リスパダールによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/12

リスパダールとは

リスパダール(RISPERDAL)とは、不安感や緊張感などを緩和し気持ちを落ち着かせるためのお薬です。

主成分のリスペリドン(risperidone)は、セロトニン-ドーパミン拮抗薬(SDA:Serotonin Dopamine Antagonist)という種類で、第二世代の抗精神病薬です。

1990年代から利用されている比較的新しいタイプのお薬です。第一世代と比較しても副作用が少なくなっているのが特徴です。

本剤は、セロトニン受容体とドーパミン受容体をしっかりとブロックするのが特徴で、この作用により、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の両方に効果があると報告されています。

適応症は以下の通りです。

・統合失調症

現在では、上記の他、双極性障害、認知症、うつ病、発達障害、パーソナリティ障害、神経症、自閉症など様々な疾患に応用的に利用されています。

本剤は、ヤンセンファーマ株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

リスパダールの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・アカシジアになる
・不眠症になる
・振戦になる
・便秘になる
・易刺激性が発言する
・傾眠になる
・流涎過多になる
・不安になる
・倦怠感がある
・筋固縮になる

全般的に、第二世代は第一世代の抗精神病薬と比較して、副作用は、軽減されています。

ただし、第二世代の抗精神病薬には、身体をリラックスさせ、代謝を抑える作用があるため、血糖値やコレステロール値が上昇し、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高める可能性があります。

総合的には、第一世代と比較し、第二世代の抗精神病薬の方が、安全性は高いと言われています。

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
悪性症候群 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)になる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がおこる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧が変動する、発汗等の症状が現れその後発熱する場合がある。抗精神病剤と併用した際に現れることが多い
遅発性ジスキネジア 口をモグモグさせる、歯を食いしばる、噛む、顎を側方にずらす、唇をすぼめたり尖らせたりを繰り返す、舌を突き出す、舌を左右に揺らす、瞬きを繰り返す、額にしわを寄せる、肩をひそめる、しかめ面をする、手指を繰り返し屈伸する、腕を振り回す・ねじる、足踏み、タップする、体をゆする、くねらす、ねじる、呼吸困難になる、不規則呼吸になる等
麻痺性イレウス 強い腹痛がある、吐き気がする、吐く、ひどい便秘になる、おなかが膨れる等
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) 食欲不振になる、嘔気がある、嘔吐する、全身けん怠感がある、むくみのない短期間の体重増加がみられる、頭痛がする、吐き気がする、低浸透圧血症になる、尿中ナトリウム排泄量が増加する、高張尿になる、意識障害がみられる、主に高齢の方に低ナトリウム血症が発現する、痙攣(けいれん)する等
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒等がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹がでる等
横紋筋融解症 手足肩を中心とした筋肉痛やこわばりがおこる、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う
不整脈 胸痛がある、胸部不快感がある、動悸がする、眩暈(めまい)がする、失神する等
脳血管障害 手足に力が入らなくなる、手足が痺れる(しびれる)、麻痺する、重い眩暈(めまい)がする、激しい頭痛がある、ろれつが回らない、言葉が一瞬出なくなる、ものが二重に見える、歩行困難になる、言語障害がおこる、顔半分が麻痺する、片目が見えなくなる、寝たきりになる、失語する、失認する、失行する、半側空間無視になる、意識障害がおこる等
高血糖 のどが渇く、身体がだるい、尿量が増加する、空腹感がある、皮膚が乾燥し痒い、風邪を引き易い、傷の治りが遅い等
糖尿病性ケトアシドーシス 口渇(喉のかわき)になる、多飲になる、倦怠感がある、悪心がある、嘔吐する、低体温になる、体重が減少する、血圧が低下する、頻脈になる、意識障害がおこる、糖尿病性ケトアシドーシスがみられる、高血糖高浸透圧状態になる、低血糖症になる、乳酸アシドーシスがみられる、激烈な腹痛(急性腹症)がある、胃痙攣(けいれん)が発現する等
糖尿病性昏睡 著しいのどの渇きがある、脱水する、多尿になる、頻尿になる、だるい、食欲が低下する、吐き気がする、悪心がある、嘔吐する、腹痛になる、下痢する、ショックがおこる、昏睡になる
低血糖(低血糖症) 脱力感がある、冷や汗がでる、急激な空腹感がある、悪寒がする、動悸がする、手の震えがある、集中力が低下する、痙攣(けいれん)する、意識障害がおこる、低血糖性昏睡に至る例の報告もある
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等
白血球減少 風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい
肺塞栓症 突然起こる息切れ、呼吸が速くなる、落ち着かない、鋭い胸の痛みがある、眩暈(めまい)がする、失神する、痙攣(けいれん)する、不整脈がある、血痰がでる、発熱する、足首や脚のむくみがみられる、脱力感がある、チアノーゼがみられる等
深部静脈血栓症 皮膚の発赤がみられる、胸の痛みがある、ふくらはぎが腫れる・痛む・圧痛がある・熱感がある、足首や脚や太ももが腫れる等
持続勃起症 α交感神経遮断作用に基づく持続勃起症がみられる、刺激がなくなっても勃起状態が収まらず継続する

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
感染症および寄生虫症 気管支炎になる、鼻咽頭炎になる、咽頭炎になる、肺炎になる、胃腸炎になる、感染する、膀胱炎になる、耳感染する、インフルエンザになる、限局性感染する、下気道感染する、鼻炎になる、副鼻腔炎になる、皮下組織膿瘍になる、上気道感染する、尿路感染する、ウイルス感染する、蜂巣炎になる、扁桃炎になる、眼感染する、中耳炎になる、爪真菌症になる、ダニ皮膚炎になる
血液およびリンパ系障害 貧血になる、血小板減少症になる、好中球減少症になる
免疫系障害 アナフィラキシー反応がおこる、過敏症になる
内分泌障害 高プロラクチン血症になる
代謝および栄養障害 食欲不振になる、高脂血症になる、食欲が亢進する、多飲症になる、食欲が減退する、高尿酸血症になる、水中毒になる
精神障害 不眠症になる、不安になる、激越する、妄想がある、うつ病になる、幻覚がある、抑うつ症状になる、躁病になる、被害妄想になる、精神症状がある、睡眠障害になる、緊張がある、自殺企図がある、錯乱状態になる、リビドーが亢進する、リビドーが減退する、神経過敏になる、気力が低下する、情動が鈍麻する、無オルガズム症になる
神経系障害 アカシジアがみられる、振戦になる、傾眠になる、構音障害がみられる、ふらつく、頭痛がする、ジストニーがみられる、鎮静する、眩暈(めまい)がおこる、立ちくらみがする、運動低下がみられる、ジスキネジーがみられる、パーキンソニズムがみられる、錐体外路障害がおこる、精神運動亢進がおこる、無動になる、痙攣(けいれん)する、注意力障害がおこる、構語障害がおこる、しびれ感がある、よだれがでる、仮面状顔貌になる、頭部不快感がある、嗜眠する、錯感覚がある、意識レベルが低下する、会話障害(舌のもつれ等)がおこる、味覚異常がおこる、末梢性ニューロパチーになる、協調運動異常がおこる、過眠症になる、弓なり緊張になる、失神する、平衡障害になる、刺激無反応になる、運動障害がおこる
眼障害 調節障害がおこる、眼球回転発作がおこる、眼瞼痙攣がおこる、視力が低下する、眼脂がおこる、結膜炎になる、網膜動脈閉塞がおこる、霧視になる、眼充血する、眼瞼縁痂皮になる、眼乾燥する、流涙増加になる、羞明になる、緑内障になる
耳および迷路障害 耳痛がある、回転性めまいがおこる、耳鳴がする
心臓障害 頻脈になる、洞性頻脈になる、動悸がする、心室性期外収縮がおこる、房室ブロックがおこる、右脚ブロックがおこる、上室性期外収縮がおこる、不整脈がある、徐脈になる、左脚ブロックがおこる、洞性徐脈がおこる
血管障害 起立性低血圧になる、低血圧になる、高血圧になる、末梢冷感がある、潮紅になる、末梢循環不全になる
呼吸器、胸郭および縦隔障害 鼻閉になる、呼吸困難になる、咳嗽(がいそう)がみられる、鼻漏になる、副鼻腔うっ血する、睡眠時無呼吸症候群になる、口腔咽頭痛がおこる、鼻出血がおこる、肺うっ血がおこる、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、嚥下性肺炎になる、発声障害がおこる、気道うっ血がおこる、ラ音がおこる、呼吸障害になる、過換気になる
胃腸障害 便秘する、流涎過多になる、悪心がある、嘔吐する、嚥下障害がおこる、口内が乾燥する、胃不快感がある、下痢する、胃炎になる、腹部膨満がある、腹痛がある、消化不良になる、上腹部痛がある、唾液が欠乏する、腸閉塞がおこる、膵炎になる、歯痛がする、糞塊充塞になる、便失禁する、口唇炎になる
肝胆道系障害 肝機能異常がある
皮膚および皮下組織障害 多汗症になる、発疹がでる、そう痒症になる、湿疹ができる、過角化になる、紅斑がでる、ざ瘡ができる、脱毛症になる、血管浮腫ができる、皮膚が乾燥する、頭部粃糠疹になる、脂漏性皮膚炎になる、皮膚が変色する、皮膚病変がおこる
筋骨格系および結合組織障害 筋固縮がおこる、筋肉痛になる、斜頚になる、筋攣縮になる、関節硬直になる、筋力が低下する、背部痛がある、四肢痛がある、関節痛がある、姿勢異常になる、筋骨格痛がある、頚部痛がある、筋骨格系胸痛がある
腎および尿路障害 排尿困難になる、尿閉になる、頻尿になる、尿失禁する
生殖系および乳房障害 月経障害がみられる、無月経になる、乳汁漏出症になる、不規則月経になる、射精障害になる、女性化乳房になる、性機能不全にあんる、乳房不快感がある、勃起不全になる、月経遅延がみられる、希発月経がみられる、持続勃起症になる、腟分泌物異常になる、乳房腫大になる
全身障害および投与局所様態 易刺激性がある、倦怠感がある、口が渇く、無力症になる、疲労がある、歩行障害がある、発熱する、気分不良になる、胸部不快感がある、胸痛がある、顔面浮腫ができる、末梢性浮腫ができる、疼痛がある、不活発になる、浮腫ができる、低体温になる、インフルエンザ様疾患になる、悪寒がする、薬剤離脱症候群になる
臨床検査 ALT(GPT)値が増加する、CK(CPK)値が増加する、AST(GOT)値が増加する、血中クレアチニン値が増加する、血中ブドウ糖値が増加する、LDH値が増加する、血圧が低下する、血中プロラクチン値が増加する、血中ナトリウム値が減少する、血中トリグリセリド値が増加する、血中尿素値が増加する、心電図異常になる、心電図QT延長になる、好酸球数が増加する、γ-GTP値が増加する、グリコヘモグロビン値が増加する、血小板数が減少する、総蛋白値が減少する、体重が減少する、体重が増加する、白血球数が減少する、白血球数が増加する、尿中蛋白が陽性になる、Al-P値が増加する、心電図T波逆転がみられる、血中尿酸値が増加する、尿中血陽性になる、肝酵素上昇がみられる、尿糖陽性になる
傷害、中毒および処置合併症 転倒や転落する、引っかき傷ができる、処置による疼痛がある
過量投与 傾眠になる、鎮静する、頻脈になる、低血圧になる、QT延長がみられる、錐体外路症状がみられる等

 

リスパダールについて

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

以下の方は、原則禁忌です。

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
・パリペリドンに対し過敏症の既往歴のある方
・昏睡状態の方
・バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある方
・アドレナリンを投与中の方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・心、血管系疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある方
・不整脈の既往歴のある方
・先天性QT延長症候群の方
・QT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の方
・パーキンソン病の方
・レビー小体型認知症のある方
・てんかん等の痙攣性疾患のある方
・てんかん等の痙攣性疾患の既往歴のある方
・自殺企図の既往及び自殺念慮を有する方
・肝障害のある方
・腎障害のある方
・糖尿病またはその既往歴のある方
・糖尿病の家族歴や高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する方
・妊娠している方
・妊娠する可能性のある方
・授乳中の方
・高齢の方
・小児
・薬物過敏症の方
・脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある方

以下の薬剤との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、医師とご相談ください。

・アドレナリン(ボスミン)

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり注意が必要なので、医師とご相談ください。

・中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
・ドパミン作動薬
・降圧薬
・アルコール
・CYP2D6を阻害する薬剤(パロキセチン等)
・肝代謝酵素誘導作用を有する薬剤(カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、フェノバルビタール)

持病のある方は、医師とご相談ください。

授乳中の方は、授乳を中止してください。

お酒(アルコール)により、副作用が出やすくなる場合がありますので、飲酒は控えてください。

眠気や注意力・集中力・反射運動能力等の低下等が発現する可能性がありますので、服用中は車の運転や、危険を伴う作業等は、控えてください。

本剤の服用を、急激に減らしたり、中止したりした場合には、副作用が出やすくなる可能性があります。そのため、減薬する場合には、医師の指示に従い、少しずつ用量を減らす様にしてください。

本剤を長期間利用した場合、本剤への依存症や、その他様々な副作用症状が発現する可能性があります。

長期間に渡って服用し、突然中止した場合、体調不良等の、副作用が発現する場合があります。

本剤は、腎臓疾患に悪影響を与えることがあると言われていますので、糖尿病や前立腺肥大症等、排尿系疾患のある方は、リスパダールの使用には、極めて注意する必要があります。

 

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