アービタックスによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/09

アービタックスとは

アービタックス(ERBITUX)とは、抗悪性腫瘍剤です。

主に大腸がんの治療に利用されています。

本剤の主成分は、セツキシマブ(遺伝子組換え)(Cetuximab (Genetical Recombination))で、癌細胞が増殖する際に必要となるEGFR(上皮成長因子受容体)というタンパク質に結合する作用があります。

この作用により癌細胞の増殖を抑制する効果が期待されます。

適応症は以下の通りです。

・EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
・頭頸部癌

一般的に、大腸がんの治療には、まずFOLFOX療法(フルオロウラシル+レボホリナート+オキサリプラチン)やFOLFIRI療法(フルオロウラシル+アイソボリン+イリノテカン)、XELOX療法等が適応されます。

しかし、これらの治療で効き目が十分ではないと判断された時、本剤が利用されます。

本剤は、メルクセローノ株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

アービタックスの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・ざ瘡がみられる
・発疹ができる
・食欲不振になる
・皮膚乾燥がみられる
・爪囲炎になる
・下痢する
・口内炎ができる
・低マグネシウム血症になる
・そう痒症になる
・悪心がある
・疲労する
・リンパ球数が減少する

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
重度のinfusion reaction 気管支痙攣になる、蕁麻疹がでる、低血圧になる、意識消失又はショックを症状としたアナフィラキシー様症状等、死亡例の報告もあります
気管支痙攣(きかんしけいれん) 胸がつまる感じがする、喘鳴(ぜんめい)が聞こえる、呼吸困難になる等
蕁麻疹(じんましん)がでる 皮膚の浅い層に大小様々なむくみやブツブツができる、赤みがかったみみず腫れができる、強いかゆみがある、突発的な湿疹ができる、チクチクする、焼けるような熱さがある、痛みがある等
失神
意識消失(意識喪失)
眩暈(めまい)がする、立ちくらみがある、顔面が蒼白になる、動悸が高まる、胸の痛みがある、胸部不快感がある等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識が消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)がでる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等
アナフィラキシー様症状 紅斑ができる、悪寒がする、口唇浮腫ができる、咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身が発赤する、顔面や喉頭浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がきこえる、発汗する等
重度の皮膚症状 主にざ瘡様皮疹がみられる、皮膚の乾燥及び亀裂がみられる、続発する炎症性及び感染性の症状(眼瞼炎、口唇炎、蜂巣炎、嚢胞等がみられる)等
間質性肺疾患 呼吸困難になる、咳嗽(がいそう)がみられる、疲労する等
心不全 息苦しい、むくみがでる、頻尿になる、起座呼吸(起き上がって深く急な呼吸をする)がみられる、疲労感がある、体力が低下する、眠気がある、錯乱する、見当識障害がみられる、足、足首、脚、肝臓、腹部に体液がたまり腫れる・むくみが出る、吐き気がする、食欲不振になる、息切れする、あえぐ、喘鳴(ぜんめい)がきこえる等
重度の下痢 水様便がでる、頻回の下痢がある、血便がでる、激しい腹痛がある、尿量が減少する、頻脈になる、口渇になる、血圧が低下する、脱水症状がある、意識が混濁している、無気力である等
血栓塞栓症 脳血管発作、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、狭心症、脳虚血、脳梗塞等の動脈血栓塞栓症、及び深部静脈血栓症、肺塞栓症等の静脈血栓塞栓症があらわれることがある等
感染症 肺炎、敗血症等の感染症が発現する

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
全身症状 倦怠感がある、疲労する、発熱する、体重が減少する、粘膜の炎症がみられる、浮腫ができる、悪寒がする、疼痛がある(皮膚・筋肉等)、無力症になる、PO2低下がみられる
消化器 下痢する、口内炎ができる、食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、便秘になる、腹痛がする、消化不良になる、歯槽出血がみられる、吐血する
血液/リンパ系 白血球減少症になる、好中球減少症になる、ヘモグロビンが減少する、血小板減少症になる、リンパ球減少症になる、白血球増加症になる、好中球増加症になる
心・血管系 心筋梗塞になる
代謝/栄養 低マグネシウム血症になる、低カルシウム血症になる、低アルブミン血症になる、低カリウム血症になる、低ナトリウム血症になる、脱水する、低リン酸血症になる、総蛋白が減少する、血中アミラーゼが増加する
肝臓 ALT(GPT)値が上昇する、AST(GOT)値が上昇する、Al-P値が上昇する、血中ビリルビン値が増加する
精神・神経系 末梢神経障害がみられる、不眠症になる、頭痛がする
呼吸器 呼吸困難になる、鼻出血がみられる、喀血する、咳嗽(がいそう)がみられる
皮膚/皮膚付属器 ざ瘡/ざ瘡様皮膚炎になる、皮膚乾燥がみられる、発疹ができる、爪囲炎になる、そう痒症になる、皮膚亀裂がみられる、脱毛症になる、皮膚反応がみられる、口唇炎ができる、爪の障害がみられる、手足症候群がみられる、蕁麻疹(じんましん)がでる、皮膚障害がみられる、剥脱性皮膚炎になる、毛髪障害がみられる、皮膚毒性がみられる、多毛症になる
結膜炎になる、角膜炎になる、眼瞼炎になる
その他 放射線性皮膚炎になる、過敏症になる、尿蛋白がみられる、C-反応性蛋白増加がみられる、血尿がでる、尿中ウロビリン陽性になる、尿中血陽性になる、卵巣嚢胞破裂がみられる、遅発性放射線障害がみられる
過量投与 副作用の報告なし

 

アービタックスについて

本剤は、特定の分子を攻撃する分子標的薬です。

利用されたほとんどの方は、強弱の差はありますが、副作用として皮膚障害を発現されます。

本剤を使用中は、肌が敏感になっているため、日常生活で肌への負担が少なくなる工夫が必要です。

例えば、男性の場合には髭剃りの際、カミソリではなく、電気シェーバーを利用するとか、女性の場合、刺激の少ないアルコールフリーの化粧品を利用するとか。

また、毎日入浴をして肌を清潔に保つことも重要です。

日焼けは皮膚障害を重症化させる場合がありますので、外出する際には出来る限り皮膚の露出を控え、日焼け止めを利用する等の対策が必要です。

皮膚症状が酷い場合には、皮膚科を受診し、ステロイド剤等の利用が必要な場合もあります。

重要なのは、本剤を利用している際に発現した皮膚障害については、自分の判断で市販薬等を利用するのではなく、必ず、医師に相談することです。

市販薬を自分の判断で利用することにより、さらに症状を悪化させた例が報告されています。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に対して重篤な過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・間質性肺疾患の既往歴のある方
・心疾患のある方、又はその既往歴のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児等

 

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