ユナシンによる副作用

公開日：2016/08/06 最終更新日：2017/08/05

ユナシンとは

ユナシン（Unasyn）とは、細菌を殺菌するための抗生物質です。

本剤の主成分は、スルタミシリントシル酸塩水和物（Sultamicillin Tosilate Hydrate）で、体内で、アンピシリン（ABPC）とスルバクタム（SBT）になります。

アンピシリンは、細菌が細胞壁を合成することを抑制する作用があります。

一方、スルバクタムは、アンピシリンを分解するために細菌が生成する酵素（βラクタマーゼ）の働きを邪魔する作用があります。

この２つの相乗作用により、安定した抗菌効果が期待されます。

適応菌種は以下の通りです。

・スルバクタム／アンピシリンに感性のブドウ球菌属
・レンサ球菌属
・肺炎球菌
・腸球菌属
・淋菌
・大腸菌
・プロテウス・ミラビリス
・インフルエンザ菌

適応症は以下の通りです。

・表在性皮膚感染症
・深在性皮膚感染症
・リンパ管・リンパ節炎
・慢性膿皮症
・咽頭・喉頭炎
・扁桃炎
・急性気管支炎
・肺炎
・肺膿瘍
・慢性呼吸器病変の二次感染
・膀胱炎
・腎盂腎炎
・淋菌感染症
・子宮内感染
・涙嚢炎
・角膜炎（角膜潰瘍を含む）
・中耳炎
・副鼻腔炎

本剤は、ファイザー株式会社により製造販売されています。

主な副作用

ユナシンの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

（成人）
・下痢する
・軟便になる
・発疹ができる
・AST（GOT）値が上昇する
・ALT（GPT）値が上昇する

（小児）
・下痢する
・軟便になる

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称	想定される症状等
ショック	血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹（じんましん）がでる、痺れる（しびれる）、動悸がする、息切れする等
アナフィラキシー様症状	紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴（ぜんめい）がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈（めまい）がする、耳鳴がきこえる、発汗する等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis：TEN)	からだがだるい、関節の痛み、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ（水疱）、発熱、食欲不振口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)	高熱、陰部の痛み、関節の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、発熱、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る（各種皮膚障害）、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、食欲不振、からだがだるい等
剥脱性皮膚炎（紅皮症）	39度から40度の高熱がでる、顔に発疹ができる、全身の皮膚が赤くなる、皮膚のカスがよく落ちる等
急性腎不全	尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がある、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足が浮腫む、息苦しい、意識が低下する等
間質性腎炎	発熱する、関節が痛む、吐き気がする、下痢する、尿が濁る等
血液障害	無顆粒球症になる、溶血性貧血になる、血小板減少がみられる等
無顆粒球症	発熱する、咽頭痛になる、倦怠感がある、口内炎ができる等
血小板減少（血小板減少症）	手足に赤い点（点状出血）ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等、死亡例あり
溶血性貧血	赤い尿がでる、皮膚や白目が黄色くなる、発熱する、貧血になる等
偽膜性大腸炎	激しい腹痛がおこる、発熱する、頻回の下痢がある、血液便がでる、下血する等
出血性大腸炎	血便がでる、急激な腹痛がある、下痢が止まらない、血性下痢がおこる等
肝機能障害	倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST（GOT）値が上昇する、ALT（GPT）値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
黄疸	嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒がある等、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹ができる等

上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等	副作用の名称、症状
過敏症	発疹ができる、蕁麻疹（じんましん）がでる、そう痒がある、多形紅斑がみられる、血管浮腫ができる、皮膚炎になる
血液	好酸球が増多する、顆粒球が減少する、血小板が減少する、白血球が減少する、好中球が減少する、貧血になる
肝臓	AST（GOT）値が上昇する、ALT（GPT）値が上昇する、Al-P値が上昇する
消化器	下痢する、軟便になる、悪心がある、嘔吐する、胃部不快感がある、胃痛がする、腹部痛がする、食欲不振になる、舌炎になる、黒毛舌がみられる、消化不良になる、胸やけがする
菌交代	口内炎ができる
中枢神経	眩暈（めまい）がする、痙攣（けいれん）する
その他	発熱する、頭痛がする、倦怠感がある、傾眠がみられる、ビタミンK欠乏症状がみられる（低プロトロンビン血症、出血傾向等）、ビタミンB群欠乏症状がみられる（舌炎になる、口内炎ができる、食欲不振になる、神経炎になる等）、呼吸困難になる、疲労する
過量投与	痙攣等を含む神経系の副作用が発現する場合がある

ユナシンについて

安全性の高い、合成ペニシリン製剤です。

細菌に対して有効なお薬で、呼吸器や耳鼻科等、広い領域で利用されています。

ウィルスや真菌（カビ）に対しては効果がありません。

又、細菌の中でも、緑膿菌やセラチアに対しての効果はありません。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。（喘息、蕁麻疹、腎臓病等）

耐性菌を増やさないためにも、抗生物質の利用は医師と相談の上、最小限にする様、注意が必要です。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分によりショックの既往歴のある方
・伝染性単核症の方

以下の方は、原則禁忌です。

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
・ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある方
・本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する方
・高度の腎障害のある方
・経口摂取の不良な方
・非経口栄養の方
・全身状態の悪い方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・アロプリノール
・抗凝血剤
・経口避妊薬
・メトトレキサート
・プロベネシド