ディオバンによる副作用
ディオバンとは
ディオバン(DIOVAN)とは、血圧を下げるためのお薬です。
主に高血圧症の治療に利用されています。
主成分のバルサルタン(Valsartan)には、血圧を上げる物質である「アンジオテンシンⅡ」を抑制する作用があります。
この作用により、血管の平滑筋を弛緩させ血管が広くなり、水分と電解質が調整され、結果として血圧が下がります。
また、同時に心臓や腎臓への負荷も軽減する効果もあると言われています。
本剤は、アンジオテンシンⅡのみに選択的に作用するため、副作用も比較的少ないと言われています。
適応症は以下の通りです。
・高血圧症
但し、本剤は高血圧症の原因を根本的に治療するお薬ではありません。あくまで血圧を下げるための対症療法薬です。
ディオバンは、ノバルティス ファーマ株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
ディオバンの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・眩暈(めまい)がする
・貧血になる
・頭痛がする
・腹痛になる
・咳嗽(がいそう)がみられる
主な臨床検査値の異常は、以下の通りです。
・血中尿酸値が上昇する
・γ-GTP値が上昇する
・BUN値が上昇する
・ALT(GPT)値が上昇する
・CK(CPK)値が上昇する
・AST(GOT)値が上昇する
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
| 副作用の名称 | 想定される症状等 | 
|---|---|
| 血管浮腫 | 呼吸が苦しい、会話が不自由、顔面・口唇・咽頭・舌の腫脹がみられる等 | 
| 肝炎 | 白目や皮膚が黄色くなる、高熱がでる、倦怠感が増大する、黄色い尿がでる、淡黄色の便がでる等 | 
| 腎不全 | むくみがある、尿が出にくい、尿毒症になる等 | 
| 高カリウム血症 | 全身がだるい、手足が痺れる、力が入らない、腹痛になる、下痢する、吐き気がする、不整脈がみられる等 | 
| ショック | 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)がでる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等 | 
| 失神 意識消失(意識喪失)  | 
眩暈(めまい)がする、立ちくらみがある、顔面が蒼白になる、動悸が高まる、胸の痛みがある、胸部不快感がある等 | 
| 無顆粒球症 | 発熱する、咽頭痛になる、倦怠感がある、口内炎ができる等 | 
| 白血球減少 | 風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい | 
| 血小板減少(血小板減少症) | 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等 | 
| 間質性肺炎 | 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等 | 
| 低血糖(低血糖症) | 脱力感がある、冷や汗がでる、急激な空腹感がある、悪寒がする、動悸がする、手の震えがある、集中力が低下する、痙攣(けいれん)をおこす、意識障害がみられる、低血糖性昏睡に至る場合がある等 | 
| 横紋筋融解症 | 手足肩を中心とした筋肉痛やこわばりがみられる、手足のしびれがある、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う場合がある | 
| 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群もしくはToxic Epidermal Necrolysis:TEN) | 皮膚が赤くなる、皮膚が焼けるように痛む、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、発熱する、口内が荒れる等 | 
| 多形紅斑(たけいこうはん) | 手の甲・足の甲・肘・膝などの四肢伸側に左右対称に多発する円形の紅斑がみられる、発熱する、痛みがある等 | 
 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
| 副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 | 
|---|---|
| 過敏症 | 光線過敏症になる、発疹ができる、そう痒がある、蕁麻疹(じんましん)がでる、紅斑ができる | 
| 精神神経系 | 眩暈(めまい)がする、頭痛がする、眠気がある、不眠になる | 
| 血液 | 白血球が減少する、好酸球が増多する、貧血になる | 
| 循環器 | 低血圧になる、動悸がする、頻脈になる、心房細動がみられる | 
| 消化器 | 嘔気がある、腹痛がする、嘔吐する、下痢する、便秘になる、口が渇く、食欲不振になる | 
| 肝臓 | AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、LDH値が上昇する、ALP値が上昇する、ビリルビン値が上昇する | 
| 呼吸器 | 咳嗽(がいそう)がみられる、咽頭炎になる | 
| 腎臓 | 血中尿酸値が上昇する、BUN値が上昇する、血清クレアチニン値が上昇する | 
| 電解質 | 血清カリウム値が上昇する | 
| その他 | 筋肉痛になる、関節痛になる、けん怠感がある、浮腫ができる、CK(CPK)値が上昇する、胸痛がある、疲労感がある、痺れる(しびれる)、味覚異常がある、ほてりがある、血糖値が上昇する、血清コレステロール値が上昇する、血清総蛋白が減少する、腰背部痛がある、脱力感がある | 
| 過量投与 | 著しい血圧低下がみられる、意識レベルの低下がみられる、循環虚脱がみられる | 
ディオバンについて
本剤は、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(Angiotensin II Receptor Blocker)と呼ばれるお薬です。(略称はARB)
比較的副作用が少なく、1日に1回の服用で済むのが特徴で、長期に渡って利用する際に適しています。
持病やアレルギーのある方は、事前に医師とご相談ください。
立ち眩みや眩暈(めまい)を起こす場合がありますので、車の運転や危険を伴う作業等は控えてください。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・アリスキレンを投与中の糖尿病の方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・両側性腎動脈狭窄のある方
・片腎で腎動脈狭窄のある方
・高カリウム血症の方
・重篤な腎機能障害のある方
・肝障害のある方
・脳血管障害のある方
・高齢の方
・小児等
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。
・アリスキレン
・アンジオテンシン変換酵素阻害剤
・カリウム保持性利尿剤
  ・スピロノラクトン
  ・トリアムテレン等
・カリウム補給製剤
  ・塩化カリウム
・ドロスピレノン・エチニルエストラジオール
・シクロスポリン
・非ステロイド性消炎鎮痛剤
  ・NSAIDs
・COX-2選択的阻害剤
  ・インドメタシン等
・ビキサロマー
・リチウム


