デプロメールによる副作用

公開日：2015/06/06 最終更新日：2017/08/11

デプロメールとは

デプロメール（DEPROMEL）とは、抗うつ剤です。

憂鬱な気持ちを緩和し、意欲を高める効果があります。

主成分は、フルボキサミンマレイン酸塩（Fluvoxamine Maleate）で、セロトニンの再取り込みを阻害する作用があり、結果としてセロトニンが増加し、気持ちが楽になると言われています。

適応症は、以下の通りです。

・うつ病
・うつ状態
・強迫性障害
・社会不安障害

また、応用として、以下の様な症状にも利用されています。

・摂食障害
・過食嘔吐
・月経前不快気分障害
・パニック障害
・外傷後ストレス障害等

本剤は、Meiji Seika ファルマ株式会社により、製造販売されています。

主な副作用

デプロメールの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

（うつ病・うつ状態、強迫性障害）
・嘔気がある
・悪心がある
・眠気がある
・口が渇く
・便秘になる
・倦怠感がある等

（社会不安障害）
・眠気がする
・嘔気がある
・悪心がある
・倦怠感がある
・腹痛になる
・口が渇く等

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称	想定される症状等
痙攣（けいれん）	興奮状態が継続する、怒りっぽい、ぼんやりする、よろめく、吐き気がする、眩暈（めまい）がする、下肢コントロール不能になる、筋肉の付随現象がみられる等
譫妄（せんもう）	イライラする、疲れが取れない、不眠になる、強い倦怠感がある、下痢する、動悸がする等
錯乱	外部状況に対し適した対応が出来ない状態、話や動作にまとまりがない等
幻覚	実在しないものが聴こえる（幻聴）、見える（幻視）、感じる（体感幻覚）等
妄想	現実では間違っていることを事実と思い込む等
意識障害	吐き気がする、食欲不振になる、腹痛になる、下痢する、強い倦怠感がある、意識レベルが低下する、意識が消失する等
ショック	血圧低下に伴い失神する、意識消失がみられる、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹（じんましん）がでる、痺れる（しびれる）、動悸がする、息切れする等
アナフィラキシー様症状	紅斑がでる、悪寒がする、口腔咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみをする、顔面紅潮がみられる、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身発赤がみられる、顔面や喉頭に浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴（ぜんめい）がきこえる、血管浮腫ができる等
セロトニン症候群	悪寒がする、発熱する、手が震える、不安になる、焦燥する、興奮する、錯乱する、幻覚がみられる、反射亢進がみられる、ミオクロヌスがみられる、発汗する、戦慄する、頻脈になる、振戦がみられる、下痢する、高血圧になる、固縮がみられる、協調異常がみられる、自律神経不安定等特にセロトニン作用薬と併用した際に発現する可能性が高い
悪性症候群	無動緘黙（むどうかんもく：無言症。無動無言状態のこと）がみられる、強度の筋強剛（きんきょうごう：筋肉のこわばり）がみられる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧の変動がみられる、発汗する等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。抗精神病剤と併用した際に現れることが多い
白血球減少	風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい
血小板減少	手足に赤い点（点状出血）ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等
肝機能障害	倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST（GOT）値が上昇する、ALT（GPT）値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
黄疸	嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がみられる、そう痒等がみられる、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がみられる、ブツブツ状の発疹ができる等
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群（SIADH）	むくみのない短期間の体重増加がみられる、頭痛がする、吐き気がする、低浸透圧血症になる、尿中ナトリウム排泄量が増加する、高張尿がでる、意識障害がみられる、主に高齢の方が低ナトリウム血症になる、痙攣（けいれん）する等

上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等	副作用の名称、症状
精神神経系	眠気がする、めまいがする、ふらつく、立ちくらみがする、振戦がみられる、アカシジア様症状や顎の不随意運動がみられる、開口障害がみられる、頬筋の痙攣（けいれん）等の錐体外路障害がみられる、頭痛がする、不眠になる、頭がボーっとする、ぼんやりする、集中力が低下する、記憶が減退する、動作が緩慢になる、あくびをする、圧迫感がある、抑うつ感がある、神経過敏になる、焦燥感がある、不安感がある、躁転がみられる、気分が高揚する、舌麻痺がみられる、言語障害がみられる、痺れる（しびれる）、運動失調になる、知覚異常がみられる、異常感覚がある、冷感がある、激越がみられる、性欲障害がある
循環器	頻脈になる、動悸がする、血圧が上昇する、低血圧になる、起立性低血圧になる、徐脈がみられる
過敏症	発疹ができる、蕁麻疹（じんましん）がでる、湿疹ができる、そう痒感がある、光線過敏性反応がおこる
血液	白血球数が減少する、ヘモグロビン数が減少する、紫斑がみられる、胃腸出血がみられる、斑状出血等の異常出血がみられる、貧血になる
肝臓	AST（GOT）値が上昇する、ALT（GPT）値が上昇する、γ－ＧＴＰ値が上昇する、LDH値が上昇する、Al-P値が上昇する等の肝機能障害がみられる
消化器	嘔気がある、悪心がする、口が渇く、便秘する、嘔吐する、下痢する、腹痛になる、腹部膨満感がある、食欲不振になる、消化不良がみられる、空腹感がある、口腔内粘膜腫脹がみられる
泌尿器	排尿困難になる、排尿障害になる、頻尿になる、乏尿になる、BUN値が上昇する、尿蛋白が陽性になる、尿失禁がみられる、尿閉がみられる
血清電解質	血清カリウム値が上昇あるいは低下する、血中ナトリウム値が低下する、低ナトリウム血症になる
その他	倦怠感がある、脱力感がある、上肢の虚脱がみられる、息切れする、胸痛がある、熱感がある、ほてりがある、灼熱感がある、発汗する、視調節障害がみられる、眼痛がある、眼圧迫感がある、眼がチカチカする、耳鳴がする、鼻閉がみられる、苦味がある、歯がカチカチする、体重が増加する、脱毛がみられる、CK（CPK）値が上昇する、血清鉄が上昇あるいは低下する、乳汁が漏出する、高プロラクチン血症になる、月経異常がみられる、勃起障害がみられる、射精障害等の性機能異常がみられる、関節痛がある、筋肉痛がある、浮腫ができる、発熱する、しゃっくりをする、味覚異常がみられる

デプロメールについて

デプロメールは、世界初の選択的セロトニン再取込阻害薬（Selective Serotonin Reuptake Inhibitors）です。

通常、頭文字を並べて、SSRIと呼ばれています。

日本では、1999年から利用されております。

持病やアレルギーのある方は、事前に医師とご相談ください。

アルコール（お酒）は、控えてください。

眠気が出たり、ぼんやりすることがあるため、車の運転や危険を伴う作業等は、控えてください。

一般論的に、抗うつ剤を２４歳以下の方が利用した場合、自殺念慮や自殺企図のリスクが高まるとの報告がありますのっで、該当する方が利用する場合には、念のため注意が必要です。

デプロメールには、カフェインの分解酵素の働きを阻害する副作用があるため、デプロメールの服用中にコーヒーやお茶（紅茶、緑茶）を飲むと、体内でカフェインが蓄積されます。

その結果、カフェインが過剰となり、神経が高ぶったり不安感が増大したりする場合がありますので、注意が必要です。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に対して、過敏症の既往歴のある方
・モノアミン酸化酵素（MAO）阻害剤を投与中の方
・モノアミン酸化酵素（MAO）阻害剤の投与中止後、２週間以内の方
・ピモジド、チザニジン塩酸塩、ラメルテオンを利用中の方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・肝障害のある方
・重篤な腎障害のある方
・てんかん等の痙攣性疾患のある方
・てんかん等の痙攣性疾患の既往歴のある方
・自殺念慮、自殺企図の既往のある方
・自殺念慮のある方
・躁鬱病の方
・脳の器質的障害、統合失調症の素因のある方
・衝動性の高い併存障害を有する方
・心疾患のある方
・出血性疾患の既往歴のある方
・出血性素因のある方
・緑内障の方
・眼内圧亢進のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

以下の薬剤との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、医師とご相談ください。

・モノアミン酸化酵素（MAO）阻害剤
　　・セレギリン塩酸塩（エフピー）
・ピモジド
　　・オーラップ
・チザニジン塩酸塩
　　・テルネリン
・ラメルテオン
　　・ロゼレム

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。

・セロトニン作用を有する薬剤
　　・炭酸リチウム
　　・L-トリプトファン含有製剤（アミノ酸製剤、経腸成分栄養剤等）
　　・トリプタン系薬剤（スマトリプタンコハク酸塩等）
　　・選択的セロトニン再取り込み阻害剤
　　・トラマドール塩酸塩
　　・リネゾリド等
・セイヨウオトギリソウ
　　・St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート含有食品
・抗てんかん剤
　　・フェニトイン
　　・カルバマゼピン
・三環系抗うつ剤
　　・イミプラミン塩酸塩
　　・アミトリプチリン塩酸塩
　　・クロミプラミン塩酸塩
・ベンゾジアゼピン系薬剤
　　・アルプラゾラム
　　・ブロマゼパム
　　・ジアゼパム等
・オランザピン
・クロザピン
・ロピニロール塩酸塩
・メキシレチン塩酸塩
・シルデナフィルクエン酸塩
・β−遮断剤
　　・プロプラノロール塩酸塩
・キサンチン系気管支拡張剤
　　・テオフィリン等
・シクロスポリン
・クマリン系抗血液凝固剤
　　・ワルファリンカリウム
・ゾルピデム酒石酸塩
・メサドン塩酸塩
・出血傾向が増強する薬剤
　　・非定型抗精神病薬
　　・フェノチアジン系薬剤
　　・三環系抗うつ薬
　　・アスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤
　　・ワルファリンカリウム等
・アルコール（飲酒）