リファンピシン、リファジンによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/11

リファンピシン、リファジンとは

リファンピシン(Rifampicin)、リファジン(RIFADIN)とは、抗生物質です。

主に結核の治療等に利用されます。

リファジンは商品名称で、リファンピシンは有効成分の一般名称です。

本剤は、抗酸菌(マイコバクテリア)に対して有効なお薬です。

適応菌種は以下の通りです。

・本剤に感性のマイコバクテリウム属

適応症は以下の通りです。

・肺結核及びその他の結核症
・マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症
・ハンセン病

応用として以下の様な感染症に利用される場合があります。

・レジオネラ肺炎
・肺炭疽症

本剤は、第一三共株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

リファンピシン、リファジンの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・胃腸障害が発現する(胃不快感がある、嘔吐する等)
・AST(GOT)値が上昇する
・ALT(GPT)値が上昇する
・発疹ができる
・肝障害が発現する
・発熱する
・血小板が減少する
・頭痛がする

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
劇症肝炎 白眼や皮膚が黄色くなる、発熱する、吐き気がする、全身がだるい、AST(GOT)値の著しく上昇する、ALT(GPT)値が著しく上昇する、γ-GTP値が著しく上昇する、Al-P値が著しく上昇する等
重篤な肝障害 発疹がでる、皮膚そう痒感がある、発熱する、悪心がある、嘔吐する、食欲不振になる、けん怠感等の随伴症状がある等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼが見られる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)がでる、痺れ(しびれ)がある、動悸がする、息切れする等
アナフィラキシー様症状 紅斑がでる、悪寒がする、口腔咽頭浮腫ができる、口内に違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面紅潮が発現する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がある、血管浮腫になる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴(みみなり)がする、発汗する等
腎不全 むくみ、尿が出にくい、尿毒症等
間質性腎炎 発熱する、関節が痛む、吐き気がする、下痢する、尿が濁る等
ネフローゼ症候群 高度の浮腫が発生する、大量のたんぱく尿が出る、尿が泡立っている、まぶたや下肢がむくむ、胸水がある、腹水がある、心嚢水がある、息切れがする、呼吸が困難になる、吐き気がする、嘔吐する、体重が増加する、免疫力が低下する
溶血性貧血 赤い尿がでる、皮膚や白目が黄色くなる、発熱する、貧血になる等
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛になる、倦怠感がある、口内炎ができる等
血小板減少(血小板減少症) 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等、死亡例あり
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎 発熱する、腹痛がする、 頻回の下痢がみられる等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節の痛み、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、発熱、食欲不振口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱、陰部の痛み、関節の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、発熱、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、食欲不振、からだがだるい等
扁平苔癬型皮疹 かゆい、皮膚が紫色になる、表面が蝋の様な光沢を持つ、胴体や手首や脚や陰部等に皮疹ができる、皮疹を掻くと広がる等
天疱瘡様及び類天疱瘡様皮疹(てんぽうそう-) 発疹ができる、全身の皮膚に水疱を生じる自己免疫性水疱症になる、紅斑ができる、激しい痒みがある等
紅皮症(剥脱性皮膚炎) 39度から40度の高熱がでる、顔に発疹ができる、全身の皮膚が赤くなる、皮膚のカスがよく落ちる等
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
肝臓 黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する等
過敏症 発疹ができる、発熱する等のかぜ様症候群が発現する、蕁麻疹(じんましん)がでる等
腎臓 尿蛋白がでる、血尿がでる等
血液 顆粒球が減少する、出血傾向になる、好酸球が増多する等
消化器 胃腸障害が発現する(食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、胃痛がある、下痢する、胃不快感がある等)、出血性びらん性胃炎になる
精神神経系 不眠になる、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、いらいら感がある、傾眠がみられる、錯乱する
内分泌 月経異常がみられる、甲状腺機能低下症になる、副腎機能不全になる
その他 全身倦怠感がある、しびれ感がある、筋脱力がみられる、手指のこわばりがある、浮腫ができる、運動失調になる
過量投与 皮膚・唾液・涙液・汗・顔面の橙赤色化(red man syndrome)がみられる、嘔気がする、嘔吐する、腹痛がする、肝肥大がみられる、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、頭痛がする、顔面浮腫ができる、眼窩周囲浮腫ができる、急性肺水腫ができる、嗜眠がみられる、意識障害がみられる、痙攣(けいれん)する、低血圧になる、洞頻脈がみられる、心室性不整脈がみられる、心停止する

 

リファンピシン、リファジンについて

本剤は、抗酸菌に対して有効な数少ない抗生物質の1つです。

このお薬によって、結核が比較的短期間で治癒する様になりました。

通常、結核の治療では、本剤の他に複数のお薬を利用して行います。(イソニアジド、ピラジナミド、エタンブトール等)

本剤は、結核の際の第一選択薬の1つです。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

アルコール(飲酒)は治癒に悪影響があるだけではなく、肝臓等の副作用を起こし易くするため控えてください。

尿や唾液、痰、涙、汗等の体液系の色が赤味を帯びる場合がありますが、薬の代謝によるものなので心配する必要はありません。

但し、ソフトコンタクト等が変色する場合がありますので、ご利用の際には医師とご相談ください。

眩暈(めまい)等が発現する場合がありますので、車の運転や危険を伴う作業等は控えてください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・胆道閉塞症の方
・重篤な肝障害のある方
・以下の様なHIV感染症治療薬を利用されている方
  ・インジナビル硫酸塩エタノール付加物
  ・サキナビルメシル酸塩
  ・ネルフィナビルメシル酸塩
  ・ホスアンプレナビルカルシウム水和物
  ・アタザナビル硫酸塩
  ・リルピビリン塩酸塩
  ・エルビテグラビル又はコビシスタットを含有する製剤
・ボリコナゾールを利用されている方
・プラジカンテルを利用されている方
・タダラフィル(アドシルカ)を利用されている方
・テラプレビルを利用されている方
・シメプレビルナトリウムを利用されている方
・ダクラタスビル塩酸塩を利用されている方
・アスナプレビル又はバニプレビルを利用されている方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・過敏症の既往歴のある方
・間歇投与又は投与を一時中止し、再投与する方
・副腎皮質不全のある方
・慢性甲状腺炎のある方
・肝障害、又は、その既往歴のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・小児等

以下の薬剤等との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・HIV感染症治療薬
  ・インジナビル硫酸塩エタノール付加物
    ・クリキシバン
  ・サキナビルメシル酸塩
    ・インビラーゼ
  ・ネルフィナビルメシル酸塩
    ・ビラセプト
  ・ホスアンプレナビルカルシウム水和物
    ・レクシヴァ
  ・アタザナビル硫酸塩
    ・レイアタッツ
  ・リルピビリン塩酸塩
    ・エジュラント
  ・エルビテグラビル又はコビシスタットを含有する製剤
    ・スタリビルド
・ボリコナゾール
  ・ブイフェンド
・プラジカンテル
  ・ビルトリシド
・タダラフィル
  ・アドシルカ
・テラプレビル
  ・テラビック
・シメプレビルナトリウム
  ・ソブリアード
・ダクラタスビル塩酸塩
  ・ダクルインザ
・アスナプレビル
  ・スンベプラ
・バニプレビル
  ・バニヘップ

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・エタンブトール塩酸塩
・抗結核薬
  ・イソニアジド等
・アセトアミノフェン
・レフルノミド
・ピタバスタチンカルシウム
・リネゾリド
・ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
・アトバコン
・ドルテグラビルナトリウム
・カスポファンギン酢酸塩
・クマリン系抗凝固薬
・リバーロキサバン
・アピキサバン
・経口糖尿病薬
・シクロスポリン
・タクロリムス水和物
・ミコフェノール酸モフェチル
・テオフィリン
・ジギタリス製剤
・トルバプタン
・抗不整脈薬
  ・キニジン硫酸塩水和物
  ・メキシレチン塩酸塩
  ・ジソピラミド
  ・プロパフェノン塩酸塩
  ・ピルシカイニド塩酸塩水和物
・カルシウム拮抗薬
  ・ベラパミル塩酸塩
  ・ニフェジピン
  ・アゼルニジピン等
・ブナゾシン塩酸塩
・エプレレノン
・β遮断薬
  ・メトプロロール酒石酸塩
  ・プロプラノロール塩酸塩
  ・カルベジロール等
・エナラプリルマレイン酸塩
・高脂血症用薬
  ・クロフィブラート
  ・フルバスタチンナトリウム
  ・CYP3A4で代謝される薬剤
    ・シンバスタチン等
・セビメリン塩酸塩水和物
・副腎皮質ホルモン剤
・卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン剤
・ジアフェニルスルホン
・クロラムフェニコール
・ドキシサイクリン塩酸塩水和物
・クラリスロマイシン
・アゾール系抗真菌薬
  ・フルコナゾール等
・テルビナフィン塩酸塩
・HIV感染症治療薬
  ・HIVプロテアーゼ阻害剤
    ・リトナビル
    ・ロピナビル等
  ・ジドブジン
  ・ネビラピン
  ・エファビレンツ
  ・ラルテグラビルカリウム
  ・マラビロク
・抗てんかん剤
  ・フェニトイン
  ・カルバマゼピン
  ・ラモトリギン
・エレトリプタン臭化水素酸塩
・抗精神病薬
  ・ハロペリドール
  ・ブロムペリドール
  ・オランザピン
  ・クエチアピンフマル酸塩
  ・クロザピン等
・ベンゾジアゼピン系薬剤
  ・ジアゼパム
  ・ミダゾラム
  ・トリアゾラム等
・不眠症治療薬
  ・ゾルピデム酒石酸塩
  ・ゾピクロン
  ・スボレキサント
・三環系抗うつ薬
  ・ノルトリプチリン塩酸塩等
・ミルタザピン
・ドネペジル塩酸塩
・5-HT3受容体拮抗型制吐薬
  ・トロピセトロン塩酸塩等
・NK1受容体拮抗型制吐薬
  ・ホスアプレピタントメグルミン
・タモキシフェンクエン酸塩
・トレミフェンクエン酸塩
・抗悪性腫瘍薬
  ・CYP3A4等で代謝される薬剤
    ・イマチニブメシル酸塩
    ・ゲフィチニブ
    ・ラパチニブトシル酸塩水和物
    ・イリノテカン塩酸塩水和物
    ・レトロゾール
    ・エンザルタミド等
・ホスホジエステラーゼ5阻害剤
  ・シルデナフィルクエン酸塩
  ・バルデナフィル塩酸塩水和物
  ・タダラフィル
    ・シアリス
    ・ザルティア
・ボセンタン水和物
・過活動膀胱治療薬
  ・コハク酸ソリフェナシン
  ・ミラベグロン等
・デフェラシロクス
・鎮痛薬
  ・メサドン塩酸塩
  ・ブプレノルフィン塩酸塩
・ファシチニブクエン酸塩
・チザニジン塩酸塩
・トレプロスチニル

 

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