ペニシリンによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/11

ペニシリンとは

ペニシリン(PENICILLIN)とは、抗生物質です。

主成分は、ペニシリンGカリウム(注射用)を参考例とした場合、ベンジルペニシリンカリウム(Benzylpenicillin Potassium)です。

ペニシリンは、「ペニシリン系抗生物質製剤」や「β-ラクタム系抗生物質」等と言われており、主に真正細菌に対して殺菌作用があります。(マイコプラズマを除く)

真正細菌の細胞壁は人の細胞に存在しない、ペプチドグリンカンが主成分です。

ペニシリンは、このペプチドグリンカンの合成酵素をブロックすることにより細胞の増殖を抑制します。

特に増殖中の細胞に作用するため、細胞の増殖に伴い細胞壁が薄くなり、最終的には溶菌状態となり殺菌的に作用します。

人の細胞には存在しない成分に作用することから、人に対する毒性は低いと言われています。

適応菌種は以下の通りです。

・ベンジルペニシリンに感性のブドウ球菌属
・レンサ球菌属
・肺炎球菌
・腸球菌属
・淋菌
・髄膜炎菌
・ジフテリア菌
・炭疽菌
・放線菌
・破傷風菌
・ガス壊疽菌群
・回帰熱ボレリア
・ワイル病レプトスピラ
・鼠咬症スピリルム
・梅毒トレポネーマ

適応症は以下の通りです。

・敗血症
・感染性心内膜炎
・表在性皮膚感染症
・深在性皮膚感染症
・リンパ管・リンパ節炎
・乳腺炎
・咽頭・喉頭炎
・扁桃炎
・急性気管支炎
・肺炎
・肺膿瘍
・膿胸
・慢性呼吸器病変の二次感染
・淋菌感染症
・化膿性髄膜炎
・中耳炎
・副鼻腔炎
・猩紅熱
・炭疽
・ジフテリア(抗毒素併用)
・鼠咬症
・破傷風(抗毒素併用)
・ガス壊疽(抗毒素併用)
・放線菌症
・回帰熱
・ワイル病
・梅毒

本剤は、Meiji Seika ファルマ株式会社により製造(輸入)販売されています。

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主な副作用

ペニシリンの主な副作用は、以下の通りです。

・発熱する
・発疹ができる
・蕁麻疹(じんましん)がでる等

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)ができる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等
溶血性貧血 赤い尿がでる、皮膚や白目が黄色くなる、発熱する、貧血になる等
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛になる、倦怠感がある、口内炎ができる等
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がある、吐き気がする、下痢する、脱力感がある、関節の痛みがある、頭痛がする、顔や手足のむくみがある、息苦しい、意識の低下がみられる等
腎障害(腎機能障害) BUN値が上昇する、クレアチニン値が上昇する、腎血流量が減少する、糸球体濾過値が低下する、高カリウム血症になる、高尿酸血症になる、低マグネシウム血症になる、尿細管萎縮になる、細動脈病変がある、間質の線維化がある、急性腎不全になる、発熱する、発疹ができる、関節痛になる、血清IgE値が上昇する、好酸球値が上昇する、高度タンパク尿がでる、ネフローゼ症候群になる等
痙攣(けいれん) 全身の筋肉がピクピクする、痺れる(しびれる)、チクチクと痛む、瞬間うとうとと眠くなる、失神する、錯乱する、脱力する、膀胱の調節機能が消失する、興奮状態が継続する、怒りっぽくなる、ぼんやりする、よろめく、吐き気がする、眩暈(めまい)がする、下肢のコントロールが不能になる、筋肉の付随現象がみられる等
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎 発熱する、腹痛がする、 頻回の下痢がみられる等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節の痛みがある、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)ができる、発熱する、食欲不振になる、口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱がでる、陰部が痛む、関節が痛む、ひどい口内炎ができる、唇や口内のただれがみられる、発熱する、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点ができる、赤い発疹がでる、まぶたや眼の充血がみられる、結膜のただれがみれれる、食欲不振になる、からだがだるい等
出血性膀胱炎 頻尿になる、排尿痛がある、血尿がでる、残尿感がある、微熱がでる、尿閉になる、膀胱萎縮する等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
過敏症 発熱する、発疹ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる、
血液 好酸球が増多する、顆粒球が減少する、血小板が減少する、貧血になる
肝臓 AST(GOT)値が上昇する
投与部位 血管痛がある、静脈炎になる
その他 梅毒の方の場合ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応がおこる(発熱する、全身倦怠感がある、頭痛がする等、病変部が増悪する)

 

ペニシリンについて

ペニシリンは世界初の抗生物質です。20世紀の偉大な発見の1つと言われています。

1928年、イギリスのアレクサンダー・フレミングは、アオカビがブドウ球菌の増殖を阻止する現象を発見しました。

発見後、様々な学者による研究の末、1940年にペニシリンの単離に成功し、以後、世界中で感染症の治療剤として利用されることになりました。

因みにペニシリンとは、アオカビの学名(Penicillium notatum、現在はP. chrysogenum)が由来となっています。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に対してショックの既往歴のある方

以下の方は、原則禁忌です。

・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・ペニシリン系抗生物質に対して過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある方
・本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する方
・高度の腎障害のある方
・心疾患のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

 

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