度でなくなりますが、人によっては、それ以上の期間、継続する場合もあります。
その際には、医師と相談してください。
また、作用時間が切れる頃に、不快感や憂鬱な感覚を覚えることも多く報告されています。
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 | |
---|---|---|
セロトニン症候群 | 悪寒がする、発熱する、手が震える、不安になる、焦燥する、興奮する、錯乱する、幻覚が見える、反射亢進がある、ミオクロヌスがみられる、発汗する、戦慄(せんりつ)する、頻脈になる、振戦(しんせん)がみられる、下痢する、高血圧になる、固縮(こしゅく)する、自律神経が不安定になる等。特にセロトニン作用薬と併用した際に発現する可能性が高い | |
悪性症候群 | 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)になる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がおこる、嚥下(えんげ)困難になる、頻脈になる、血圧の変動がみられる、発汗する等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。抗精神病剤と併用した際に現れることが多い | |
痙攣(けいれん) | 興奮状態が継続する、怒りっぽい、ぼんやりする、よろめく、吐き気がする、眩暈(めまい)がする、下肢コントロールが不能になる、筋肉の付随現象がおこる等 | |
肝機能障害 | 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い、黄疸がみられる等 | |
肝不全 | 黄疸がみられる、出血傾向になる、腹水が起こる、脱力感がある、肝性脳症になる、全身の健康状態が悪化する、吐き気がする、食欲不振になる等 | |
肝炎 | 白目や皮膚が黄色くなる、高熱がでる、倦怠感が増大する、黄色い尿がでる、淡黄色の便がでる等 | |
黄疸 | 皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がみられる、ブツブツ状の発疹ができる等 | |
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) | むくみのない短期間の体重増加がみられる、頭痛がする、吐き気がする、低浸透圧血症になる、尿中ナトリウム排泄量が増加する、高張尿がみられる、意識障害がある、主に高齢の方に低ナトリウム血症がおこる、痙攣する等 | |
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) | 皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、発熱する、関節が痛む、目が充血する等 | |
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群もしくはToxic Epidermal Necrolysis:TEN) | 皮膚が赤くなる、皮膚が焼けるように痛む、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、発熱する、口内が荒れる等 | |
アナフィラキシー様症状 | 口腔咽頭浮腫ができる、口内に違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
全身症状 | けん怠(感)がある、ほてりがある、無力症になる、疲労する |
精神系 | 睡眠障害(不眠等)になる、錯乱状態になる、悪夢をみる、易刺激性がある、易興奮性がみられる、うつ病になる、躁病になる、精神症になる、多幸症になる、リビドーが減退する、記憶障害がおこる、注意力障害がおこる、攻撃的反応をする、不安になる、焦燥がある、興奮する、幻覚がみえる |
神経系 | 傾眠になる、頭痛がする、浮動性眩暈(めまい)がある、振戦(しんせん)がみられる、感覚減退がみられる、起立性眩暈(めまい)がある、味覚異常がある、頭部不快感がある、運動障害(アカシジア、錐体外路症状、運動過多、歯ぎしり、歩行異常等)がみられる、錯感覚がある、不随意性筋収縮がある、片頭痛がする、失神する |
感覚器 | 調節障害がみられる、視覚異常(霧視、羞明、視力低下等)がある、耳鳴がする、耳閉感がある、回転性眩暈(めまい)がする、散瞳がみられる |
循環器 | 動悸がする、起立性低血圧がみられる、血圧が低下する、血圧が上昇する、頻脈になる |
肝臓 | ALT(GPT)値が増加する、AST(GOT)値が増加する、γ-GTP値が増加する、LDH値が増加する、Al-P値が増加する、総ビリルビン値が増加する、直接ビリルビン値が増加する |
血液 | 白血球数が増加又は減少する、単球が増加する、血小板数が減少する、出血傾向になる(鼻出血、胃腸出血、血尿等)、血小板機能異常がある、紫斑がある、斑状出血がある、皮下出血がある |
消化器系 | 悪心がある、嘔吐する、口内が乾燥する、下痢する、軟便になる、便秘する、腹部不快感がある、腹痛がある、腹部膨満がある、消化不良になる、食欲不振になる、胃腸障害になる、食欲が亢進する、膵炎になる |
過敏症 | 発疹ができる、蕁麻疹(じんましん)ができる、そう痒症になる、顔面浮腫ができる、眼窩周囲浮腫ができる、光線過敏性反応がある |
泌尿器・生殖器 | 排尿困難になる、尿閉になる、頻尿になる、性機能障害(射精遅延、持続勃起症等)がある、月経障害がある、尿失禁・夜尿、乳汁漏出症になる、女性化乳房がみられる |
筋・骨格系 | 背部痛がある、関節痛がある、筋緊張異常(筋硬直、筋緊張亢進、筋痙攣等)がある |
代謝・内分泌 | 総蛋白が減少する、総コレステロールが増加する、尿糖がでる、尿蛋白がでる、甲状腺機能低下症になる、低ナトリウム血症になる、高プロラクチン血症になる |
その他 | 倦怠感がある、多汗(発汗する、寝汗がでる等)になる、無力症になる、熱感がある、異常感がある、胸痛がある、胸部圧迫感がある、疲労する、発熱する、ほてりがある、悪寒がする、体重が減少する、体重が増加する、末梢性浮腫ができる、あくびする、脱毛症になる、気管支痙攣がおこる |
ジェイゾロフトについて
ジェイゾロフト(塩酸セルトラリン)は、まず英国で、1990年に承認されたお薬です。
それから、米国や、様々な国々で承認され、全世界で利用されているお薬になっております。
塩酸セルトラリンは、従来のSSRIと同様に、脳内のセロトニン再取り込みについて選択的、強力に阻害します。
この作用により、シナプス間隙にあるセロトニンの量を増やすことによって、抗うつ作用や、抗不安作用等を発現します。
日本では、2006年7月7日に、本剤の処方が始まりました。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・MAO阻害剤を投与中か投与中止後14日間以内の方
・ピモジドを投与中の方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・肝機能障害のある方
・躁うつ病の方
・自殺念慮や自殺企図の既往のある方
・自殺念慮のある方
・脳の器質的障害や統合失調症の素因のある方
・衝動性が高い併存障害を有する方
・てんかん等の痙攣性疾患やこれらの既往歴のある方
・QT延長やその既往歴のある方
・QT延長を起こすことが知られている薬剤を利用中の方
・出血の危険性を高める薬剤を併用している方
・出血傾向や出血性素因のある方
・緑内障の方、その既往歴のある方
・高齢の方
・小児
以下の薬剤との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、医師とご相談ください。
・MAO阻害剤
セレギリン塩酸塩(エフピー)
・ピモジド(オーラップ)
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり注意が必要なので、医師とご相談ください。
・リネゾリド
・5-HT1B/1D受容体作動薬
スマトリプタンコハク酸塩
ゾルミトリプタン
エレトリプタン臭化水素酸塩
・トラマドール
・メサドン
・ペンタゾシン
・L-トリプトファンを含有する製剤
アミノ酸製剤
経腸成分栄養剤
・セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
・炭酸リチウム
・三環系抗うつ剤
クロミプラミン塩酸塩
イミプラミン塩酸塩
アミトリプチリン塩酸塩
・ワルファリン
・出血傾向が増強する薬剤
非定型抗精神病剤
フェノチアジン系薬剤
三環系抗うつ剤
アスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤
ワルファリン等
・血糖降下薬
トルブタミド
・シメチジン
・アルコール(飲酒)
お酒は、極力お控えください。