ヒルナミンによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/11

ヒルナミンとは

ヒルナミン(Hirnamin)とは、精神神経用剤です。

気持ちを落ち着け、寝つきを良くする作用があるため様々な精神症状に利用されています。

本剤の主成分は、レボメプロマジンマレイン酸塩(Levomepromazine Maleate)で、ドーパミン2受容体をブロックすることにより、ドーパミンを抑制し、興奮状態や不安感を抑える効果が期待されます。

抗ドーパミン作用として、吐き気や嘔吐を改善する効果も期待されます。

また、セロトニンやノルアドレナリン系の脳内物質についても抑制する作用があります。

適応症は以下の通りです。

・統合失調症
・躁病
・うつ病における不安・緊張

応用として以下の症状にも利用される場合があります。

・不眠
・吐き気
・嘔吐(おうと)
・老年精神病(初老期認知症、初老期うつ病、老年認知症など)

本剤は、塩野義製薬株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

ヒルナミンの主な副作用の一部は、以下の通りです。

・過敏症状がみられる(発疹ができるなど)
・光線過敏症がみられる
・悪性症候群がみられる
・パーキンソン症候群の症状がみられる(手指のふるえ、筋肉の硬直、よだれなど)
・ジスキネジア症状がみられる(顔面や首の痙攣がおこるなど)

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
悪性症候群(Syndrome malin) 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)がみられる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がみられる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧の変動がみられる、発汗等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。白血球が増加する、血清CK(CPK)値が増加する場合がある。ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている
突然死 血圧が降下する、心電図の異常がみられる(QT間隔の延長、T波の平低化や逆転、二峰性T波ないしU波の出現等)に続き突然死した例が報告されている
再生不良性貧血 発熱する、悪寒がする、手足に赤い点(点状出血)ができる、赤紫のあざができる、のどが痛む、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状になる等
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛になる、倦怠感がある、口内炎ができる等
白血球減少 風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい
麻痺性イレウス 腸管麻痺がおこる(食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、著しい便秘がある、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状がおこる)、強い腹痛がみられる、吐き気がする、吐く、ひどい便秘になる、おなかが膨れる等
遅発性ジスキネジア 口をモグモグさせる、歯を食いしばる、噛む、顎を側方にずらす、唇をすぼめたり尖らせたりを繰り返す、舌を突き出す、舌を左右に揺らす、瞬きを繰り返す、額にしわを寄せる、肩をひそめる、しかめ面をする、手指を繰り返し屈伸する、腕を振り回す・ねじる、足踏み、タップする、体をゆする、くねらす、ねじる、呼吸困難になる、不規則呼吸がみられる等
遅発性ジストニア 持続的に筋肉が収縮する、特定の肢位を維持し続ける、頸の傾斜がみられる、激痛がある、歩行困難、視野が狭くなる、これまで普通にできていたことができなくなる、頸部や背中や腰の疼痛がある等
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) 食欲不振になる、嘔気がある、嘔吐する、全身けん怠感がある、むくみのない短期間の体重増加がみられる、頭痛がする、吐き気がする、低浸透圧血症になる、尿中ナトリウム排泄量の増加がみられる、高張尿がみられる、意識障害がある、主に高齢の方に低ナトリウム血症がみられる、痙攣(けいれん)する等
眼障害 長期又は大量投与にともない、角膜や水晶体が混濁する、網膜や角膜の色素沈着眼痛がある、羞明がある、暗点がある等
SLE様症状 筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱する、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる等
横紋筋融解症 手足肩を中心とした筋肉痛・こわばりがある、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う場合がある
肺塞栓症 突然起こる息切れ、呼吸が速い、落ち着かない、鋭い胸の痛み、眩暈(めまい)がする、失神する、痙攣(けいれん)する、不整脈がみられる、血痰がでる、発熱する、足首や脚のむくみがみられる、脱力感がある、チアノーゼがみられる等
深部静脈血栓症 皮膚の発赤がみられる、胸の痛みがある、ふくらはぎの腫れ・痛み・圧痛・熱感、足首・脚・太ももの腫れ等がみられる等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
過敏症 過敏症状がみられる、光線過敏症になる
血液 白血球減少症になる、顆粒球減少症になる、血小板減少性紫斑病になる
肝臓 肝障害がおこる
循環器 血圧が降下する、頻脈になる、不整脈がみられる、心疾患が悪化する
消化器 食欲が亢進する、食欲不振になる、舌苔がみられる、悪心がある、嘔吐する、下痢する、便秘する
錐体外路症状 パーキンソン症候群になる(手指振戦、筋強剛、流涎等)、ジスキネジアがみられる(口周部,四肢等の不随意運動等)、ジストニアがみられる(眼球上転、眼瞼痙攣、舌突出,痙性斜頸、頸後屈、体幹側屈、後弓反張等),アカシジアがみられる(静坐不能)
縮瞳がみられる、眼圧が亢進する、視覚障害がみられる
内分泌系 体重が増加する、女性化乳房がみられる、乳汁分泌がみられる、射精不能になる、月経異常がみられる、糖尿になる
精神神経系 錯乱する、不眠になる、眩暈(めまい)がする、頭痛がする、不安になる、興奮する、易刺激がみられる,痙攣(けいれん)する
その他 口が渇く、鼻閉がみられる、倦怠感がある、発熱する、浮腫ができる、尿閉がみられる、無尿になる、頻尿になる、尿失禁がみられる、皮膚の色素沈着がみられる

 

ヒルナミンについて

本剤は、フェノチアジン系(プロピル側鎖)と呼ばれる定型抗精神病薬です。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

眠気がしたり、注意力等が低下する場合がありますので、車の運転や危険を伴う作業は控えてください。

お酒(アルコール)は、控えてください。

尚、本剤を自分の判断で急に中断したり急激に服用量を減らしたりするとかえって具合が悪くなる場合があります。

そのため、服用量を減らしたり中止したりしたい場合には、必ず医師とご相談ください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・昏睡状態の方
・循環虚脱状態にある方
・バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある方
・アドレナリンを投与中の方
・フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の方

以下の方は、原則禁忌です。

・皮質下部の脳障害(脳炎,脳腫瘍,頭部外傷後遺症等)の疑いのある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・肝障害又は血液障害のある方
・褐色細胞腫、動脈硬化症あるいは心疾患の疑いのある方
・重症喘息、肺気腫、呼吸器感染症等の方
・てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある方
・幼児、小児など
・高齢の方
・高温環境にある方
・脱水、栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある方

以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・アドレナリン
  ・ボスミン

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・中枢神経抑制剤
  ・バルビツール酸誘導体
  ・麻酔剤等
・アルコール
・降圧剤
・アトロピン様作用を有する薬剤
・リチウム
・ドンペリドン
  ・メトクロプラミド
・ドパミン作動薬
  ・レボドパ製剤
  ・ブロモクリプチンメシル酸塩

以下の薬剤等との接触はしない様、注意する必要があります。

・有機燐殺虫剤

 

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