ビブラマイシンによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/10

ビブラマイシンとは

ビブラマイシン(Vibramycin)とは、細菌を殺菌するための抗生物質です。

本剤の主成分は、ドキシサイクリン塩酸塩水和物(Doxycycline Hydrochloride Hydrate)で、細菌が増殖する際に必要な蛋白質の合成を阻害することにより殺菌的に作用します。

さまざまな細菌に対して有効であるため、広い分野で利用されています。

適応菌種は以下の通りです。

・ドキシサイクリンに感性のブドウ球菌属
・レンサ球菌属
・肺炎球菌
・淋菌
・炭疽菌
・大腸菌
・赤痢菌
・肺炎桿菌
・ペスト菌
・コレラ菌
・ブルセラ属
・Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)
・クラミジア属

適応症は以下の通りです。

・表在性皮膚感染症
・深在性皮膚感染症
・リンパ管・リンパ節炎
・慢性膿皮症
・外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
・乳腺炎
・骨髄炎
・咽頭・喉頭炎
・扁桃炎
・急性気管支炎
・肺炎
・慢性呼吸器病変の二次感染
・膀胱炎
・腎盂腎炎
・前立腺炎(急性症、慢性症)
・尿道炎
・淋菌感染症
・感染性腸炎
・コレラ
・子宮内感染
・子宮付属器炎
・眼瞼膿瘍
・涙嚢炎
・麦粒腫
・角膜炎(角膜潰瘍を含む)
・中耳炎
・副鼻腔炎
・歯冠周囲炎
・化膿性唾液腺炎
・猩紅熱
・炭疽
・ブルセラ症
・ペスト
・Q熱
・オウム病

上記以外にも、ニキビ菌に対しても利用される場合があります。

適用外の利用法として、マラリアの治療に活用されているとの報告があります。

本剤は、ファイザー株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

ビブラマイシンの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・悪心がある
・嘔吐する
・食欲不振になる
・消化管障害が発現する
・発疹ができる
・灼熱感がある

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等
アナフィラキシー様症状 紅斑ができる、悪寒がする、口腔咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等
呼吸困難 息切れする、心臓の脈拍が上がる、胸部が痛む、手足が冷たい、倦怠感がある等
血管神経性浮腫 皮膚が腫れる(唇(くちびる)、瞼(まぶた)、ほほ、顔、首等)、口の中が腫れる、舌が腫れる、喉が腫れる、消化管が腫れる、腹痛がする、下痢する、喉が詰まる感じがする、話辛い感じがする、息苦しい感じがする等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節の痛み、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、発熱、食欲不振口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱、陰部の痛み、関節の痛み、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、発熱、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点、赤い発疹、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、食欲不振、からだがだるい等
剥脱性皮膚炎(紅皮症) 39度から40度の高熱がでる、顔に発疹ができる、全身の皮膚が赤くなる、皮膚のカスがよく落ちる等
薬剤性過敏症症候群 発疹ができる、発熱する、肝機能障害がおこる、リンパ節腫脹がみられる、白血球が増加する、好酸球が増多する、異型リンパ球が出現する等。ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多いため、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃したり遷延化することがある
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎 発熱する、腹痛がする、 頻回の下痢がみられる等
肝炎 白目や皮膚が黄色くなる、高熱がでる、倦怠感が増大する、黄色い尿がでる、淡黄色の便がでる等
肝機能障害 倦怠感の増大がみられる、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がみられる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する、劇症肝炎になる等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振である、倦怠感がある、そう痒がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度~39度の発熱、ブツブツ状の発疹がでる等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
肝臓 AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する
消化器 食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、腹痛がする、下痢する、口内炎ができる、舌炎になる、食道潰瘍ができる、食道炎になる、嚥下障害が起こる、消化不良になる、腸炎になる、肛門周囲炎になる
血液 顆粒球が減少する、血小板が減少する、溶血性貧血になる、好酸球が増多する
循環器 潮紅がみられる、低血圧になる、心膜炎になる、末梢性浮腫ができる、頻脈になる
腎臓 BUN値が上昇する
過敏症 発疹ができる(斑状丘疹性皮疹、紅斑性発疹を含む)、発熱する、蕁麻疹(じんましん)がでる、光線過敏症になる(爪甲剥離症を含む)、多形紅斑がみられる
筋・骨格系 関節痛になる、筋肉痛になる
その他 頭蓋内圧上昇がみられる(嘔吐、頭痛、複視、うっ血乳頭、大泉門膨隆等)に伴う症状、ビタミンK欠乏症状がみられる(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状がみられる(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)、全身性エリテマトーデスの悪化がみられる、血清病になる、耳鳴がする

 

ビブラマイシンについて

本剤は、テトラサイクリン系の抗生物質です。

通常、マイコプラズマ、クラミジア、リケッチアに対し、ペニシリン系やセフェム系の抗生物質は効きませんが、本剤は有効です。

さらに、細菌以外にも、マラリア原虫にも効果があると報告されています。

持病やアレルギーのある方は事前に医師とご相談ください。

本剤を長期間服用されている方や皮膚の弱い方は、なるべく直射日光は避けてください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・テトラサイクリン系の抗生物質に対して過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・肝障害のある方
・食道通過障害のある方
・経口摂取の不良な方
・非経口栄養の方
・全身症状の悪い方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、飲み合わせにつきまして医師とご相談ください。

・カルシウム
・マグネシウム
・アルミニウム
・鉄剤
・ビスマス塩
・抗凝血剤(ワルファリン等)
・カルバマゼピン
・フェニトイン
・リファンピシン
・バルビツール酸誘導体
・スルホニル尿素系血糖降下薬
・経口避妊薬

 

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