タルセバによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/12

タルセバとは

タルセバ(TARCEVA)とは、肺がんや膵がんの治療に利用されている、比較的新しいタイプの抗がん剤です。

従来の抗がん剤が効く小細胞肺がんに対し、非小細胞肺がんは、これまでは薬の効きが悪く、手術等による切除が必要でした。

本剤は、上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤と言い、非小細胞肺がんに対してもある程度の効果が期待されるため、手術しなくても癌細胞の増殖を一定程度、抑制することが可能です。

特に、手術が困難な場合や、再発した非小細胞肺がん、発見が遅れた膵がん等に、利用されております。

また、本剤による骨髄抑制がほとんどないのも特徴の1つです。

但し、本剤と別のお薬を併用した場合には、骨髄抑制が発生する場合があります。

主な成分は、エルロチニブ塩酸塩(Erlotinib Hydrochloride)で、がんの増殖を抑制します。

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主な副作用

タルセバの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・ざ瘡様皮疹等の発疹がでる
・下痢する
・間質性肺疾患になる
・発疹がでる
・皮膚乾燥になる
・そう痒症になる

特に、間質性肺疾患は、死亡例が多く報告されているため、注意が必要です。

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
間質性肺疾患 間質性肺炎になる、肺臓炎になる、放射線性肺臓炎になる、器質化肺炎になる、肺線維症になる、急性呼吸窮迫症候群になる、肺浸潤になる、胞隔炎になる等
肝炎 白目や皮膚が黄色くなる、高熱が出る、倦怠感が増大する、黄色い尿がでる、淡黄色の便がでる等
肝不全 黄疸がでる、出血傾向になる、腹水がでる、脱力感がある、肝性脳症になる、全身の健康状態が悪化する、吐き気がする、食欲不振になる等
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸が困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
重度の下痢 水様便がでる、頻回の下痢がある、血便がでる、激しい腹痛がある、尿量が減少する、頻脈になる、口が渇く、血圧が低下する、脱水症状になる、意識が混濁する、無気力になる等
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったくなる、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がする、下痢する、脱力感がある、関節の痛む、頭痛がする、顔や手足のむくみがある、息苦しくなる、意識が低下する等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱がでる、陰部の痛みがある、関節の痛みがある、ひどい口内炎になる、唇や口内のただれがある、発熱する、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点ができる、赤い発疹がでる、まぶたや眼の充血がある、結膜が爛れる(ただれる)、食欲不振になる、からだがだるい等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節が痛む、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)ができる、発熱する、食欲不振になる、口内が荒れる等
多形紅斑(たけいこうはん) 手の甲や足の甲、肘や膝などの四肢伸側に左右対称に多発する円形の紅斑ができる、発熱する、痛みがある等
消化管穿孔(しょうかかんせんこう) 急激な腹痛がある、ショック症状になる、遊離ガスが横隔膜直下に溜まる、腹膜炎になる、大量の出血がある、敗血症になる等
消化管潰瘍 食後の腹痛が長い、腹部が張る、吐き気がする、嘔吐する、下痢する等
消化管出血 血を吐く(吐血)、黒いタール便(メレナ)がでる、貧血になる、疲れやすくなる、顔が青白くなる、脈が速くなる、低血圧になる、尿量が減少する、手足が汗ばむ、手足が冷たくなる、意識が混濁する、見当識障害がある、眠気がする等
角膜穿孔 角膜に孔(あな)が開く、失明する等
角膜潰瘍 眼がゴロゴロする、眩しい、流涙が痛む(時に激痛)、白目の充血がある、目やにがでる、瞳にかかる部分に潰瘍ができる、急激な視力の低下がみられる等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
皮膚 ざ瘡様皮疹等の発疹がでる、皮膚乾燥や皮膚亀裂が見られる、爪囲炎等の爪の障害がでる、そう痒症になる、男性型多毛症になる、 皮膚潰瘍ができる、脱毛がある、皮下出血がある、皮膚色素沈着がある、皮膚血管炎になる、光線過敏症になる
結膜炎になる、角膜炎になる、眼が乾燥する、眼瞼炎になる、角膜びらんになる、睫毛/眉毛の異常がある、眼そう痒症になる、眼脂がある、霧視になる
肝臓 ビリルビン値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、AST(GOT)値が上昇する、Al-P値が上昇する、LDH値が上昇する、γ-GTP値が上昇する
腎臓 クレアチニン値が上昇する、尿潜血が陽性になる、BUN値が上昇する、尿沈渣が異常になる
血液 貧血する、白血球が増加する、白血球が減少する、リンパ球が減少する、血小板が減少する、好中球が増加する、好中球が減少する
消化器 下痢する、口内炎ができる、食欲不振になる、悪心がある、嘔吐、口唇炎ができる、腹痛がある、便秘する、口内が乾燥する、胃炎になる、アミラーゼが増加する、腸炎になる、食道炎になる、胸やけがする
呼吸器 鼻出血する、咳嗽(がいそう)がでる、呼吸困難になる、喀血する、口腔咽頭痛になる
精神神経系 味覚異常になる、不眠症になる、頭痛がする、浮動性めまいがする
その他 感染症になる、発熱する、けん怠感がある、疲労する、電解質異常になる、CRPが上昇する、体重が減少する、血中アルブミンが減少する、血糖値が上昇する、総蛋白が減少する、血圧が上昇する
過量投与 重度の下痢がある、発疹がでる、ALT(GPT)値が上昇する、AST(GOT)値が上昇する等

 

タルセバについて

本剤の成分に対して、アレルギーのある方は、利用できません。

肺の病気(間質性肺炎、肺感染症等)や肝臓病、消化管潰瘍、腸管憩室など持病のある方は、医師に相談してください。

また、薬や食品によっては相互作用があり、効果を減弱させたり、副作用が重くなる場合があります。

以下の薬品や食品は、相互作用が認められますので、ご注意ください。

(本剤の副作用を重くする)
・アゾール系抗真菌薬(イトリゾール等)
・マクロライド系抗生物質(エリスロシン、クラリス等)
・グレープフルーツジュース

(本剤の作用を減弱する)
・抗結核薬(リファジン)
・抗けいれん薬(アレビアチン、ヒダントール、テグレトール、フェノバール等)
セイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)

(本剤の吸収が悪くなる)
・胃薬のプロトンポンプ阻害薬(タケプロン等)
・H2受容体拮抗薬(ガスター等)

その他にも、抗血栓薬のワルファリンを併用した場合、抗血栓作用が強まり、出血したケースもあります。

タバコについては、原則として禁煙です。

タルセバは、中外製薬株式会社により、製造販売されております。

 

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