トピナによる副作用
トピナとは
トピナ(TOPINA)とは、てんかんの発作を予防するためのお薬です。
主に部分発作に対して併用療法として利用されています。
本剤の主成分は、トピラマート(Topiramate)で、脳神経の興奮を鎮静化させる作用と、てんかん発作の引き金となる、AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体の機能を抑制する作用があります。
適応症は以下の通りです。
・他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない方の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法
海外では、片頭痛の予防薬としても利用されています。
本剤は、てんかんの原因を治療するお薬ではありません。症状を緩和するための対症療法薬です。
アメリカで開発され、100ヵ国以上の国で承認されている安全性の高いお薬です。
本剤は、協和発酵キリン株式会社により製造販売されています。
スポンサーリンク
主な副作用
トピナの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
(成人)
・傾眠がみられる
・体重が減少する
・浮動性めまいがみられる
・無食欲及び大食症候群になる
・γ-GTPが増加する
・血中塩化物が増加する
・血中重炭酸塩が減少する
・血中リンが減少する
(小児)
・傾眠がみられる
・乏汗症になる
・食欲が減退する
・発汗障害がみられる
・体重が減少する
・血中重炭酸塩が減少する
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
続発性閉塞隅角緑内障及びそれに伴う急性近視 | 眼圧が上昇する、充血が強く出る、炎症がみられる、視力が急激に低下する、眼痛がある等 |
腎・尿路結石 | 排尿時の痛みがある、下腹部や横腹・腰・背中の激しい痛みがある、尿の濁りがある、血尿がでる、結晶尿がでる、頻尿になる、残尿感がある、乏尿になる等 |
代謝性アシドーシス | 悪心がある、嘔吐する、嗜眠がみられる、過呼吸になる、不整脈がみられる、倦怠感がある、疲労がみられる、食欲不振になる等 |
乏汗症及びそれに伴う高熱 | 発汗が減少する、体温が上昇する、全身がほてる、暑くても汗が出ない、皮膚が乾燥する、皮膚がピリピリ痛む、乳児期の場合には熱けいれんや急性脳症を発症する場合がある等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
精神神経系 | 傾眠がみられる、眩暈(めまい)がする、摂食異常がみられる、しびれ感がある、頭痛がする、思考力が低下する、会話障害がみられる、不安になる、易刺激性がみられる、抑うつになる、歩行異常がみられる、不眠になる、記憶力が低下する、妄想がみられる、幻覚がみられる、振戦がみられる、味覚異常になる、動作が緩慢になる、眼振がみられる、けいれんする、てんかんが増悪する、筋緊張がみられる、自殺企図がみられる、気分不良になる、平衡障害がみられる、感覚異常がみられる、躁状態になる、思考が異常になる、協調運動異常がみられる、多動になる、昏迷する、認知障害がみられる、錯乱する、離人症になる、興奮する |
消化器 | 腹痛がする、悪心がある、便秘になる、下痢する、嘔吐する、腹部不快感がある、口内炎ができる、胃腸炎になる、歯肉腫脹がみられる、鼓腸放屁がでる、嚥下障害がみられる、唾液分泌過多になる、便失禁がみられる |
代謝及び栄養 | 血中重炭酸塩が減少する、電解質(カリウム、カルシウム、リン、クロール、ナトリウム)が異常になる、トリグリセリドが上昇する、血中アンモニア値が上昇する、血中コレステロールが増加する、総蛋白が減少する、低血糖になる |
眼 | 複視がみられる、視覚異常がみられる、眼痛がする、視力が低下する、羞明がみられる、眼精疲労になる、涙液減少がみられる |
肝臓 | 肝機能異常がみられる(AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇した、γ-GTP値が上昇した,Al-P値が上昇した,LDH値が上昇した〕、ウロビリノーゲン陽性になる、胆石症になる |
血液 | 白血球分画異常がみられる、白血球が減少する、貧血になる、血小板が減少する、白血球が増加する、プロトロンビン量が増加する、鼻出血がみられる |
腎臓・泌尿器 | 尿沈渣陽性になる、血尿がみられる、尿蛋白陽性になる、頻尿になる、尿中リンが増加する、尿失禁がみられる |
循環器 | 胸痛がする、心電図異常がみられる、起立性低血圧になる、動悸がする、徐脈がみられる、血圧が上昇する |
呼吸器 | 呼吸困難になる、咳嗽(がいそう)がみられる、鼻炎になる |
皮膚 | 発汗が減少する、発疹ができる、脱毛がみられる、皮膚炎になる、多汗になる、多毛になる、脂漏がみられる |
感覚器 | 耳鳴がする、聴力が低下する |
筋骨格 | 筋肉痛になる、関節痛がする、四肢重感がある、筋痙攣する |
内分泌 | 月経異常がみられる、乳房痛がする |
その他 | 体重が減少する、けん怠感がある、発熱する、CK(CPK)値が上昇する、脱力する、浮腫ができる、口が渇く、熱感がある、四肢冷感がみられる、体重が増加する、悪寒がする、性欲が減退する、体臭がする |
過量投与 | 痙攣(けいれん)する、傾眠がみられる、精神障害がみられる、昏迷する、激越する、眩暈(めまい)がする、抑うつになる、会話障害がみられる、代謝性アシドーシスがみられる、協調運動異常がみられる、霧視がみられる、複視がみられる、低血圧になる、腹痛がする等 |
トピナについて
現在、世界の100ヵ国以上の国で利用されているお薬で、小児に対しても利用可能な安全なお薬です。
また、他の抗てんかん薬と作用機序が異なるため、併用に適したお薬で、併用した場合、発作の発現リスクが30%以上低下するとの報告があります。
持病やアレルギーのある方は、事前に医師とご相談ください。
服用量は、各個人ごとに異なるため、1回服用を忘れたからと言って、2回分を一緒に服用することは禁止です。
1回分は1回分として、決められた服用量をお守りください。
また、自分の判断で、服用を中止したり、急激に服用量を減量した場合、反動で重い発作を発現する場合があります。
服用の中止、又は減量については、必ず医師とご相談ください。
腎結石や尿路結石が出来やすい方は、普段より水分を多めに摂取する様にしてください。
汗が出にくくなる場合がありますので、高温の場所等は、避けてください。
眠気やふらつきがみられる場合があるため、服用に際しては車の運転や危険を伴う作業等は控えてください。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方。
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・閉塞隅角緑内障の方
・アシドーシスの素因を有する方、又は、アシドーシスを来しやすい治療をしている方
・腎機能障害のある方
・肝機能障害のある方
・自殺企図の既往のある方、及び、自殺念慮を有するうつ病の方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・肝代謝酵素(CYP3A4)誘導作用を有する薬剤
・フェニトイン
・カルバマゼピン等
・中枢抑制薬
・バルビツール酸誘導体等
・炭酸脱水酵素阻害剤
・アセタゾラミド等
・リスペリドン
・メトホルミン
・ピオグリタゾン
・アミトリプチリン
・リチウム
・ジゴキシン
・ヒドロクロロチアジド
・経口避妊薬
・エチニルエストラジオール等
・セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品