ロヒプノールによる副作用
ロヒプノールとは
ロヒプノール(ROHYPNOL)とは、不眠症のお薬です。麻酔の補助薬としても利用されています。
主成分のフルニトラゼパム(Flunitrazepam)は、ベンゾジアゼピン系で、睡眠効果は強く、作用時間が比較的長いのが特徴です。(半減期が7時間)
適応症は以下の通りです。
・不眠症
・麻酔前投薬
応用として、神経症、うつ病、心身症(消化器の病気、高血圧、自律神経失調症など)における不安・緊張・抑うつ、睡眠障害などにも利用されています。
ベンゾジアゼピン系は、非バルビツール酸系催眠鎮静剤の代表的なお薬であり、入眠効果は自然で、副作用も少ないと言われています。
また、ニトラゼパム製剤には、痙攣(けいれん)を止める効果もあり、てんかんの治療に使用されています。
米国で本剤は、Ⅳ級指定薬物に認定されているため、違法薬物の扱いになります。
そのため、旅行でも米国へ持ち込むと違法になりますので、ご注意ください。
本剤は、中外製薬株式会社により製造販売されています。
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主な副作用
ロヒプノールの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。
・ふらつき(感)がある
・眠気がある
・倦怠(感)がある
比較的強い睡眠剤のため、耐性や依存性が発現しやすいお薬です。長期間に渡る多量の服用は、避ける様にしてください。
またアルコールは相互の作用を増強し、依存しやすくなりますので控えてください。
重大・重篤な副作用
重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。
副作用の名称 | 想定される症状等 |
---|---|
依存性 | 連用により薬物依存になる、薬をやめられない |
離脱症状 | 痙攣発作がおこる、譫妄(せんもう)がある、振戦がおこる、不眠になる、不安になる、幻覚がある、妄想する等 |
刺激興奮 | 興奮する、不眠になる、もうろう状態になる、取り乱す等 |
錯乱 | 外部状況に対し適した対応が出来ない状態になる、話や動作にまとまりがなくなる |
呼吸抑制 | 頭痛がする、眩暈(めまい)がする、動悸がする、息切れする、不安感がある、判断力が鈍化する |
炭酸ガスナルコーシス(CO2ナルコーシス) | 頭痛がする、振戦がおこる、痙攣(けいれん)する、傾眠になる、発汗する、意識障害がおこる、ふるえがおこる、呼吸不全になる、高カリウム血症になる、しびれ感がある、灼熱感がある、筋脱力感がある、倦怠感がある、異常言動がある、錯乱する等 |
肝機能障害 | 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等 |
黄疸 | 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒等がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹がでる等 |
横紋筋融解症 | 手足肩を中心とした筋肉痛やこわばりがある、手足がしびれる、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う |
悪性症候群 | 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)になる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がみられる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧の変動がある、発汗等の症状が現れてその後、発熱する場合がある。抗精神病剤と併用した際に現れることが多い |
意識障害 | 吐き気がする、食欲不振になる、腹痛がある、下痢する、強い倦怠感がある、意識レベルが低下する、意識が消失する等 |
一過性前向性健忘(もうろう状態) | 服薬後入眠までの出来事を覚えていない、途中覚醒時の出来事を覚えていない、翌朝起床後の一定時間の行動を覚えていない |
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。
重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。
その他の副作用
その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。
副作用の部位名称等 | 副作用の名称、症状 |
---|---|
精神神経系 | 眠気がある、眩暈(めまい)がする、ふらつく、運動失調になる、頭痛がする、頭重になる、頭がボーッとする、失調性歩行になる、不快感がある、焦躁感がある、不安感がある、構音障害がある、しびれ感がある、耳鳴がする、動作緩慢になる、記憶力が低下する、酩酊感がある、振戦になる |
肝臓 | AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、LDH、Al-P値が上昇する |
腎臓 | BUN値が上昇する |
血液 | 貧血になる、白血球が減少する、血小板が減少する |
循環器 | 動悸がする、血圧が低下する |
消化器 | 口が渇く、腹痛になる、嘔吐する、胃不快感がある、食欲不振になる、下痢する、便秘する、舌があれる、胸やけがする、流涎がある、口の苦みがある |
過敏症 | 発疹がでる |
その他 | 倦怠感がある、脱力感がある、尿失禁する、発汗する、いびきをかく、顔面潮紅がある、顔面浮腫がある、排尿困難になる、頻尿になる |
過量投与 | うとうと状態から昏睡等の中枢神経抑制作用に基づく症状が発現する |
ロヒプノールについて
本剤は、翌朝以降に影響が及ぶ可能性があり、その場合、眠気や注意力・集中力・反射運動能力等の低下を伴うことがあるため、車の運転や危険を伴う作業等は控えてください。
以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・急性狭隅角緑内障の方
・重症筋無力症の方
以下の方は、原則禁忌です。
・肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している方
以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。
・衰弱している方
・高齢の方
・心障害のある方
・肝障害のある方
・腎障害のある方
・脳に器質的障害のある方
・妊婦または妊娠している可能性のある方
・小児等
以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり注意が必要なので、医師とご相談ください。
・アルコール(飲酒)
・中枢神経抑制剤
・フェノチアジン誘導体
・バルビツール酸誘導体
・鎮痛薬
・麻酔薬等
・モノアミン酸化酵素阻害剤
・シメチジン
ロヒプノールは、現在、米国では使用できなくなっています。それは、このお薬の依存性が麻薬と同様であり、解熱鎮痛剤のアスピリン等との相互作用の強さ等が問題視されたためです。
本剤を利用する場合には、漫然と長期間に渡って利用するのは、やめてください。
あくまで不眠の原因が解消されるまでの短期間の対症療法であることを念頭において、利用する様にしてください。