マクサルトによる副作用
マクサルトとは
マクサルト(Maxalt)とは、片頭痛の痛みを緩和するためのお薬です。
通常、片頭痛の発現時に利用します。
本剤の主成分は、リザトリプタン安息香酸塩(Rizatriptan Benzoate)で、血管内壁にあるセロトニン受容体(5-HT_1B/1D)に作用し、拡張している血管を収縮させる効果が期待されます。
また、三叉神経へも作用し、痛みの原因物質である神経ペプチド(CGRP)を抑制する効果も期待されます。
これらの相互作用により、片頭痛の原因となる血管周囲の炎症を抑え、結果として片頭痛の痛みを緩和すると言われています。
適応症は以下の通りです。
・片頭痛
但し、本剤は対症療法薬であるため、頭痛の原因を根本的に治療するお薬ではありません。
本剤は、杏林製薬株式会社、エーザイ株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
マクサルトの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・傾眠がみられる
・けん怠感がある
・眩暈(めまい)がする
・口が渇く
・嘔吐する
・胸部不快感がある
・脱力がみられる
・悪心がある
・感覚が減退する
・ALT(GPT)値が上昇する
・AST(GOT)値が上昇する
・CK(CPK)値が上昇する
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
アナフィラキシーショック | 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等 |
アナフィラキシー | 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等 |
不整脈 | 胸痛がある、胸部不快感がある、動悸がする、眩暈(めまい)がする、失神する等 |
狭心症(狭心症発作) | 30分程度以内の胸の広い範囲の痛みがみられる、息が詰まる様な痛みがおこる、圧迫される様な痛みがおこる、運動・坂道・階段・重い荷物を持つ等、運動量の増加に伴う胸の痛みがおこる等 |
心筋梗塞 | 突然の左前胸部圧迫感、狭心痛、嘔吐、吐き気、ショック状態等 |
虚血性心疾患様症状 | 突然、胸、肩から背中にかけて数分間の痛み、胸痛、歯やアゴの痛み、腕や肩の痛み、喉が詰まるの症状が発現する、激しい胸痛が長時間持続する、階段を昇ると息切れする、風邪ではないのに咳が出て声がかすれる等 |
WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト)における頻脈 | 類薬(5-HT1B/1D受容体作動薬)でWPW症候群の典型的症状である重篤な発作性頻脈が発現したとの報告あり |
てんかん様発作 | 筋肉が突っ張る、痙攣(けいれん)する、唾液が泡の様に出る、筋肉がぴくぴくする、上半身がくっと折れる(1日何回も繰り返す)、頭痛がする、吐き気がする、腹痛がみられる等 |
血管浮腫 | 呼吸が苦しい、会話が不自由になる、顔面・口唇・咽頭・舌の腫脹がみられる等 |
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群もしくはToxic Epidermal Necrolysis:TEN) | 皮膚が赤くなる、皮膚が焼けるように痛む、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、発熱する、口内が荒れる等 |
呼吸困難 | 息切れする、心臓の脈拍が上がる、胸部が痛む、手足が冷たい、倦怠感がある等 |
失神 意識消失(意識喪失) |
顔面が蒼白になる、めまいがする、立ちくらみがある、胸の痛みがある、動悸が高くなる、胸部に不快感がある等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
全身症状 | 無力症になる、疲労する、けん怠感がある、脱力がみられる、胸痛がする、冷感がある |
循環器 | 頻脈になる、高血圧になる、動悸がする |
消化器 | 消化不良になる、悪心がある、嘔吐する、下痢する、口内が乾燥する、口が渇く、腹痛がする |
筋・骨格系 | 頸部痛がみられる、局所性重圧感がある、局所性絞扼感がある、筋力が低下する、顔面痛になる、硬直する |
精神神経系 | 不眠症になる、振戦がみられる、運動失調になる、神経過敏になる、失見当識がみられる、多幸症になる、傾眠がみられる、眩暈(めまい)がする、感覚減退がみられる、錯感覚がみられる、知覚過敏になる、頭痛がする、精神明瞭性の減退がみられる |
呼吸器 | 咽頭不快感がある、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、鼻乾燥がみられる |
皮膚 | 潮紅がみられる、発汗する、発疹ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる、そう痒症になる |
肝臓 | 肝機能異常がみられる(ALT(GPT)値が上昇する、AST(GOT)値が上昇する等) |
その他 | 霧視がみられる、温感がある、味覚異常になる、CK(CPK)値が上昇する、光視症になる、頻尿になる、食欲減退がみられる、ほてりがみられる |
過量投与 | 傾眠がみられる、眩暈(めまい)がする、高血圧又は他の血管収縮の徴候を含む心・血管系の事象がみられる、嘔吐する、徐脈になる、失神する、アトロピン反応性の3度房室ブロックがみられる、失禁する |
マクサルトについて
本剤は、トリプタン系の薬剤で、通常、頭痛の急性期に利用するお薬です。
持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。
特に、心臓の悪い方、循環器系の病気のある方は、注意が必要です。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・心筋梗塞の既往歴のある方
・虚血性心疾患、又は、その症状・兆候のある方
・異型狭心症(冠動脈攣縮)のある方
・脳血管障害や一過性脳虚血発作の既往のある方
・末梢血管障害を有する方
・コントロールされていない高血圧症の方
・重度の肝機能障害を有する方
・血液透析中の方
・エルゴタミンを投与中の方
・エルゴタミン誘導体含有製剤を投与中の方
・5-HT1B/1D受容体作動薬を投与中の方
・モノアミン酸化酵素阻害剤(MAO阻害剤)を投与中、あるいは投与中止2週間以内の方
・プロプラノロール塩酸塩を投与中の方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・虚血性心疾患の可能性のある方
・肝機能障害を有する方
・てんかんあるいは痙攣を起こしやすい器質的脳疾患のある方
・脳血管障害の可能性のある方
・ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群(WPW症候群)又は他の心臓副伝導路と関連した不整脈のある方
・コントロールされている高血圧症の方
以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・エルゴタミン製剤
・エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン
・クリアミン
・エルゴタミン誘導体含有製剤
・ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
・ジヒデルゴット
・エルゴメトリンマレイン酸塩
・エルゴメトリンマレイン酸塩「F」
・メチルエルゴメトリンマレイン酸塩
・メテルギン
・5-HT1B/1D受容体作動薬
・スマトリプタンコハク酸塩
・イミグラン
・ゾルミトリプタン
・ゾーミッグ
・エレトリプタン臭化水素酸塩
・レルパックス
・ナラトリプタン塩酸塩
・アマージ
・MAO阻害剤
・プロプラノロール塩酸塩
・インデラル
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・選択的セロトニン再取り込み阻害剤
・フルボキサミンマレイン酸塩
・デプロメール
・ルボックス
・パロキセチン塩酸塩水和物等
・パキシル
・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
・ミルナシプラン塩酸塩
・トレドミン
・ジェイゾロフト