ゲンタシンによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/09

ゲンタシンとは

ゲンタシン(GENTACIN)とは、皮膚疾患や内臓の炎症の原因となる細菌を殺菌するためのお薬です。

クリームや軟膏による塗り薬タイプと、点滴注射タイプがあります。

クリーム軟膏タイプは、ニキビ等皮膚疾患の症状を緩和します。

点滴注射タイプは、肺炎や膀胱炎等、内臓の炎症等を抑制する作用があります。

本剤の主成分は、ゲンタマイシン硫酸塩(Gentamicin Sulfate)で、アミノグリコシド系の抗生物質です。

この成分は、細菌がタンパクを合成するのを強力にブロックする作用があり、この作用により殺菌的な効果が期待されます。

昔から主に皮膚の感染症の治療に利用されてきたお薬です。

適応菌種は、以下の通りです。

(クリーム軟膏タイプ)
・ゲンタマイシンに感性のブドウ球菌属
・レンサ球菌属(肺炎球菌を除く)
・大腸菌
・クレブシエラ属
・エンテロバクター属
・プロテウス属
・モルガネラ・モルガニー
・プロビデンシア属
・緑膿菌

(点滴注射タイプ)
・ゲンタマイシンに感性のブドウ球菌属
・大腸菌
・クレブシエラ属
・エンテロバクター属
・セラチア属
・プロテウス属
・モルガネラ・モルガニー
・プロビデンシア属
・緑膿菌

適応症は以下の通りです。

(クリーム軟膏タイプ)
・表在性皮膚感染症
・慢性膿皮症
・びらん・潰瘍の二次感染

(点滴注射タイプ)
・敗血症
・外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
・肺炎
・膀胱炎
・腎盂腎炎
・腹膜炎
・中耳炎

応用として、以下の様な疾患に対しても利用されています。

・子宮腟部びらん
・脂漏性皮膚炎
・皮膚炎
・眼瞼炎
・尋常性ざ瘡
・咽頭炎
・にきび
・アトピー

本剤は、MSD株式会社により製造販売されています

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主な副作用

ゲンタシンの主な副作用は、以下の通りです。

(クリーム軟膏タイプ)
・赤みがでる
・痒みがでる
・発疹ができる

(点滴注射タイプ)
・肝機能異常がみられる
・腎機能異常がみられる
・ALT(GPT)値が上昇する
・AST(GOT)値が上昇する

重大・重篤な副作用

(クリーム軟膏タイプ)
重大・重篤レベルの副作用は、想定されていません。

(点滴注射タイプ)
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする、心悸亢進がみられる等
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がある、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足が浮腫む、息苦しい、意識が低下する等
第8脳神経障害 耳鳴がする、眩暈(めまい)がする、難聴になる、聴力が低下する等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

(クリーム軟膏タイプ)

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
過敏症 発疹ができる、赤みがでる、痒みがでる等
その他 腎障害がみられる、難聴になる

 

(点滴注射タイプ)

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
過敏症 発疹ができる、痒み(そう痒)がでる、発熱する等
腎臓 浮腫ができる、腎機能障害がみられる(BUN値が上昇する、クレアチニン値が上昇する、尿所見異常がみられる、乏尿がみられる等)、血尿がでる、カリウム等電解質の異常がみられる
肝臓 肝機能障害がみられる(AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、Al-P値が上昇する等)
神経 四肢のしびれ感がある、幻覚がみられる、妄想がみられる、痙攣(けいれん)する、意識障害がみられる、頭痛がする
血液 好酸球が増多する、貧血になる、白血球が減少する、血小板が減少する
消化器 嘔吐する、食欲不振になる、悪心がみられる
ビタミン欠乏症 ビタミンK欠乏症状になる(低プロトロンビン血症がみられる、出血傾向がみられる等)、ビタミンB群欠乏症状がみられる(舌炎になる、口内炎ができる、食欲不振になる、神経炎ができる等)
注射部位 疼痛がする、硬結がみられる等
その他 腎障害がみられる、難聴になる
過量投与 腎障害がみられる、聴覚障害がみられる、前庭障害がみられる、神経筋遮断症状がみられる、呼吸麻痺がみられる

 

ゲンタシンについて

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

目に対して使用することは避けてください。

本剤は抗生物質をふくみますので、塗り薬であっても、長期に渡っての連用は避けてください。

軟膏タイプの場合、感作される可能性があるため、観察をしっかり行い、そう痒がある、発赤する、腫脹ができる、丘疹がみられる、小水疱がみられる等の症状が発現した際には、使用を中止してください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・他のアミノグリコシド系抗生物質に対して過敏症の既往歴のある方
・バシトラシンに対して過敏症の既往歴のある方

以下の方は、原則禁忌です。

(点滴注射タイプ)
・本人、又は、その血族が、アミノグリコシド系抗生物質による難聴やその他の難聴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

(点滴注射タイプ)
・腎障害のある方
・肝障害のある方
・重症筋無力症の方
・高齢の方
・経口摂取の不良な方
・非経口栄養の方
・全身状態の悪い方
・低出生体重児
・新生児
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

(点滴注射タイプ)
・腎障害を起こすおそれのある血液代用剤
  ・デキストラン
  ・ヒドロキシエチルデンプン等
・ループ利尿剤
  ・エタクリン酸
  ・アゾセミド
  ・フロセミド等
・腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤
  ・バンコマイシン塩酸塩
  ・エンビオマイシン硫酸塩
  ・白金含有抗悪性腫瘍剤
    ・シスプラチン
    ・カルボプラチン
    ・ネダプラチン
   等
・麻酔剤
・筋弛緩剤
  ・ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物
  ・パンクロニウム臭化物
  ・ベクロニウム臭化物
  ・トルペリゾン塩酸塩
  ・ボツリヌス毒素等
・腎毒性を有する薬剤
  ・シクロスポリン
  ・タクロリムス水和物
  ・アムホテリシンB
  ・ホスカルネットナトリウム水和物等

 

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