エビリファイによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/11

エビリファイとは

エビリファイ(ABILIFY)とは、気持ちを穏やかに調節し、心身の活動を活発にするお薬です。

主成分の、アリピプラゾール(Aripiprazole)は、脳内ドーパミン系神経を、ほど良く調節する作用があり、非定型抗精神病薬(DSS:Dopamine System Stabilizer)と呼ばれています。(第3世代抗精神病薬)

つまり、ドーパミンが過剰に産生している場合には、抑制する方向に働き、逆に不足気味の場合には、増加させる方向に働く作用があります。(ドーパミンD2受容体パーシャルアゴニスト)

また、セロトニンに対しても、ドーパミンと同様の調節作用があります。(セロトニン5-HT1A受容体パーシャルアゴニスト、セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト)

このため、様々な心身の症状に対して利用されます。

適応症は、以下の通りです。

・統合失調症
・双極性障害の躁症状の改善
・うつ病やうつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)

応用として、以下の場合に利用する場合があります。

・神経症
・パニック障害

尚、アメリカではFDAが、2009年に、自閉症児の癇癪を抑制する作用を承認しています。

本剤は、大塚製薬株式会社により、製造販売されています。

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主な副作用

エビリファイの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

【統合失調症に利用される方】

・不眠になる
・神経過敏になる
・アカシジアがみられる
・振戦(手指振戦含む)がみられる
・不安になる
・体重が減少する
・筋強剛がみられる
・食欲不振になる

主な臨床検査値の異常変動は、以下の通りです。

・CK(CPK)値が上昇する
・プロラクチンが低下する
・ALT(GPT)値が上昇する

【双極性障害における躁症状の改善に利用される方】

・アカシジアがみられる
・振戦がみられる
・傾眠がみられる
・寡動がみられる
・流涎がみられる
・不眠になる
・体重が増加する
・悪心がある
・嘔吐する
・ジストニア(筋緊張異常)がみられる

【うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)に利用される方】

・アカシジアがみられる
・体重が増加する
・振戦がみられる
・傾眠がみられる
・不眠になる
・ALT(GPT)値が上昇する
・便秘になる

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
悪性症候群 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)がみられる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がみられる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧の変動がみられる、発汗等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。抗精神病剤と併用した際に現れることが多い
遅発性ジスキネジア 口をモグモグさせる、歯を食いしばる、噛む、顎を側方にずらす、唇をすぼめたり尖らせたりを繰り返す、舌を突き出す、舌を左右に揺らす、瞬きを繰り返す、額にしわを寄せる、肩をひそめる、しかめ面をする、手指を繰り返し屈伸する、腕を振り回す・ねじる、足踏みする、タップする、体をゆする、くねらす、ねじる、呼吸困難になる、不規則呼吸がみられる等
麻痺性イレウス 強い腹痛がある、吐き気がする、吐く、ひどい便秘になる、おなかが膨れる等
アナフィラキシー様症状 紅斑がみられる、悪寒がある、口腔咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面紅潮がみられる、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身発赤がみられる、顔面や喉頭に浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がする、発汗する等
横紋筋融解症 手足肩を中心とした筋肉痛・こわばりがある、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う場合がある
糖尿病性ケトアシドーシス 口が渇く(喉のかわき)、多飲になる、倦怠感がある、悪心がある、嘔吐する、低体温になる、体重が減少する、血圧が低下する、頻脈になる、意識障害がある、糖尿病性ケトアシドーシスがみられる、高血糖高浸透圧状態になる、低血糖症になる、乳酸アシドーシスがみられる、激烈な腹痛(急性腹症)になる、胃痙攣(けいれん)をおこす等
糖尿病性昏睡 著しいのどの渇きがある、脱水する、多尿になる、頻尿になる、だるい、食欲が低下する、吐き気がする、悪心がある、嘔吐する、腹痛がある、下痢する、ショックがみられる、昏睡がみられる
低血糖(低血糖症) 脱力感がある、冷や汗がでる、急激な空腹感がある、悪寒がする、動悸がする、手が震える、集中力が低下する、痙攣(けいれん)する、意識障害がみられる、低血糖性昏睡に至る例の報告もある
痙攣(けいれん) 全身の筋肉がピクピクする、しびれる、チクチクと痛む、瞬間うとうとと眠くなる、失神する、錯乱する、脱力する、膀胱の調節機能が消失する、興奮状態が継続する、怒りっぽい、ぼんやりする、よろめく、吐き気がする、眩暈(めまい)がする、下肢コントロールが不能になる、筋肉の付随現象がみられる等
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等
白血球減少 風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい
肺塞栓症 突然息切れする、呼吸が速い、落ち着かない、鋭い胸の痛みがある、眩暈(めまい)がする、失神する、痙攣(けいれん)する、不整脈がみられる、血痰がでる、発熱する、足首や脚のむくみがみられる、脱力感がある、チアノーゼがみられる等
深部静脈血栓症 皮膚の発赤がみられる、胸の痛みがある、ふくらはぎの腫れ・痛み・圧痛・熱感がある、足首・脚・太ももの腫れがみられる等
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
精神神経系 不眠になる、神経過敏になる、不安になる、傾眠がみられる、眩暈(めまい)がする、頭痛がする、うつ病になる、幻覚がみられる、妄想する、リビドーが亢進する、昏迷がみられる、自殺企図がみられる、攻撃的反応がみられる、異常思考がみられる、拒食になる、独語を言う、知覚減退がみられる、もやもや感がある、末梢神経障害がみられる、持続勃起する、射精障害がみられる、勃起不全になる、失神する、感情不安定になる、錯乱がある、神経症になる、譫妄がみられる、躁病反応がある、精神症状がみられる、双極性障害がみられる、嗜眠がみられる、鎮静する、舌麻痺がみられる、気力が低下する、激越(不安、焦燥、興奮)がみられる、注意力障害がみられる
錐体外路症状 アカシジアがみられる、振戦がみられる、筋強剛がみられる、流涎がみられる、寡動がみられる、歩行異常がみられる、ジストニア(筋緊張異常)がみられる、ジスキネジアがみられる、構音障害がみられる、嚥下障害がみられる、からだのこわばりがある、口がもつれる、眼瞼下垂がみられる、パーキンソン症候群になる、眼球挙上がみられる、眼球回転発作がおこる、眼球回旋がみられる
循環器 頻脈になる、低血圧になる、高血圧になる、心悸亢進がみられる、徐脈になる、起立性低血圧をおこす、心電図異常(期外収縮、QT延長等)がみられる
消化器 食欲不振になる、便秘する、悪心がある、嘔吐する、腹痛がある、下痢する、胃炎になる、消化不良になる、胃腸炎になる、食欲亢進がみられる、口内炎ができる、膵炎になる
血液 赤血球が減少する、白血球が減少する、白血球が増多する、好中球が減少する、好中球が増多する、好酸球が減少する、好酸球が増多する、単球が減少する、単球が増多する、リンパ球が減少する、リンパ球が増多する、ヘモグロビン値が低下する、ヘマトクリット値が低下する、貧血をおこす、赤血球が増多する、好塩基球が減少する、好塩基球が増多する、血小板が減少する、血小板が増多する、ヘモグロビン値が上昇する、ヘマトクリット値が上昇する
内分泌 プロラクチン値が低下する、プロラクチン値が上昇する、月経異常がみられる
肝臓 ALT(GPT)値が上昇する、AST(GOT)値が上昇する、LDH値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、Al-P値が上昇する、Al-P値が低下する、LDH値が低下する、総ビリルビン値が上昇する、総ビリルビン値が低下する、肝炎になる、黄疸がでる
腎臓 BUN値が上昇する、BUN値が低下する、蛋白尿がでる、尿沈渣異常がみられる、尿比重上昇がみられる、クレアチニン値が上昇する、尿糖がでる、尿ウロビリノーゲン値が上昇する、尿ビリルビン値が上昇する、尿中NAG値が上昇する、尿比重値が低下する
泌尿器 尿潜血がみられる、排尿障害がみられる、血尿がでる、膀胱炎になる、尿閉になる、頻尿になる、多尿になる、尿失禁する
過敏症 発疹ができる、光線過敏性反応がみられる、湿疹ができる、紅斑ができる、掻痒症になる、血管浮腫ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる
皮膚 ざ瘡がみられる、皮膚炎になる、皮膚が乾燥する、皮膚が剥脱する
代謝異常 CK(CPK)値が上昇する、口が渇く、コレステロール値が上昇する、コレステロール値が低下する、HDL-コレステロール値8が上昇、トリグリセライド値が上昇する、リン脂質値が低下する、多飲症になる、高血糖がみられる、水中毒がみられる、高尿酸血症になる、高脂血症になる、HDL-コレステロール値が低下する、トリグリセライド値が低下する、CK(CPK)値が低下する、血中ブドウ糖値が変動する
呼吸器 鼻炎になる、咽頭炎になる、気管支炎になる、気管支痙攣になる、咽喉頭症状がみられる、しゃっくりがでる、嚥下性肺炎になる
霧視がみられる、眼乾燥する、視力障害がある、羞明がみられる、眼がチカチカする、調節障害になる
その他 体重が減少する、倦怠感がある、脱力感がある、疲労する、体重が増加する、発熱する、多汗になる、総蛋白値が減少する、グロブリン分画異常になる、ナトリウム値が低下する、カリウム値が低下する、クロール値が低下する、ほてりがみられる、熱感がある、灼熱感がある、背部痛がある、四肢痛がある、関節痛がある、筋痛がある、肩こりがみられる、悪寒がする、性器出血がみられる、胸痛がある、膿瘍がみられる、歯ぎしりする、睡眠時驚愕がみられる、鼻出血がある、末梢性浮腫ができる、挫傷がみられる、気分不良になる、総蛋白値が上昇する、A/G値が上昇する、A/G値が低下する、アルブミン値が上昇する、アルブミン値が低下する、ナトリウム値が上昇する、カリウム値が上昇する、クロール値が上昇する、脱毛がみられる、低体温になる、疼痛がする
過量投与 嗜眠がみられる、傾眠がみられる、血圧が上昇する、頻脈になる、嘔吐する、一過性の意識消失がみられる、傾眠がみられる等

 

エビリファイについて

本剤は、日本の大塚製薬が開発したお薬で、2006年に許可され、現在では、60か国以上で利用されているお薬です。

統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方に良い効果があるため、様々な精神疾患に利用されています。

持病やアレルギーのある方は、事前に医師とご相談ください。

アルコール(飲酒)は、控えてください。

服用量は、少量から開始して、徐々に増加することもあります。

効果がすぐに発現しない場合もありますが、継続して服用してください。

眠気を催したり、注意力や反射運動能力が低下することがありますので、車の運転や危険を伴う作業等は、避けてください。

尚、勝手に服用を中断すると、反動で、かえって具合が悪くなる場合がありますので、薬を止めたい場合には、医師とご相談ください。

うつ症状のある方の場合、希死念慮がみられ、自殺企図の可能性がありますので、注意が必要です。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・昏睡状態の方
・バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある方
・アドレナリンを投与中の方
・本剤の成分に対して、過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・肝障害のある方
・心、血管疾患、低血圧、及び、それらの疑いのある方
・てんかん等の痙攣性疾患(けいれんせいしっかん)のある方
・てんかん等の痙攣性疾患の既往歴のある方
・糖尿病またはその既往歴のある方
・糖尿病の家族歴や高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子のある方
・自殺念慮、自殺企図の既往のある方
・自殺念慮のある方
・脳の器質的障害のある方
・衝動性の高い併存障害のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・小児等

以下の薬剤との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、医師とご相談ください。

・アドレナリン
  ・ボスミン

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。

・中枢神経抑制剤
  ・バルビツール酸誘導体
  ・麻酔剤等
・降圧剤
・抗コリン作用を有する薬剤
・ドパミン作動薬
  ・レボドパ製剤
・アルコール(飲酒)
・CYP2D6阻害作用を有する薬剤
  ・キニジン
  ・パロキセチン等
・CYP3A4阻害作用を有する薬剤
  ・イトラコナゾール
  ・クラリスロマイシン等
・肝代謝酵素(特にCYP3A4)誘導作用を有する薬剤
  ・カルバマゼピン
  ・リファンピシン等

 

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