ロキソプロフェンによる副作用
ロキソプロフェンとは
ロキソプロフェン(Loxoprofen)とは、炎症を抑制し、痛みや腫れ等の症状を緩和し熱を下げるためのお薬です。
本剤の主成分は、ロキソプロフェンナトリウム水和物(Loxoprofen Sodium Hydrate)で、炎症を引き起こす、プロスタグランジン(PG)の合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)をブロックする作用があります。
この作用により、プロスタグランジンの体内での生成を抑え、結果として炎症が抑制され、痛みや腫れを緩和する作用が期待されます。
適応症は以下の通りです。
・下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
・関節リウマチ
・変形性関節症
・腰痛症
・肩関節周囲炎
・頸肩腕症候群
・歯痛
・手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
・下記疾患の解熱・鎮痛
・急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
尚、風邪をひいた際にも、のどの痛みの緩和や解熱に利用されています。
但し、対症療法薬ですので、症状の根本原因を治療するものではありません。
本剤は、ロキソニン(LOXONIN)のジェネリックで、基本的に効果も同じです。
尚、ロキソニンのジェネリックは各社から製造販売されており、ロキソプロフェン錠以外にも、同様の成分で、以下の様な名称で製造販売されています。
・ロキソプロフェンナトリウム錠
・ロキソプロフェンNa錠
・オキミナス錠
・サンロキソ錠
・スリノフェン錠
・ロキソマリン錠
・ロキフェン錠
・ロキプロナール錠
・ロブ錠
本剤は、エーザイ株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
ロキソプロフェンの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・胃部不快感がある
・腹痛がする
・悪心がある
・嘔吐する
・食欲不振になる
・浮腫ができる
・むくむ
・発疹ができる
・蕁麻疹(じんましん)ができる
・眠気がする
※上記は、同一成分である、ロキソニンの主な副作用より抜粋。
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
ショック | 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等 |
アナフィラキシー様症状 | 紅斑ができる、悪寒がする、口腔咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等 |
無顆粒球症 | 発熱する、咽頭痛になる、倦怠感がある、口内炎ができる等 |
溶血性貧血 | 赤い尿がでる、皮膚や白目が黄色くなる、発熱する、貧血になる等 |
白血球減少 | 風邪等の感染症にかかりやすくなる、風邪等が治りにくくなる |
血小板減少(血小板減少症) | 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等、死亡例あり |
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) | からだがだるい、関節が痛む、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)ができる、発熱する、食欲不振になる、口内が荒れる等 |
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) | 高熱がでる、陰部が痛む、関節が痛む、ひどい口内炎ができる、唇や口内がただれる、発熱する、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点ができる、赤い発疹ができる、まぶたや眼が充血する、結膜がただれる、食欲不振になる、からだがだるい等 |
急性腎不全 | 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がある、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足が浮腫む、息苦しい、意識が低下する等 |
ネフローゼ症候群 | 高度の浮腫が発生する、大量のたんぱく尿が出る、尿が泡立っている、まぶたや下肢がむくむ、胸水がある、腹水がある、心嚢水がある、息切れがする、呼吸が困難になる、吐き気がする、嘔吐する、体重が増加する、免疫力が低下する |
間質性腎炎 | 発熱する、関節が痛む、吐き気がする、下痢する、尿が濁る等 |
うっ血性心不全 | 心臓の収縮力の低下、血液送出量が低下する、心臓・肺等の静脈のうっ血がみられる、動悸がする、息切れする、就寝中に咳がでる、呼吸困難になる等 |
間質性肺炎 | 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする、肺音の異常(捻髪音)がある等 |
消化管出血 | 血を吐く(吐血)、黒いタール便(メレナ)がでる、貧血になる、疲れやすい、顔が青白い、脈が速くなる、低血圧になる、尿量が減少する、手足が汗ばむ、手足が冷たい、意識混濁がみられる、見当識障害がみられる、眠気がある等 |
消化管穿孔(しょうかかんせんこう) | 急激な腹痛がある、ショック症状になる、遊離ガスが横隔膜直下に溜まる、腹膜炎になる、大量出血する、敗血症になる等 |
小腸・大腸の狭窄・閉塞 | 便秘する、腹痛がある、増強する腹部膨満感がある、吐き気がする、悪心がある、嘔吐する、排便や排ガスの途絶がみられる、間欠的または持続的な痛みがみられる等 |
肝機能障害 | 倦怠感の増大がみられる、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がみられる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する、劇症肝炎になる等 |
黄疸 | 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振である、倦怠感がある、そう痒がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度~39度の発熱、ブツブツ状の発疹がでる等 |
喘息発作 | 息切れする、せきがでる、胸が締めつけられるような感じがする、喉に異変が生じる、ヒューヒュー鳴る、息苦しい等 |
無菌性髄膜炎 | 嘔吐する、発熱する、頭痛がする、髄膜刺激症候(悪心がある、項部硬直がある、意識障害がある、膝関節を屈曲できても伸ばせなくなる)がある、大泉門の膨隆がある、痙攣(けいれん)する、不機嫌になる、無呼吸発作がある、哺乳力が低下する、易刺激性がある、筋緊張が低下するなど |
横紋筋融解症 | 手足肩を中心とした筋肉痛・こわばりがある、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う場合がある |
類薬で、重大・重篤レベルの副作用として、次の表の症状が報告・想定されています。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
再生不良性貧血 | 発熱する、悪寒がする、手足に赤い点(点状出血)ができる、赤紫のあざができる、のどが痛む、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状になる等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
過敏症 | 発熱する、発疹ができる、そう痒感がある、蕁麻疹(じんましん)がでる |
消化器 | 口が渇く、腹部膨満がみられる、小腸や大腸の潰瘍ができる、腹痛がする、胃部不快感がある、食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、下痢する、消化性潰瘍ができる、便秘になる、胸やけがする、口内炎ができる、消化不良になる |
循環器 | 血圧が上昇する、動悸がする |
精神神経系 | しびれる、眩暈(めまい)がする、眠気がする、頭痛がする |
血液 | 血小板が減少する、貧血になる、白血球が減少する、好酸球が増多する |
肝臓 | AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、Al‐P値が上昇する |
泌尿器 | 血尿がでる、蛋白尿がでる、排尿困難になる |
その他 | 胸痛がする、けん怠感がある、浮腫ができる、顔面熱感がみられる |
ロキソプロフェンについて
本剤は、先発薬である、ロキソニンと同一の成分ですが、錠剤がやや小さいため、飲みやすいと言う方もいらっしゃいます。
カテゴリ的には、ステロイド以外の抗炎症薬と言うことで、「非ステロイド抗炎症薬(NSAID)」と呼ばれています。
良く効き、安全性も高いため、幅広く利用されているお薬です。
持病やアレルギーのある方は、事前に医師とご相談ください。
アルコール(飲酒)は、控えてください。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・消化性潰瘍のある方
・重篤な血液の異常のある方
・重篤な肝障害のある方
・重篤な腎障害のある方
・重篤な心機能不全のある方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある方
・妊娠末期の方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・消化性潰瘍の既往歴のある方
・非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある方で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている方
・血液の異常、又は、その既往歴のある方
・肝障害、又は、その既往歴のある方
・腎障害、又は、その既往歴のある方
・心機能異常のある方
・過敏症の既往歴のある方
・気管支喘息の方
・潰瘍性大腸炎の方
・クローン病の方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・クマリン系抗凝血剤
・ワルファリン
・スルホニル尿素系血糖降下剤
・トルブタミド等
・ニューキノロン系抗菌剤
・エノキサシン水和物等
・メトトレキサート
・リチウム製剤
・炭酸リチウム
・チアジド系利尿薬
・ヒドロフルメチアジド
・ヒドロクロロチアジド等
・降圧剤
・ACE阻害剤
・アンジオテンシンII受容体拮抗剤等