ヤーズ配合錠による副作用
ヤーズ配合錠とは
ヤーズ配合錠(YAZ)とは、生理を軽くし月経痛を緩和するためのお薬です。
本剤の主成分は、ドロスピレノン(Drospirenone)と、エチニルエストラジオール・ベータデクス(Ethinylestradiol Betadex)の2つの女性ホルモンが配合されています。
少量の黄体ホルモン(ドロスピレノン)は、脳下垂体へ作用し性腺刺激ホルモンの分泌が抑制されることで排卵が抑えられます。結果として生理が軽くなり月経痛が緩和されます。
卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール・ベータデクス)は、卵胞ホルモン分泌を抑制するため、破綻出血を抑える効果があると考えられています。
適応症は以下の通りです。
・月経困難症
但し、本剤は対症療法薬です。疾患の原因を根本的に治療するものではありません。
本剤は、バイエル薬品株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
ヤーズ配合錠の主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・頭痛がする
・悪心がある
・不正子宮出血がみられる
・凝固検査異常がみられる
・性器出血がみられる
・月経痛がある
・下腹部痛がする
・トロンビン・アンチトロンビンIII複合体上昇がみられる
・トリグリセリド上昇がみられる
・プラスミノーゲン上昇がみられる
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
血栓症 | 手足が麻痺(まひ)する、手足が痺れる(しびれる)、しゃべりにくい、胸の痛みがある、呼吸困難になる、片方の足の急激な痛みや腫れがみられる等 |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
生殖器 | 不正子宮出血がみられる、性器出血がみられる、月経痛がある、下腹部痛がする、月経過多になる、機能性子宮出血がみられる、消退出血がみられる、無月経になる、外陰部腟カンジダ症になる、子宮平滑筋腫になる、月経前症候群になる、骨盤痛がする、CA125上昇がみられる、細胞診異常がみられる、子宮頸部上皮異形成がみられる、子宮頸管ポリープができる、卵巣のう腫になる、出血性卵巣のう胞がみられる、腟感染がみられる、外陰腟そう痒症になる、過少月経がみられる、性器分泌物がみられる、腟炎になる、腟乾燥がみられる |
乳房 | 乳房不快感がある、乳房痛がある、乳腺症になる、乳腺線維腺腫になる、線維のう胞性乳腺疾患になる、乳房腫瘤ができる、乳房腫大がみられる,乳汁分泌がみられる |
消化器 | 悪心がある、嘔吐する、腹部不快感がある、腹痛がある、上腹部痛がある、便秘になる、下痢する、胃炎になる、胃腸炎になる、口内炎ができる、腹部膨満がみられる、細菌性胃腸炎になる、口が渇く、齲歯がみられる、消化不良になる、鼓腸がでる |
精神神経系 | 頭痛がする、傾眠がみられる、不眠症になる、浮動性眩暈(めまい)がする、回転性眩暈がする、感覚が鈍麻する、耳鳴がする、抑うつ気分になる、うつ病になる、気力が低下する、情動不安定になる、リビドーが減退する、錯感覚がある、神経過敏になる、片頭痛がする |
循環器 | 動悸がする、高血圧になる、静脈瘤がみられる |
呼吸器 | 鼻咽頭炎になる、気管支炎になる、喘息がみられる、口腔咽頭痛がある、アレルギー性鼻炎になる |
肝臓 | 肝機能検査異常がみられる、Al-P値が低下する、γ-GTP値が上昇する |
腎臓 | 尿中蛋白陽性がみられる、血漿中レニン活性上昇がみられる、血漿中アルドステロン活性上昇がみられる |
血液 | 凝固検査異常がみられる、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体上昇がみられる、プラスミノーゲン値が上昇する、プロテインS値が低下する、フィブリノゲン値が上昇する、フィブリンDダイマー値が上昇する、プロトロンビン時間短縮がみられる、血清鉄値が低下する、血小板が減少する、プロテインC値が上昇する、貧血になる、鉄欠乏性貧血になる、白血球が増加する、白血球が減少する、血清鉄値が上昇する |
電解質代謝 | 末梢性浮腫ができる、顔面浮腫ができる、浮腫ができる |
内分泌・代謝系 | トリグリセリド値が上昇する、コレステロール値が上昇する、脂質異常がみられる |
筋・骨格系 | 背部痛がある、四肢痛がある、筋骨格硬直がみられる、筋痙縮がみられる |
皮膚 | ざ瘡がみられる、湿疹ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる、色素沈着がみられる、発疹ができる、そう痒症になる、多形紅斑がみられる |
眼 | アレルギー性結膜炎になる |
その他 | 倦怠感がある、CRP値が上昇する、体重が増加する、膀胱炎になる、発熱する、無力症になる、ほてる、多汗になる、体重が減少する |
ヤーズ配合錠について
本剤は、低用量ピルにカテゴライズされるお薬です。
海外では、経口避妊薬やニキビ治療薬としても利用されています。(日本では未承認)
持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。
特に血栓性の病気のある方や血栓症の出来やすい方は、注意が必要です。
妊娠中の方や、手術の予定のある方も医師とご相談ください。
また、腎臓が弱い方も注意が必要です。
タバコは控えてください。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分に対して過敏性素因のある方
・エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば,乳癌,子宮内膜癌)、及び、その疑いのある方
・子宮頸癌、及び、その疑いのある方
・診断の確定していない異常性器出血のある方
・血栓性静脈炎、又は、その既往歴のある方
・肺塞栓症、又は、その既往歴のある方
・脳血管障害、又は、その既往歴のある方
・冠動脈疾患、又は、その既往歴のある方
・35歳以上で1日15本以上の喫煙をする方
・前兆(閃輝暗点,星型閃光等)を伴う片頭痛のある方
・肺高血圧症又は心房細動を合併する心臓弁膜症の方
・亜急性細菌性心内膜炎の既往歴のある心臓弁膜症の方
・血管病変を伴う糖尿病の方
・血栓性素因のある方
・抗リン脂質抗体症候群の方
・手術前4週以内の方
・術後2週以内の方
・産後4週以内の方
・長期間安静状態の方
・重篤な肝障害のある方
・肝腫瘍のある方
・脂質代謝異常のある方
・高血圧のある方
・耳硬化症の方
・妊娠中に黄疸,持続性そう痒症又は妊娠ヘルペスの既往歴のある方
・妊婦又は妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・骨成長が終了していない可能性がある方
・重篤な腎障害のある方
・急性腎不全のある方
・オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤を利用している方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・子宮筋腫のある方
・40歳以上の方
・乳癌の既往歴のある方
・乳癌の家族歴又は乳房に結節のある方
・喫煙している方
・肥満している方
・血栓症の家族歴を持つ方
・前兆を伴わない片頭痛のある方
・心臓弁膜症の方
・軽度の高血圧(妊娠中の高血圧の既往も含む)のある方
・耐糖能の低下している方(糖尿病及び耐糖能異常の方)
・ポルフィリン症の方
・肝障害のある方
・心疾患、又は、その既往歴のある方
・腎障害のある方
・てんかんのある方
・テタニーのある方
以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤
・ヴィキラックス
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。
・副腎皮質ホルモン
・プレドニゾロン等
・三環系抗うつ剤
・イミプラミン等
・セレギリン塩酸塩
・シクロスポリン
・オメプラゾール
・テオフィリン
・チザニジン塩酸塩
・リファンピシン
・バルビツール酸系製剤
・フェノバルビタール等
・ヒダントイン系製剤
・フェニトインナトリウム等
・カルバマゼピン
・ボセンタン
・モダフィニル
・トピラマート
・テトラサイクリン系抗生物質
・テトラサイクリン等
・ペニシリン系抗生物質
・アンピシリン等
・テルビナフィン塩酸塩
・Gn-RH誘導体
・ブセレリン酢酸塩等
・血糖降下剤
・インスリン製剤
・スルフォニル尿素系製剤
・スルフォンアミド系製剤
・ビグアナイド系製剤等
・テラプレビル
・HIVプロテアーゼ阻害剤
・ネルフィナビルメシル酸塩
・リトナビル
・ダルナビル
・ホスアンプレナビル(リトナビル併用時)
・ロピナビル・リトナビル配合剤等
・非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
・ネビラピン
・HIVプロテアーゼ阻害剤
・アタザナビル
・インジナビル
・非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
・エトラビリン
・セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
・フルコナゾール
・ボリコナゾール
・アセトアミノフェン
・ラモトリギン
・モルヒネ
・サリチル酸
・カリウム製剤
・塩化カリウム
・グルコン酸カリウム等
・ACE阻害剤
・カプトプリル
・エナラプリル等
・アンジオテンシンII受容体拮抗剤
・ロサルタンカリウム
・カンデサルタンシレキセチル等
・カリウム保持性利尿薬
・スピロノラクトン
・トリアムテレン
・カンレノ酸カリウム等
・非ステロイド性消炎鎮痛剤
・インドメタシン等