トラムセットによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/06

トラムセットとは

トラムセット(TRAMCET)とは、慢性疼痛や抜歯後の痛みを抑えるための鎮痛薬です。

本剤の主成分は、トラマドール塩酸塩(Tramadol Hydrochloride)とアセトアミノフェン(Acetaminophen)の2剤が配合されています。

トラマドール塩酸塩は、オピオイド鎮痛薬で、やや強めの鎮痛作用があり、通常の鎮痛薬では効きにくい神経痛等にも効果があると言われています。

アセトアミノフェンは、古くから利用されているアニリン系解熱鎮痛薬で、痛みを感じる神経に作用し、痛みの感受性を低下させる作用があると言われています。

この2剤の相乗作用により、急速な鎮痛効果の発現と、効果の増強、及び、持続した鎮痛作用が期待されます。

また、アセトアミノフェンを使うことにより、トラマドールの使用量を少なくすることができるため、トラマドールによる副作用の低減も図られています。

適応症は以下の通りです。

・非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
  ・非がん性慢性疼痛
  ・抜歯後の疼痛

例えば以下の様な症状に利用されています。

・腰痛症
・変形性関節症
・関節リウマチ
・帯状疱疹後神経痛
・糖尿病性神経障害性疼痛
・線維筋痛症
・肩関節炎
・腰椎ヘルニア

本剤は、ヤンセンファーマ株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

トラムセットの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・悪心がある
・嘔吐する
・傾眠がみられる
・便秘になる
・浮動性眩暈(めまい)がする

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
アナフィラキシー 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等
痙攣(けいれん) 全身の筋肉がピクピクする、痺れる(しびれる)、チクチクと痛む、瞬間うとうとと眠くなる、失神する、錯乱する、脱力する、膀胱の調節機能が消失する、興奮状態が継続する、怒りっぽくなる、ぼんやりする、よろめく、吐き気がする、眩暈(めまい)がする、下肢のコントロールが不能になる、筋肉の付随現象がみられる等
意識消失(意識喪失) 眩暈(めまい)がする、立ちくらみがある、顔面が蒼白になる、動悸が高まる、胸の痛みがある、胸部不快感がある等
依存性 長期使用に伴い耐性や精神的依存、身体的依存が生じる場合がある。薬をやめられない、急激に投与量を減少させたり中止した場合に退薬症候が発現する。退薬症候としては、激越がみられる、不安になる、神経過敏になる、不眠症になる、運動過多になる、振戦がみられる、胃腸症状がみられる、パニック発作が発現する、幻覚がみられる、錯感覚がある、耳鳴がする等が想定されます
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節の痛み、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、発熱、食欲不振口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱、陰部の痛み、関節の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、発熱、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、食欲不振、からだがだるい等
急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP) 高熱がでる(38℃以上)、皮膚の広い範囲が赤くなる、赤くなった皮ふ上に小さな白いブツブツ(小膿疱)が出る、全身がだるい、食欲がない等
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等
間質性腎炎 発熱する、関節が痛む、吐き気がする、下痢する、尿が濁る等
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がある、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足が浮腫む、息苦しい、意識が低下する等
喘息発作の誘発 息をする際に喉に異変が生じる、ヒューヒュー鳴る、息苦しい等
劇症肝炎 白眼や皮膚が黄色くなる、発熱する、吐き気がする、全身がだるい、AST(GOT)値の著しく上昇する、ALT(GPT)値が著しく上昇する、γ-GTP値が著しく上昇する、Al-P値が著しく上昇する等
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がみられる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒がある等、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹ができる等
顆粒球減少症 寒気がする、身震いする、高熱がでる、頭痛がする、筋肉痛になる、のどが痛む、肺炎や敗血症との合併症状がみられる等
呼吸抑制 頭痛がする、眩暈(めまい)がする、動悸がする、息切れする、不安感がある、判断力が鈍化する、呼吸が緩慢になる、不規則な呼吸になる、呼吸異常がみられる等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
感染症および寄生虫症 腎盂腎炎になる
血液およびリンパ系障害 貧血になる
代謝および栄養障害 食欲不振になる、高脂血症になる、低血糖症になる
精神障害 不眠症になる、不安になる、幻覚がみられる、錯乱がみられる、多幸症になる、神経過敏になる、健忘がみられる、離人症になる、うつ病になる、薬物乱用がみられる、インポテンスになる、悪夢を見る、異常思考がみられる、せん妄がみられる
神経系障害 傾眠がみられる、浮動性眩暈(めまい)がする、頭痛がする、味覚異常がみられる、筋緊張亢進がみられる、感覚鈍麻がみられる、錯感覚がある、注意力障害がみられる、振戦がみられる、筋不随意運動がみられる、第4脳神経麻痺になる、片頭痛がする、運動失調になる、昏迷がみられる、会話障害がみられる、運動障害がみられる
眼障害 視覚異常がみられる、縮瞳がみられる、散瞳がみられる
耳および迷路障害 耳不快感がある、耳鳴がする、回転性眩暈(めまい)がする
心臓障害 動悸がする、不整脈がみられる、頻脈になる
血管障害 高血圧になる、ほてる、低血圧になる
呼吸器、胸郭および縦隔障害 呼吸困難になる、嗄声がきこえる
胃腸障害 悪心がある、嘔吐する、便秘になる、胃不快感がある、腹痛がある、下痢する、口内炎ができる、口内が乾燥する、消化不良になる、胃炎になる、逆流性食道炎になる、口唇炎になる、胃腸障害がみられる、腹部膨満がみられる、胃潰瘍になる、鼓腸がでる、メレナがみられる、上部消化管出血がみられる、嚥下障害がみられる、舌浮腫ができる
肝胆道系障害 肝機能検査異常がみられる
皮膚および皮下組織障害 そう痒症になる、発疹ができる、多汗症になる、冷汗がでる
腎および尿路障害 排尿困難になる、アルブミン尿がでる、尿閉になる、乏尿になる
全身障害および投与局所様態 異常感がある、口が渇く、倦怠感がある、発熱する、浮腫ができる、胸部不快感がある、無力症になる、悪寒がする、疲労する、胸痛がある、失神する、離脱症候群になる
臨床検査 体重が減少する、血中CPK値が増加する、血中尿素値が増加する、血中トリグリセリド値が増加する、血中ビリルビン値が増加する、尿中血陽性になる、尿中ブドウ糖陽性になる、好酸球数が増加する、白血球数が増加する、ヘモグロビン値が減少する、尿中蛋白陽性になる、血中クレアチニン値が増加する、血中ブドウ糖値が増加する、血小板数が増加する、血中クレアチニン値が減少する、血中尿酸値が増加する、好中球百分率が増加する
傷害、中毒および処置合併症 転倒する、転落する
過量投与 呼吸抑制がみられる、嗜眠がみられる、昏睡になる、痙攣発作をおこす、心停止する、胃腸過敏症になる、食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、倦怠感がある、蒼白になる、発汗する等。アセトアミノフェンの過量投与時に肝臓や腎臓や心筋の壊死が報告されている

 

トラムセットについて

本剤は、2つの有効成分の相互作用により、単剤利用時よりも、効き目が早く現れ、かつ、長時間有効であると言われています。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

アスピリン喘息のある方は利用できません。

傾眠や眩暈(めまい)がみられる場合があるため車の運転や危険を伴う作業等は控えてください。

アルコール(飲酒)も控えてください。

また、アセトアミノフェンを含む市販の風邪薬も、作用を増強させ過量投与になる可能性があるため控えてください。

長期連用に伴い、薬物依存になる可能性がありますので、必要な期間だけ利用する様にしてください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・アルコール、睡眠剤、鎮痛剤、オピオイド鎮痛剤又は向精神薬による急性中毒の方
・モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中の方、又は、投与中止後14日以内の方
・治療により十分な管理がされていないてんかんのある方
・消化性潰瘍のある方
・重篤な血液の異常のある方
・重篤な肝障害のある方
・重篤な腎障害のある方
・重篤な心機能不全のある方
・アスピリン喘息(非ステロイド製剤による喘息発作の誘発)の方、又は、その既往歴のある方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・オピオイド鎮痛剤を投与中の方
・てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある方
・呼吸抑制状態にある方
・脳に器質的障害のある方
・薬物の乱用又は薬物依存傾向のある方
・オピオイド鎮痛剤に対し過敏症の既往歴のある方
・ショック状態にある方
・肝障害のある方、又は、その既往歴のある方
・腎障害のある方、又は、その既往歴のある方
・消化性潰瘍の既往歴のある方
・血液の異常又はその既往歴のある方
・出血傾向のある方
・心機能異常のある方
・気管支喘息のある方
・アルコール多量常飲者の方
・絶食・低栄養状態・摂食障害等によるグルタチオン欠乏、脱水症状のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・モノアミン酸化酵素阻害剤
  ・セレギリン塩酸塩(エフピー)

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・オピオイド鎮痛剤
・中枢神経抑制剤
  ・フェノチアジン系薬剤
  ・催眠鎮静剤等
・三環系抗うつ剤
・セロトニン作用薬
  ・選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等
・リネゾリド
・カルバマゼピン
・フェノバルビタール
・フェニトイン
・プリミドン
・リファンピシン
・イソニアジド
・アルコール(飲酒)
・キニジン
・クマリン系抗凝血剤
  ・ワルファリン
・ジゴキシン
・オンダンセトロン塩酸塩水和物
・ブプレノルフィン
  ・ペンタゾシン等
・エチニルエストラジオール含有製剤

 

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