リーマスによる副作用
リーマスとは
リーマス(LIMAS)とは、主に躁状態の治療に使う気分の安定剤です。躁病や躁うつ病で、行動がエスカレートしたり、はしゃいだり、怒りっぽくなったりする気分の波を抑制します。
主成分の、炭酸リチウム(lithium carbonate)の作用機序は、まだ完全には解明されていませんが、脳内での複合的な作用により、気分の波を抑制していると推測されています。
適応症は、以下の通りです。
・躁病および躁うつ病の躁状態
作用の効果は高く、70%以上の方に有効と言われています。
応用として、以下の場合にも利用されております。
・一般的な抗鬱剤の効果が得られない治療抵抗性の鬱病
・重い鬱症状を伴った月経前不快気分障害
比較的、副作用が強いお薬です。特徴としては、リチウムが含まれているため、過量に服用すると、中毒症状になる可能性があります。
本剤は、大正製薬株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
リーマスの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・振戦がみられる
・口が渇く
・下痢する
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
リチウム中毒 | 食欲が低下する、嘔気がある、嘔吐する、下痢する等の消化器症状がみられる、振戦がみられる、傾眠がみられる、錯乱がある等の中枢神経症状がみられる、運動障害がある、運動失調がある等の運動機能症状がみられる、発熱する、発汗する等の全身症状がみられる、中毒の進行に伴い、急性腎不全により電解質異常、全身の痙攣(けいれん)、ミオクローヌス等がみられる |
悪性症候群(Syndrome malin) | 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)がみられる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がみられる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧の変動がある、発汗する等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。抗精神病剤と併用した際に現れることが多い |
徐脈 | 脈拍数が平均値より低い(1分間に60回以下)、動悸がする、脈が飛ぶ、数秒以上の心臓の停止がみられる等 |
腎性尿崩症 | 全身がだるい、喉が渇く、多飲になる、頻尿(多尿)になる、電解質濃度の異常がみられる |
痴呆様症状 | 物忘れがみられる、ロレツがまわらない、見当識障害(時間・場所を間違える、人の判断がつかない等)がみられる、手足が震える、歩行困難になる、自発性が低下する等 |
意識障害 | 吐き気がする、食欲不振になる、腹痛になる、下痢する、強い倦怠感がある、意識レベルが低下する、意識が消失する等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
精神神経系 | 眩暈(めまい)がする、眠気がある、言語障害がみられる、頭痛がする、発熱する、不眠になる、脳波異常(基礎波の徐波化等)がみられる、知覚異常がみられる、記憶障害がみられる、焦躁感がある、失禁する、悪寒がする、耳鳴がする、一過性暗点がみられる、ブラックアウト発作がおこる、情動不安がみられる |
消化器 | 腹痛になる、便秘する、唾液分泌過多になる、胃腸障害がある |
循環器 | 心電図異常がみられる、血圧が低下する、頻脈になる、不整脈がみられる、末梢循環障害がある |
血液 | 白血球が増多する |
泌尿器 | 多尿になる、排尿困難になる、乏尿になる、頻尿になる、腎機能異常がみられる、蛋白尿がでる |
内分泌系 | 甲状腺機能異常(T3、T4及びPBIの低下、甲状腺131I摂取率の増加及びTRH負荷後のTSH分泌反応の増大)がみられる、非中毒性甲状腺腫ができる、粘液水腫ができる、甲状腺中毒症になる |
中枢神経系 | 振戦がみられる、運動障害がみられる、緊張亢進や低下がみられる、腱反射亢進がみられる、筋攣縮がみれれる、運動過少がみられる、舞踏病様アテトーシスがみられる、頭蓋内圧亢進がみられる |
皮膚 | 皮疹ができる、そう痒感がある、毛嚢炎になる、下肢潰瘍ができる、毛髪の乾燥及び粗毛化がみられる、乾癬又はその悪化がある |
肝臓 | 肝機能異常がみられる |
その他 | 脱力する、けん怠感がある、浮腫ができる、体重が増加する、体重が減少する、性欲が減退する、血糖が上昇する、脱水になる、上皮小体機能亢進症になる |
過量投与 | リチウム中毒になる |
リーマスについて
上記にも記載した通り、過量に服用すると、リチウム中毒になる可能性がありますので、用量、用法は、必ず守ってください。
持病やアレルギーのある方は、事前に医師と相談して下さい。
脱水状態になると、リチウム中毒になる可能性が高くなります。そのため、水分を大量に放出する様な場合には、水分の摂取を意識して行う様にしてください。以下の様なケースが考えられます。
・嘔吐や下痢が継続している場合
・大量の汗をかいた場合
・激しい運動をした場合
・高温環境で重労働をした場合
・入浴した場合
・発熱した場合
・無理な減塩やダイエット(減量)を行った場合
眩暈(めまい)や眠気が発現する場合があるため、車の運転や危険を伴う作業は、控えてください。
本剤の服用により、改善がみられた場合には、ダラダラと服用を継続するのは止め、医師と相談の上、段階的に服用量を減少する必要があります。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・てんかん等の脳波異常のある方
・重篤な心疾患のある方
・リチウムの体内貯留を起こし易い状態の方
・腎障害のある方
・衰弱している方
・脱水状態の方
・発熱している方
・発汗や下痢を伴う疾患のある方
・食塩を制限されている方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳中の方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・脳に器質的障害のある方
・心疾患の既往歴のある方
・リチウムの体内貯留を起こす可能性のある方
・腎障害の既往歴のある方
・食事や水分摂取量が不足している方
・高齢の方
・肝障害のある方
・甲状腺機能亢進症や低下症の方
・リチウムに異常な感受性を示す方
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。
・利尿剤(チアジド系利尿剤、ループ利尿剤等)
・カルバマゼピン
・向精神薬(ハロペリドール等)
・アンジオテンシン変換酵素阻害剤(エナラプリルマレイン酸塩等)
・アンジオテンシンII受容体拮抗剤(ロサルタンカリウム等)
・非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソプロフェンナトリウム水和物等)
・選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルボキサミンマレイン酸塩等)
・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(ミルナシプラン塩酸塩等)
・ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤(ミルタザピン)
・メトロニダゾール
・電気けいれん療法
・麻酔用筋弛緩剤(スキサメトニウム塩化物水和物等)