エンドキサンによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/05

エンドキサンとは

エンドキサン(Endoxan)とは、癌細胞等を抑制するためのお薬です。

免疫系の細胞や膠原病等にも利用されています。

本剤の主成分は、シクロホスファミド水和物(Cyclophosphamide Hydrate)で、癌細胞のDNAをアルキル化することにより、DNAの働きを阻害します。

この作用により、細胞の増殖を抑制する効果が期待されます。

癌細胞だけではなく、免疫系の細胞や炎症に関与する細胞にも効果が期待されます。

適応症は以下の通りです。

・下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
  ・多発性骨髄腫
  ・悪性リンパ腫
    ・ホジキン病
    ・リンパ肉腫
    ・細網肉腫
  ・乳癌
  ・急性白血病
  ・真性多血症
  ・肺癌
  ・神経腫瘍
    ・神経芽腫
    ・網膜芽腫
  ・骨腫瘍

  ただし、下記の疾患については、他の抗腫瘍剤と併用することが必要です。

  ・慢性リンパ性白血病
  ・慢性骨髄性白血病
  ・咽頭癌
  ・胃癌
  ・膵癌
  ・肝癌
  ・結腸癌
  ・子宮頸癌
  ・子宮体癌
  ・卵巣癌
  ・睾丸腫瘍
  ・絨毛性疾患
    ・絨毛癌
    ・破壊胞状奇胎
    ・胞状奇胎
  ・横紋筋肉腫
  ・悪性黒色腫

・治療抵抗性の下記リウマチ性疾患
  ・全身性エリテマトーデス
  ・全身性血管炎
    ・顕微鏡的多発血管炎
    ・ヴェゲナ肉芽腫症
    ・結節性多発動脈炎
    ・Churg-Strauss症候群
    ・大動脈炎症候群等
  ・多発性筋炎/皮膚筋炎
  ・強皮症
  ・混合性結合組織病
  ・及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患

・ネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤による適切な治療を行っても十分な効果がみられない場合に限る。)

本剤は、塩野義製薬株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

エンドキサンの主な副作用は、以下の通りです。

・吐き気がする
・嘔吐する
・発疹ができる
・脱毛がみられる
・臨床検査値の異常がみられる

最も注意が必要なのは、骨髄抑制に伴う血液障害です。

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
アナフィラキシー 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等
骨髄抑制 汎血球が減少する、好中球が減少する、貧血になる、白血球が減少する、血小板が減少する、出血がみられる、発熱する、悪寒がする、口中の白い斑点がみられる、点状出血(手足の赤い点)がみられる、紫斑ができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる、水便になる、脱力感がある等
出血性膀胱炎 頻尿になる、排尿痛がある、血尿がでる、残尿感がある、微熱がでる、尿閉になる、膀胱萎縮する等
排尿障害 頻尿になる、夜間頻尿がみられる、尿閉になる、残尿感がある、尿失禁する、排尿時に痛みがある等
イレウス(腸閉塞症) 便秘をする、腹痛になる、増強する腹部膨満感がある、吐き気がする、悪心がある、嘔吐する、排便・排ガスの途絶がみられる、間欠的または持続的な痛みがある等
胃腸出血(消化管出血) 嘔吐物に血が混入する(吐血)、急な腹痛がある、便が黒い(血便)、貧血になる、疲れやすい、顔面蒼白になる、脈が速い、低血圧になる、尿量が減少する、手足が汗ばむ・冷たくなる、意識混濁がみられる、見当識障害がみられる、眠気がする、ショック状態になる等
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする、肺音の異常(捻髪音)がある等
肺線維症(肺胞炎) 息切れする、呼吸困難になる、空咳がでる、発熱する、倦怠感がある、食欲不振になる、疲れやすくなる、チアノーゼがみられる等
心筋障害 心電図で異常所見がみられる等
心不全 息苦しい、むくみがでる、頻尿になる、起座呼吸(起き上がって深く急な呼吸をする)がみられる、疲労感がある、体力が低下する、眠気がある、錯乱する、見当識障害がみられる、足、足首、脚、肝臓、腹部に体液がたまり腫れる・むくみが出る、吐き気がする、食欲不振になる、息切れする、あえぐ、喘鳴(ぜんめい)がきこえる等
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) 食欲不振になる、嘔気がある、嘔吐する、全身けん怠感がある、むくみのない短期間の体重増加がみられる、頭痛がする、吐き気がする、低浸透圧血症になる、尿中ナトリウム排泄量の増加がみられる、高張尿がみられる、意識障害がある、主に高齢の方に低ナトリウム血症がみられる、痙攣(けいれん)する等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節の痛み、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、発熱、食欲不振口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱、陰部の痛み、関節の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、発熱、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、食欲不振、からだがだるい等
肝機能障害 倦怠感の増大がみられる、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がみられる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する、劇症肝炎になる等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振である、倦怠感がある、そう痒がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度~39度の発熱、ブツブツ状の発疹がでる等
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がある、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足が浮腫む、息苦しい、意識が低下する等
横紋筋融解症 手足肩を中心とした筋肉痛・こわばりがある、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う場合がある

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
肝臓 肝障害がみられる、黄疸がでる、コリンエステラーゼ値が低下する等
腎臓 乏尿による尿浸透圧の上昇がみられる、蛋白尿がでる、浮腫ができる等
消化器 悪心がある、嘔吐する、食欲不振になる、味覚異常がみられる、口が渇く、潰瘍性口内炎ができる、胸やけがする、おくびがでる、腹部膨満感がある、腹痛がする、便秘になる、下痢する等
過敏症 発疹ができる等
皮膚 脱毛がみられる、皮膚炎になる、色素沈着がみられる、爪が変形する、爪が変色する等
精神神経系 倦怠感がある、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、不眠になる、運動失調になる等
呼吸器 肺水腫になる等
循環器 心電図異常がみられる、心悸亢進がみられる、低血圧になる等
内分泌 副腎皮質機能不全になる、甲状腺機能亢進がみられる等
性腺 無精子症になる、卵巣機能不全になる、無月経になる等
その他 低ナトリウム血症になる、発熱する、創傷の治癒遅延がみられる、高血糖になる、CK(CPK)値が上昇する

 

エンドキサンについて

本剤は、DNAをアルキル化する作用から、アルキル化薬と呼ばれています。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・ペントスタチンを投与中の方(海外で死亡例の報告あり)
・本剤の成分に対して重篤な過敏症の既往歴のある方
・重症感染症を合併している方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・肝障害のある方
・腎障害のある方
・骨髄抑制のある方
・感染症を合併している方
・水痘の方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・ペントスタチン
  ・コホリン

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・他の抗悪性腫瘍剤
・アロプリノール
・放射線照射
・フェノバルビタール
・副腎皮質ホルモン
・クロラムフェニコール
・インスリン
・オキシトシン
・バソプレシン
・アントラサイクリン系薬剤
  ・ドキソルビシン塩酸塩
  ・エピルビシン塩酸塩等
・脱分極性筋弛緩剤
  ・スキサメトニウム等

 

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