セレコックスによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/11

セレコックスとは

セレコックス(Celecox)とは、炎症を抑え、痛みや腫れを緩和するお薬です。

主に関節リウマチ等の疾患に対して、対症療法薬として利用されています。

炎症は、プロスタグランジン(PG)の生成により発現します。

本剤の主な成分である、セレコキシブ(Celecoxib)は、プロスタグランジン(PG)の合成酵素(COX-2)を阻害することにより、プロスタグランジンの生成を抑制し、炎症等を緩和させます。

適応症は以下の通りです。

・下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
  ・関節リウマチ
  ・変形性関節症
  ・腰痛症
  ・肩関節周囲炎
  ・頸肩腕症候群
  ・腱炎
  ・腱鞘炎
・手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛

尚、本剤は対症療法薬であり、疾患や症状の原因を根本的に治療するものではありません。

本剤は、アステラス製薬株式会社、ファイザー株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

セレコックスの主な副作用は、以下の通りです。

・過敏症(発疹ができる、痒みがある等)
・肝機能障害がみられる
・胃腸障害がみられる
・口内炎ができる
・悪心がある

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等
アナフィラキシー様症状 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する、血管炎になる、気管支痙攣(けいれん)がおこる等
消化管出血 血を吐く(吐血)、黒いタール便(メレナ)がでる、貧血になる、疲れやすい、顔が青白い、脈が速くなる、低血圧になる、尿量が減少する、手足が汗ばむ、手足が冷たい、意識混濁がみられる、見当識障害がみられる、眠気がある等
消化性潰瘍 胃がもたれる、吐き気がする、痛みがある、空腹時のみぞおちの痛みがある、便が黒い等
消化管穿孔(しょうかかんせんこう) 急激な腹痛がある、ショック症状になる、遊離ガスが横隔膜直下に溜まる、腹膜炎になる、大量出血がみられる、敗血症になる等
心筋梗塞 突然の左前胸部圧迫感、狭心痛、嘔吐、吐き気、ショック状態等
脳卒中 頭痛がする、麻痺(半身不随)がある、感覚障害がある、言語障害がある、視野障害がある、眩暈(めまい)がする、失調(ぎこちなさ)になる、意識障害がある、痴呆(ぼけ)になる、手のふるえ(振戦)がある等
心不全 息苦しい、むくみがでる、頻尿になる、起座呼吸(起き上がって深く急な呼吸をする)がみられる、疲労感がある、体力が低下する、眠気がある、錯乱する、見当識障害がみられる、足、足首、脚、肝臓、腹部に体液がたまり腫れる・むくみが出る、吐き気がする、食欲不振になる、息切れする、あえぐ、喘鳴(ぜんめい)がきこえる等
うっ血性心不全 心臓の収縮力が低下する、血液送出量が低下する、心臓や肺等の静脈のうっ血がみられる、動悸がする、息切れする、就寝中に咳がでる、呼吸困難になる等
肝不全 黄疸がでる、出血傾向になる、腹水がでる、脱力感がある、肝性脳症になる、全身の健康状態が悪化する、吐き気や食欲不振がある等
肝炎 白目や皮膚が黄色くなる、高熱がでる、倦怠感が増大する、黄色い尿がでる、淡黄色の便がでる等
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸が困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸になる等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒がある等、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹がでる等
再生不良性貧血 発熱する、悪寒がする、手足に赤い点(点状出血)ができる、赤紫のあざができる、のどが痛む、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状になる等
汎血球減少症 全身がだるい、階段等を上る際に息切れする、動悸がする、頭重がみられる、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、鼻血がでる、耳鳴りがする、皮下出血がみられる、歯茎の出血がみられる等
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等
血小板減少 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がある、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足が浮腫む、息苦しい、意識が低下する等
間質性腎炎 発熱する、関節が痛む、吐き気がする、下痢する、尿が濁る等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節が痛む、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)ができる、発熱する、食欲不振になり口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱がでる、陰部が痛む、関節が痛む、ひどい口内炎ができる、唇や口内のただれがみられる、発熱する、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点ができる、赤い発疹ができる、まぶたや眼の充血がみられる、結膜のただれがある、食欲不振になる、からだがだるい等
多形紅斑(たけいこうはん) 手の甲・足の甲・肘・膝などの四肢伸側に左右対称に円形の紅斑が多発する、発熱する、痛みがある等
急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP) 高熱(38℃以上)がでる、皮ふの広い範囲が赤くなる、赤くなった皮ふ上に小さな白いブツブツ(小膿疱)が出る、全身がだるい、食欲がない等
紅皮症(剥脱性皮膚炎) 39度から40度の高熱がでる、顔に発疹ができる、全身の皮膚が赤くなる、皮膚のカスがよく落ちる等
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
全身 倦怠感がある、口が渇く、末梢性浮腫ができる、悪寒がする、全身浮腫ができる、疲労する、ほてりがある、体重増加がみられる、インフルエンザ様疾患がある
精神神経系 傾眠がみられる、頭痛がする、浮動性眩暈(めまい)がする、味覚異常がみられる、酩酊感がある、体位性眩暈(めまい)がする、感覚鈍麻がみられる、意識レベルの低下がみられる、不眠症になる、睡眠障害になる、錯乱状態になる、不安になる、幻覚がある、筋緊張亢進がみられる、無嗅覚になる
肝胆道系 ALT(GPT)値が増加する、AST(GOT)値が増加する、γ-GTP値が増加する、Al-P値が増加する、血中ビリルビン値が増加する、尿ウロビリノーゲン値が陽性になる
代謝・栄養 BUN値が増加する、CK(CPK)値が増加する、食欲不振になる、LDH値が増加する、尿糖陽性になる、糖尿病になる、血中カリウム値が増加する、血中ナトリウム値が増加する
消化器 腹痛になる、口内炎ができる、下痢になる、便潜血陽性になる、悪心がある、鼓腸がある、消化不良になる、便秘になる、胃炎になる、口内乾燥がみられる、舌障害がある、嘔吐する、口角びらんがみられる、腹部膨満がみられる、上腹部痛がある、胃不快感がある、胃腸障害になる、舌炎になる、口腔内痛がある、食道炎になる、口の感覚が鈍麻する、アフタ性口内炎ができる、口腔粘膜水疱形成がみられる、心窩部不快感がある、胃腸炎になる、歯の脱落がみられる、口腔内潰瘍ができる、嚥下障害がみられる、胃食道逆流性疾患になる、膵炎になる、憩室炎になる、過敏性腸症候群がみられる、痔出血がある、排便回数増加がみられる
泌尿器 β2-マイクログロブリン値が増加する、NAG値が増加する、尿潜血陽性になる、尿蛋白陽性になる、多尿になる、尿閉になる、頻尿になる、腎機能障害がみられる、腎結石症になる、良性前立腺肥大症になる、前立腺炎になる、PSA値が増加する、血中クレアチニン値が増加する
循環器 高血圧になる、潮紅がみられる、動悸がする、高血圧増悪がみられる、循環虚脱がみられる、不整脈がみられる、頻脈になる、洞性徐脈になる、狭心症になる、不安定狭心症になる、大動脈弁閉鎖不全症になる、冠動脈硬化症になる、心室肥大がみられる、深部静脈血栓症になる、血腫がみられる
呼吸器 咽頭炎になる、鼻出血がみられる、鼻咽頭炎になる、気管支炎になる、咳嗽(がいそう)がみられる、鼻炎になる、副鼻腔炎になる、呼吸困難になる、発声障害がある
皮膚 発疹ができる、そう痒症になる、顔面浮腫ができる、紅斑性皮疹ができる、湿疹ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる、薬疹ができる、点状出血がみられる、斑状丘疹状皮疹ができる、皮膚乾燥がみられる、頭部粃糠疹がみられる、多汗になる、皮膚炎になる、紅斑ができる、斑状出血がみられる、光線過敏性反応がみられる、脱毛症になる、水疱性皮膚炎になる
感覚器 耳鳴がする、回転性眩暈(めまい)がする、耳痛がある、霧視がみられる、眼そう痒症になる、硝子体浮遊物がみられる、結膜出血がみられる、聴力が低下する
その他 背部痛がある、筋硬直がみられる、関節痛がある、四肢痛がある、不正子宮出血がみられる、月経障害がある、ウイルス感染がある、細菌性腸炎になる、頚部痛がある、貧血になる、ヘマトクリット値が減少する、ヘモグロビン値が増加する、真菌感染がみられる、細菌感染がみられる、ヘリコバクター感染がみられる、尿路感染がみられる、上気道感染がみられる、耳感染がみられる、帯状疱疹になる、丹毒がみられる、創傷感染がみられる、歯肉感染がみられる、迷路炎になる、アレルギー増悪がみられる、無菌性髄膜炎になる、筋痙縮(けいれん)がみられる、脂肪腫ができる、ガングリオンがみられる、膣出血がある、乳房圧痛がある、卵巣嚢胞がみられる、閉経期症状がみられる、血中テストステロン値が減少する、上顆炎になる、腱断裂がみられる、骨折する、損傷する

 

セレコックスについて

比較的新しいタイプの非ステロイド系の抗炎症薬です。

炎症反応に関係する特定のシクロオキシゲナーゼ(COX-2)を選択的かつ強力に阻害するため、胃腸や腎臓への影響が緩和され、それらの副作用も少ないと報告されています。

但し、利用期間が長期間に及ぶ場合、脳卒中や心筋梗塞の発現リスクが上昇する可能性があるため、漫然と本剤を利用するのは避けてください。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

飲酒(アルコール)は、なるべく控えてください。

用法・用量は、疾患や症状により異なりますので、医師の指示に従って服用する様にしてください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・スルホンアミドに対して過敏症の既往歴のある方
・アスピリン喘息の方またはその既往歴のある方
・消化性潰瘍のある方
・重篤な肝障害のある方
・重篤な腎障害のある方
・重篤な心機能不全のある方
・冠動脈バイパス再建術の周術期の方
・妊娠末期の方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・心血管系疾患又はその既往歴のある方
・心機能障害のある方
・高血圧症のある方
・消化性潰瘍の既往歴のある方
・非ステロイド性消炎・鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている方
・気管支喘息のある方
・肝障害又はその既往歴のある方
・腎障害又はその既往歴のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。

・ACE阻害剤
  ・エナラプリルマレイン酸塩
  ・イミダプリル塩酸塩
  ・テモカプリル塩酸塩等
・アンジオテンシンII受容体拮抗剤
  カンデサルタンシレキセチル
  ・バルサルタン
  ・ロサルタンカリウム等
・フロセミド
・チアジド系利尿剤
  ・トリクロルメチアジド
  ・ヒドロクロロチアジド等
・アスピリン
・リチウム
・フルコナゾール
・フルバスタチン
・クマリン系抗凝血剤
  ・ワルファリン
・パロキセチン
・デキストロメトルファン
・制酸剤、アルミニウム製剤、マグネシウム製剤等

 

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