アレビアチンによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/10

アレビアチンとは

アレビアチン(ALEVIATIN)とは、てんかんに伴う痙攣(けいれん)等の発作を予防するためのお薬です。

本剤の主成分は、フェニトイン(Phenytoin)で、脳内にある電位依存性ナトリウム・チャネルをブロックする作用により、過剰な神経の興奮を抑制します。

この作用により、てんかんに伴う痙攣発作や意識障害を抑制する効果が期待されます。

適応症は以下の通りです。

・てんかんのけいれん発作
  ・強直間代発作(全般けいれん発作、大発作)
  ・焦点発作(ジャクソン型発作を含む)
・自律神経発作
・精神運動発作

尚、本剤は鎮静催眠効果があるため、応用として以下の症状にも利用される場合があります。

・不整脈(心室性不整脈)
・頭部外傷によるけいれん発作の治療

但し、本剤は、てんかんの原因を根本的に治療するお薬ではありません。あくまで対症療法薬です。

本剤は、大日本住友製薬株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

アレビアチンの主な副作用は、以下の通りです。

・全身性の赤い発疹ができる
・頭痛がする
・神経過敏になる
・複視になる(二重に見える)
・歯肉増殖がみられる
・骨軟化症になる(歩行時の痛み)
・多毛になる

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節の痛み、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、発熱、食欲不振口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱、陰部の痛み、関節の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、発熱、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、食欲不振、からだがだるい等
過敏症症候群 皮膚の広い範囲が赤くなる、高熱(38℃以上)がでる、喉(のど)の痛みがある、全身がだるい、食欲が出ない、リンパ節がはれる、肝障害がある、黄疸がでる、白血球が増加する、発疹(斑状丘疹型ではじまり紅皮症に進展)ができる、顔面の浮腫ができる、関節痛がある、好酸球が増多する、異型リンパ球が出現する、肝脾腫になる、肝機能障害等の臓器障害を伴う遅発性の重篤な過敏症状がでる、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルス再活性化等がみられる(発疹する、発熱がある、肝機能障害等の症状が再燃する、遷延化する可能性あり)
SLE様症状 筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱する、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる、肺炎になる、白血球が減少する、血小板が減少する、抗核抗体が陽性になる等
再生不良性貧血 発熱する、悪寒がある、手足に赤い点ができる(点状出血)、赤紫のあざができる、のどの痛みがある、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状がでる等
汎血球減少 全身がだるい、階段等を上る際に息切れする、動悸がする、頭重がある、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、鼻血がでる、耳鳴りがする、皮下出血がある、歯茎の出血がある等
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛になる、倦怠感がある、口内炎ができる等
単球性白血病 倦怠感がある、体重が減少する、出血傾向がみられる、易感染症がみられる、発熱する等
血小板減少(血小板減少症) 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等、死亡例あり
溶血性貧血 赤い尿がでる、皮膚や白目が黄色くなる、発熱する、貧血になる等
赤芽球癆(せきがきゅうろう) 全身がだるい、頭重がみられる、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、耳鳴りがする、階段や坂を上る際に動悸や息切れがする、貧血になる等
劇症肝炎 白眼や皮膚が黄色くなる、発熱する、吐き気がする、全身がだるい、AST(GOT)値の著しく上昇する、ALT(GPT)値が著しく上昇する、γ-GTP値が著しく上昇する、Al-P値が著しく上昇する等
肝機能障害 倦怠感の増大がみられる、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がみられる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する、劇症肝炎になる等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振である、倦怠感がある、そう痒がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度~39度の発熱、ブツブツ状の発疹がでる等
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等
悪性リンパ腫 初期症状が無い事がある。クビ・脇の下のリンパ節が腫れる、胃や腸に腫瘤が発生する、全身のリンパ節が腫れる、発熱する、体重が減少する、寝汗がでる、体がだるい、呼吸困難になる、足の付け根等のリンパ節が腫れる、しこりができる、痛みがある、腹痛になる、お腹が張る、痛くないしこりができる等
リンパ節腫脹 高熱がでる、気道炎症状がみられる、体重が減少する、盗汗がみられる、全身掻痒がみられる等
小脳萎縮 眼振がみられる、構音障害がみられる、運動失調等がみられる、起立・歩行時にふらつく、錐体路障害がみられる、排尿障害がみられる、起立性低血圧がみられる等
横紋筋融解症 手足肩を中心とした筋肉痛・こわばりがある、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う場合がある
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がある、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足が浮腫む、息苦しい、意識が低下する等
間質性腎炎 発熱する、関節が痛む、吐き気がする、下痢する、尿が濁る等
悪性症候群(Syndrome malin) 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)がみられる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がみられる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧の変動がみられる、発汗等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられる、白血球が増加する、血清CK(CPK)値が上昇する

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
過敏症 猩紅熱様・麻疹様・中毒疹様の発疹ができる
血液 巨赤芽球性貧血になる
肝臓 AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する等の肝機能障害がみられる、黄疸がでる
腎臓 蛋白尿等の腎障害がみられる
精神神経系 不随意運動(ジスキネジア、舞踏病アテトーゼ、アステリキシス(asterixis)等)がみられる、ニューロパシーがみられる、眩暈(めまい)がする、運動失調がみられる、注意力・集中力・反射運動能力等が低下する、頭痛がする、神経過敏になる、不眠になる、痙攣(けいれん)する、てんかん増悪がみられる
複視がみられる、視覚障害がみられる、眼振がみられる、白内障になる
消化器 悪心がある、嘔吐する、便秘になる
歯肉増殖 歯肉増殖がみられる
骨・歯 クル病になる、骨軟化症になる、歯牙の形成不全がみられる
内分泌系 甲状腺機能検査値(血清T3、T4値等)の異常がみられる、高血糖になる
その他 発熱する、多毛になる、血清葉酸値が低下する、 CK(CPK)値が上昇する、免疫グロブリン値が低下する(IgA、IgG等)
過量投与 (初期症状)眼振がみられる、構音障害がみられる、運動失調になる、眼筋麻痺がみられる、(その他)振戦がみられる、過度の緊張亢進がみられる、嗜眠がみられる、言語障害がみられる、嘔気がある、嘔吐する、(重症の場合)昏睡状態になる、血圧が低下する、呼吸障害が発現する、血管系の抑制により死亡する場合がある等

 

アレビアチンについて

古くから利用されている抗てんかん薬です。

てんかんに伴う部分発作(焦点発作。自律神経発作、精神運動発作を含む)や全般発作の強直間代発作(大発作)に対して、特に効果が期待されます。

但し、全般発作の中の、欠神発作(短時間気を失う)や脱力発作(力が抜け転倒)に対しては効果はないと言われています。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

眠気を催したり、注意力等が低下する場合がありますので、車の運転や危険を伴う作業等は控えてください。

混合発作型の場合、単独投与で小発作の誘発や増悪を引き起こす場合があります。

連用中に自分の判断で勝手に投与を中止したり、投与量を急激に減少させたりした場合、てんかん重積状態が発現する場合があります。薬を中止したり減量したい場合、必ず医師とご相談ください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・ヒダントイン系化合物に対して過敏症の既往歴のある方
・以下の薬剤を投与中の方
  ・タダラフィル(肺高血圧症を適応とする場合)
  ・リルピビリン
  ・アスナプレビル
  ・ダクラタスビル
  ・バニプレビル
  ・マシテンタン
  ・ソホスブビル

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・肝障害のある方
・血液障害のある方
・薬物過敏症の方
・甲状腺機能低下症の方
・糖尿病の方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳中の方
・小児等

以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・タダラフィル(肺高血圧症を適応とする場合)
・アドシルカ
・リルピビリン
・エジュラント
・コムプレラ配合錠
・アスナプレビル
・スンベプラ
・ダクラタスビル
・ダクルインザ
・バニプレビル
・バニヘップ
・マシテンタン
・オプスミット
・ソホスブビル
・ソバルディ
・ハーボニー配合錠

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・ゾニサミド
・トピラマート
・ボリコナゾール
・スチリペントール
・クロバザム
・タクロリムス
・テラプレビル
・ルフィナミド
・カルバマゼピン
・バルプロ酸
・ネルフィナビル
・ラモトリギン
・デフェラシロクス
・クマリン系抗凝血剤
  ・ワルファリン
・アミオダロン
・アロプリノール
・イソニアジド
・エトスクシミド
・オメプラゾール
・クロラムフェニコール
・ジスルフィラム
・シメチジン
・ジルチアゼム
・スルチアム
・スルファメトキサゾール・トリメトプリム
・チクロピジン
・パラアミノサリチル酸
・フルコナゾール
・フルボキサミン
・ホスフルコナゾール
・ミコナゾール
・メチルフェニデート
・フルオロウラシル系薬剤
  ・テガフール製剤
  ・ドキシフルリジン等
・三環系抗うつ剤
  ・イミプラミン等
・四環系抗うつ剤
  ・マプロチリン等
・トラゾドン
・テオフィリン
・アミノフィリン
・リファンピシン
・ジアゾキシド
・シスプラチン
・ビンカアルカロイド
・ビンクリスチン等
・シプロフロキサシン
・イリノテカン
・アゼルニジピン
・イトラコナゾール
・イマチニブ
・インジナビル
・オンダンセトロン
・キニジン
・クエチアピン
・サキナビル
・ジソピラミド
・ニソルジピン
・ニフェジピン
・フェロジピン
・プラジカンテル
・ベラパミル等
・副腎皮質ホルモン剤
  ・デキサメタゾン等
・卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン剤
  ・ノルゲストレル・エチニルエストラジオール等
・PDE5阻害剤
  ・タダラフィル(勃起不全、前立腺肥大症に伴う排尿障害を適応とする場合:シアリス、ザルティア)
  ・シルデナフィル
  ・バルデナフィル
・パロキセチン
・フレカイニド
・メキシレチン
・シクロスポリン
・甲状腺ホルモン剤
  ・レボチロキシン等
・カスポファンギン
・ドキシサイクリン
・アルベンダゾール
・非脱分極性筋弛緩剤
  ・ベクロニウム等
・血糖降下剤
  ・インスリン
  ・経口血糖降下剤
・アセタゾラミド
・アセトアミノフェン
・セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

 

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